上 下
47 / 125
恋愛編

46

しおりを挟む
平日よりも気持ち遅めに起きだし、カーテンを開ける
いつものように朝食を済ませふぅと息を吐いた

今日は休日
殿下の自室に伺う準備をしなくてはいけない

ドレッサーの前に座り、普段はただ流している髪のサイドをとって大きめに緩く編み込みを作り、後ろで束ねる
化粧水で肌を整え、ごく薄くメイクを施してクローゼットを開けた

「どれにしようかしら…?」

学校の中とは言え皇族の住居を尋ねるのにいつも着ているような部屋着に等しいワンピースは着ていけない
だが、使用人のいない学校でしっかりとしたドレスを着るのは中々骨が折れる

「そうねぇ・・・」

色々と考えながら服を眺める
しばらく考えてからシンプルだが品のある濃紺のドレスを選んで身につけた

「さて、後は・・・」

呟いて食品が入っている戸棚から包みを取り出す
昨日作った手土産である
殿下の好みがわからずいろいろ悩んだ結果、甘さ控えめのチーズクッキーとお酒を聞かせたビターチョコレートに決定した
これなら甘いものが苦手でも食べられるだろう
…たぶん

「喜んでもらえると…せめてお嫌いでなければいいのだけど…」

あと、殿下の好みもいい機会だから聞いておかなければ…

そんなことを考えながら部屋を出た
_________________________________________

「ようこそお出でくださいました
アルベルト殿下がお待ちでございます、どうぞこちらへ」
「ありがとう」

使用人の出迎えを受け、案内されながら奥へと進む
そこは前にお邪魔したレオナルド様の自室であるアンバー王国王族の住居スペースと建物の作り自体は同じだが、ラピス皇国の王族らしく青を貴重とした家具や装飾で統一された落ち着いた空間になっていた
ちなみにレオナルド様の住居スペースは所々に金が散りばめられた、本人と同じくキラキラとしていて華やかな空間だった

好みにあわせて内装を変えてらっしゃるのかしら?
それとも学校側が気を効かせて国のイメージに沿った装飾に変えているとか?

そんなどうでもいいことを考えながら案内され、到着したのは応接室のような一室

「来たか」
「ご機嫌よう、殿下
お待たせしてしまい申し訳ございません」

部屋のなかですでに待っておられたことに若干驚きつつも頭を下げ、挨拶をする

「いや、そんなに待ってない
こちらへ、座って話をしよう」
「はい、失礼いたします」

エスコートされながら椅子に腰を下ろすと、殿下も向かいに腰かける
すぐに使用人によってテーブルにお茶とお菓子がセットされた
並んだお茶菓子にちらりと目をやる

クッキー、タルト、スコーンとジャムが数種類に、一口大のサンドイッチといった無難なものがなんでいる

出てきたものをみて甘いものが好きそうなら買ってきたもの
ダメそうなら作ってきたものを渡そうと思っていたのだが、見てもやっぱり好みがわからない
さてどうしたものか…

…この際、正直に好みがわからなかったことを話してどちらも渡そうかしら…
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~

黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※ すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

妹よ。そんなにも、おろかとは思いませんでした

絹乃
恋愛
意地の悪い妹モニカは、おとなしく優しい姉のクリスタからすべてを奪った。婚約者も、その家すらも。屋敷を追いだされて路頭に迷うクリスタを救ってくれたのは、幼いころにクリスタが憧れていた騎士のジークだった。傲慢なモニカは、姉から奪った婚約者のデニスに裏切られるとも知らずに落ちぶれていく。※11話あたりから、主人公が救われます。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

婚約破棄をいたしましょう。

見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。 しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

この異世界転生の結末は

冬野月子
恋愛
五歳の時に乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したと気付いたアンジェリーヌ。 一体、自分に待ち受けているのはどんな結末なのだろう? ※「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

処理中です...