悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき

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本編

3(回想)

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アルベルトとセシリアが初めて出会ったのは今から10年ほど前
アルベルト7歳、セシリア5歳の時の事

当時アルベルトは第一皇子という身分に加え、整った容姿と要領のよさから周囲の大人は勿論、子供達からも持て囃されて育った
そんな状態なら当然のことであろう
彼は世間を舐めきり、天狗になっていたのだ

そんなある日
母主催の茶会が開かれ、有力貴族の夫人や子息令嬢達が招かれた

皇宮自慢の噴水のある中庭
着飾った令嬢達が自分の機嫌を取ろうとすり寄ってくるなか
ただ一人近寄ってこない少女がいた
その少女は同年代の令嬢達が好むフリルやリボンのあしらわれた暖色のドレスではなく
シンプルながらも上質だと一目で解る、白を貴重としたドレスを身に纏い
淑女の手本のような笑みを浮かべてただそこに存在していた
年相応に姦しく話に興ずる令嬢達や、子供特有の自慢話ばかりの令息達のなか
ほとんど自分の話はせずに微笑んでいるだけの彼女は、アルベルトの目にひどく異質に映った

「…あの子は?」

自分の側でおしゃべりに花を咲かせていた令嬢達に尋ねるとすぐに答えが返ってくる

「どのお方です?」
「あ、セシリアさまですわ」
「リスト公爵家の方ですわね」
「私、この前のチェスター様のお茶会でもお見かけいたしましたわ」
「あら、チェスターさまと言えば…」

好奇心旺盛な少女たちの話題はすぐに彼女から逸れていった
しかしアルベルトの興味は彼女に向いたままで、令嬢たちの話に相槌をうちながらも彼女を観察する

しばらく見ていても彼女が年相応に粗相をしたり、感情を表に出すことはなかった

…綺麗な子だけど、変わった子だな

それがアルベルトがセシリアにもった第一印象だった

___________________________________________


そのお茶会後、アルベルトは母である皇后に呼び出された
カウチに腰かけた母は若干身を乗り出して問いかけてくる

「アルベルト、今日の茶会で仲良くなった方はいますか?」
「仲良くですか?特には…」
「あら、そう…」

残念そうに眉を下げた母はすぐに気を取り直し、再び尋ねる

「では、気になる子はいなかったかしら?」
「気になる子、ですか?
…あ」
「!いるのね!どなたかしら」
「リスト公爵家の令嬢が、」
「まぁ!公爵家ならちょうどいいわ!
早速招待して時間を作りましょう
陛下にもお伝えしなくては!」

自分の発言を遮り、うきうきと侍女達に指示をだしはじめた母をきょとんと見つめる
もともと人の話を聞かない少女の用なところがある母だが、それにしてもこの喜び方はいったい…

…まぁ、聞いてもわからないな

なんにせよ、こうなってしまった母を制御できるのは父である皇帝だけだ
アルベルトは疑問を抱きつつも、挨拶をのべ母の部屋を後にした
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