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「殿下?大丈夫ですか?」
声をかけられて顔をあげる
そこには訝しげにこちらを伺うセシリアがいた
「先程から黙っておられますが…
体調が優れないようでしたら、もうお部屋に戻ってお休みになられた方がよいのではありませんか?」
「あぁ、いや…問題ない」
答えてワイングラスに口をつける
そこそこ長い時間をかけて昔を思い出していたようで、グラスの中の液体はすでに生温くなっていた
「…」
「それならいいのですけれど…
・・・難しい顔で、どうかされましたか?」
問いかけてくるセシリアの前に持っていたグラスをつき出す
「…?なんでしょうか?」
「冷やせるか?」
言葉少なく問いかけると
彼女がぱちりと目を瞬く
「冷やす?ワインをですか?」
「あぁ
氷らせず、薄めず、冷やせ」
「?はぁ…かしこまりました」
彼女は首をかしげながらも返事をし、グラスに手を翳して目を閉じる
セシリアが着けているバングルに嵌まったラピスラズリが光った瞬間
グラスの中の液体がヒヤリと冷たくなった
「…これでよろしいでしょうか?」
「…あぁ」
口に含むとほどよく冷えた液体が喉を通る
…流石だな
液体を氷らせないように温度を下げるのは、魔力の微調整が難しい
そのため飲み物を冷やすなら氷を作っていれるのが一般的だ
セシリアがあえて難しい方を選んだのは自分が薄めるなと命じたからだろう
わかってはいるが難しい方を選んだ上、こうも簡単に、しかも無詠唱でやられると…
そこまで考えて苦々しい思いでため息をつく
我ながら心の狭いことだ…
昔から進歩のない…
自嘲するように口角をあげて目を閉じる
子供時代、セシル、アル様と呼びあい
恋人でこそなかったが、婚約者候補としてそこそこいい関係を気づいていたアルベルトとセシリアが、こうも他人行儀になってしまったのはこの醜い感情がアルベルトの中で増幅してしまったことが原因だった
声をかけられて顔をあげる
そこには訝しげにこちらを伺うセシリアがいた
「先程から黙っておられますが…
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答えてワイングラスに口をつける
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「…」
「それならいいのですけれど…
・・・難しい顔で、どうかされましたか?」
問いかけてくるセシリアの前に持っていたグラスをつき出す
「…?なんでしょうか?」
「冷やせるか?」
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「あぁ
氷らせず、薄めず、冷やせ」
「?はぁ…かしこまりました」
彼女は首をかしげながらも返事をし、グラスに手を翳して目を閉じる
セシリアが着けているバングルに嵌まったラピスラズリが光った瞬間
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「…これでよろしいでしょうか?」
「…あぁ」
口に含むとほどよく冷えた液体が喉を通る
…流石だな
液体を氷らせないように温度を下げるのは、魔力の微調整が難しい
そのため飲み物を冷やすなら氷を作っていれるのが一般的だ
セシリアがあえて難しい方を選んだのは自分が薄めるなと命じたからだろう
わかってはいるが難しい方を選んだ上、こうも簡単に、しかも無詠唱でやられると…
そこまで考えて苦々しい思いでため息をつく
我ながら心の狭いことだ…
昔から進歩のない…
自嘲するように口角をあげて目を閉じる
子供時代、セシル、アル様と呼びあい
恋人でこそなかったが、婚約者候補としてそこそこいい関係を気づいていたアルベルトとセシリアが、こうも他人行儀になってしまったのはこの醜い感情がアルベルトの中で増幅してしまったことが原因だった
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