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恋愛編
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紅茶を飲んでゆっくり息を吐き出す
一呼吸おいて気持ちを落ち着けてからレオナルドに話すように促した
「やっぱり単刀直入にいったら怒ったじゃん…
最初から一から話せばよかった…」
「ぶつぶつ言ってないで早く話せ」
軽く睨むとレオナルドが肩をすくめる
「はいはい、ん~…何からはなそうか」
「早く」
「わかってるって。そうだなぁ…
まずさ、大前提としてなんだけどうちの妹…ローズマリーが君に懸想してることには気がついてる?」
「は?」
予想していなかった質問にまた間抜けな声が出た
俺の反応を見てレオナルドが苦笑する
「…その感じ、気づいてなかったね」
「いや…なんとなく気がついてはいたが、子供の戯れだと…」
「子供って…確かにちょっと言動は幼いけど、あの子あれでも年齢はセシリア嬢と一つしか変わらないよ?」
「言われてみれば…そうか」
納得して頷く
しかしすぐに首をかしげた
「それはわかったが…
今ローズマリーの気持ちは関係ないだろう?」
今はセシリアをレオナルドに譲れという話だったはずだ
話にローズマリーが登場するのはおかしい
だがレオナルドは俺の発言に首をふった
「いや、それが大有りなんだよねぇ…」
「…?どういうことだ?」
「んー…恥ずかしい話、うちの王族は揃いも揃ってどうもローズマリーに甘くてね
ま、僕を除いてなんだけど…」
「…それが?」
「ん~…なんかね、あの子のいうことはなんでも叶えようとするんだよ」
「…よくわからないな
簡潔に話してくれ」
要領を得ない説明にしびれを切らしてそう言うと、レオナルドは苦笑を深め、ゆっくりと話し出した
アンバー王国の第一王女であるローズマリーは、国王夫妻がそれなりに年を取ってから生まれた待望の女児だということに加え、体が弱かったせいもあり、両親と年の離れた兄達にそれはそれは甘やかされて育った
そんな彼女は腹違いの兄の友人である隣国の皇太子に恋をする
毎年兄の誕生パーティーに参加するためやってくる彼に会うのを楽しみに日々を過ごし、大切に大切に恋心を育てていたある日、その想い人である皇太子が自国の公爵令嬢と婚約したと聞きつけた
ローズマリーはショックを受け塞ぎ込み、部屋から出てこなくなってしまう
それを心配した国王夫妻と兄達は考えた
彼女の初恋を実らせる方法を
そして、考え付いた方法は…
「君の婚約者であるセシリア嬢を兄達か僕が口説き落として恋人になる
そしてセシリア嬢をもらい受ける代わりに、ローズマリーを君に宛がうっていう作戦さ」
話終え、やりきったとばかりに息をついてお茶を飲みだしたレオナルド
「そんな無茶苦茶な…」
政治的なものならまだしも、姫の我が儘のために他国の皇太子の婚約者をとろうとするなど…
この国の王族達は何を考えているのか
俺はその話の突拍子のなさに唖然とし、ポツリと呟いた
しかしレオナルドは首をふる
「無茶苦茶でもないさ
僕たちの国も君達の国も恋愛結婚を推奨してるんだから当人が望めば婚約破棄はありえる」
「それはそうだが…」
「本当ならローズマリーとアルベルトが恋仲になって、そのかわりにセシリア嬢を…っていう逆パターンの方が火種が少ないのはわかってるんだろうけど、君がローズマリーを恋愛対象として見ていないのは皆わかってたみたいだからね」
レオナルドはそう言うと再び紅茶に手を伸ばした
一呼吸おいて気持ちを落ち着けてからレオナルドに話すように促した
「やっぱり単刀直入にいったら怒ったじゃん…
最初から一から話せばよかった…」
「ぶつぶつ言ってないで早く話せ」
軽く睨むとレオナルドが肩をすくめる
「はいはい、ん~…何からはなそうか」
「早く」
「わかってるって。そうだなぁ…
まずさ、大前提としてなんだけどうちの妹…ローズマリーが君に懸想してることには気がついてる?」
「は?」
予想していなかった質問にまた間抜けな声が出た
俺の反応を見てレオナルドが苦笑する
「…その感じ、気づいてなかったね」
「いや…なんとなく気がついてはいたが、子供の戯れだと…」
「子供って…確かにちょっと言動は幼いけど、あの子あれでも年齢はセシリア嬢と一つしか変わらないよ?」
「言われてみれば…そうか」
納得して頷く
しかしすぐに首をかしげた
「それはわかったが…
今ローズマリーの気持ちは関係ないだろう?」
今はセシリアをレオナルドに譲れという話だったはずだ
話にローズマリーが登場するのはおかしい
だがレオナルドは俺の発言に首をふった
「いや、それが大有りなんだよねぇ…」
「…?どういうことだ?」
「んー…恥ずかしい話、うちの王族は揃いも揃ってどうもローズマリーに甘くてね
ま、僕を除いてなんだけど…」
「…それが?」
「ん~…なんかね、あの子のいうことはなんでも叶えようとするんだよ」
「…よくわからないな
簡潔に話してくれ」
要領を得ない説明にしびれを切らしてそう言うと、レオナルドは苦笑を深め、ゆっくりと話し出した
アンバー王国の第一王女であるローズマリーは、国王夫妻がそれなりに年を取ってから生まれた待望の女児だということに加え、体が弱かったせいもあり、両親と年の離れた兄達にそれはそれは甘やかされて育った
そんな彼女は腹違いの兄の友人である隣国の皇太子に恋をする
毎年兄の誕生パーティーに参加するためやってくる彼に会うのを楽しみに日々を過ごし、大切に大切に恋心を育てていたある日、その想い人である皇太子が自国の公爵令嬢と婚約したと聞きつけた
ローズマリーはショックを受け塞ぎ込み、部屋から出てこなくなってしまう
それを心配した国王夫妻と兄達は考えた
彼女の初恋を実らせる方法を
そして、考え付いた方法は…
「君の婚約者であるセシリア嬢を兄達か僕が口説き落として恋人になる
そしてセシリア嬢をもらい受ける代わりに、ローズマリーを君に宛がうっていう作戦さ」
話終え、やりきったとばかりに息をついてお茶を飲みだしたレオナルド
「そんな無茶苦茶な…」
政治的なものならまだしも、姫の我が儘のために他国の皇太子の婚約者をとろうとするなど…
この国の王族達は何を考えているのか
俺はその話の突拍子のなさに唖然とし、ポツリと呟いた
しかしレオナルドは首をふる
「無茶苦茶でもないさ
僕たちの国も君達の国も恋愛結婚を推奨してるんだから当人が望めば婚約破棄はありえる」
「それはそうだが…」
「本当ならローズマリーとアルベルトが恋仲になって、そのかわりにセシリア嬢を…っていう逆パターンの方が火種が少ないのはわかってるんだろうけど、君がローズマリーを恋愛対象として見ていないのは皆わかってたみたいだからね」
レオナルドはそう言うと再び紅茶に手を伸ばした
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