甘イキしながら生きてます

ナツキ

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さん。

具合悪いのかな?

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おれはいつのまにか、幸せすぎて泣くようになった。

思い出して、悲しくて、泣くんじゃなくて。




全部、ぜーんぶ。

ゆうと先パイのおかげだ。








30日から4日間のお泊まりは、いっぱい抱きついて、いっぱいキスして、いっぱいえっちして、楽しいお正月だった。おじさんおばさんに迎えに来てもらって、地元で1泊だけ過ごした。
 






寮に戻ると、あまね先パイを見かけた。



あれ、なんか具合悪そう……?









あ、今。

一ノ瀬先パイ見かけて、あまね先パイ行き先変えた。

避けてるのかな。






……声をかければ良かったかな。

でも、1回数学教えてもらっただけなのに、 おれがフレンドリーに話しかけたらびっくりしちゃうかな。










少し気になりつつむかえた月曜、始業式。



寮に戻ろうとしたところで、あまね先パイがいた。


やっぱり、すっごく具合悪そう……。




声、かけていいかな?


いいよね?



「あまね先パイ~お疲れ様です」

うわ、振り向いた先パイの顔色、ヤバい。

「……お疲れ、天野くん。部活は何時から?」

部活??

「今日は14時集合です~寮でごはん食べます。……体調悪そうですね?  自転車後ろ乗って行きますか~?」

「あ、いや……いいや、ありがとう」



あれ、断られた。


あ、そっか。

「先パイ、寮に戻りたくない感じ?」

「あー……うん、そうかな。もうちょっとしてから帰るよ」

「……一ノ瀬先パイですか?」

そう聞くと、あまね先パイは目を丸くした。



うわ~、かかわいいっ!




「図星でしょ~。寝たいなら、いいとこ知ってるんで教えますよ。ついてきてください」

おれは先パイをぐいぐいひっぱって、サッカー部の部室まで連れていった。






じゃじゃんっ。



去年作った、秘密基地。


実は現役で活躍中なんです。


えへへ。




「……すごい。これ天野くんが作ったの?」

あ、先パイびっくりしてる♡

「そうです~夏休みに作ったんですよ。知ってるのゆうと先パイと大野なんですけど、一度荷物詰めこんで基地なくしたことになってるんで、知ってるのはおれだけ~♡」

「ふふ、かわいいな、天野くんは」

「ありがとうございまーす。先パイ、ここで寝てていいですよ。おれ1時間で戻ってくるんで、部員来ても見張っときますから~」

かわいいっていわれちゃった♡♡うれしい♡♡

「えー、ほんと?  助かる。……涼くんがね、過保護すぎて」

「体調悪いの、知られたくないんですか?」


ほんの少し、わずかに、間があいた。

「そうなんだよ~寝てれば治るんだけど」



たぶん、ウソですね。

おれ勘がいいほうだから、こういうのわかっちゃうの。
でも、おれは気づかないふりをしてあげた。

おれに知られたくない、なにかがあるんでしょ。

「じゃあ黙っときますね~おやすみなさーい」









寮に戻って、ごはん食べたらすぐ部室に行こうと思ったのに。


ルームメイトのたいらから、一ノ瀬先パイのとんでもない話を聞いちゃう。


なんか、監視してるみたい。


位置情報アプリを勝手にインストールしちゃって、GPSであまね先パイの居場所を監視してるって。





こっわ。



なになに?


つきあってるのかな?


いやつきあってても監視しちゃダメでしょ。




たいらと話してたら寮を出るのが遅くなって、もう1時すぎてた。あわてて歯みがきして、寮を出た。


学校近くで一ノ瀬先パイに出会っちゃったから、なにも知らないふりしてあいさつだけしとく。




でも、追いかけてきた。



えー?!


いや部活いっしょですけどね。


なんだろ、狂気じみててこわーいの。


あまね先パイいやがってるの、ごくごく当たり前の反応なんじゃなーい?


「伊織、あまねどこにいる?」

駐輪場で追いつかれて、あまね先パイのことを聞かれてしまった。

「え? 知らないですぅ~」

おれはとぼけて返事した。


でも、一ノ瀬先パイはしつこく何度も聞いてくる。部室についてからも。

「もー、知らないですよ~」

「あまねといたの見たんだよ。なんか知ってるんだろ」

「こわいな~一ノ瀬先パイ。ストーカーですか~?」

一ノ瀬先パイ声大きい。あまね先パイ起きちゃうよお。

「もー、少し話しただけですよ。教室に戻るっていってましたよ?」

「さっき見たけど、いなかったんだよ。スマホもつながらないし、ちょっと困ってるの!」

「なんであまね先パイそんなに追いかけるんですか?  つきあってるんですか?」

「付き合ってねーわ。お前自分がゆーとと付き合ってるからって、全部そういう目で見るのやめろ」

あっなんてことをいうのっ!
あまね先パイに知られちゃったら、ゆうと先パイ怒るかもお。

おれは平気だけど、ゆうと先パイ隠したがりだからなあ。


……まあいっか、あまね先パイは広める人じゃないでしょ。


「とにかく~、一ノ瀬先パイはサッカーしましょうよ。部活から帰ったら、きっと部屋にいますよ♡」

「はあ~。もしかして、伊織も小悪魔にやられたの?」

「小悪魔って?  あまね先パイのことですか?」

びっくり。

あまね先パイが小悪魔?

そんなイメージじゃないけどなあ。

「うーん、小悪魔っていうか。儚げ?  危ういですよね。みんなが、守りたくなるのわかります」

実際、おれも手をかした。助けてあげなきゃって、思っちゃう。

「もーやだ。お前が隠してるのはわかったから、居場所言えっ!!」



うう、しつこい~!!

こんなの彼氏だったらやだっ!!




さすがに困っていたら、タイミングよくゆうと先パイがきてくれた。

はあ~やっぱり、おれの王子様♡

「お疲れ~、あ、今日は涼もいる!  よしっ」

「ゆうと先パイ~、一ノ瀬先パイがいじめる~♡」

「ああっ?  涼、後輩いじめるなよ」

もっといって。もっといって。

いじめられたよ~っ!

「いじめてねーよっ」

「とにかく、早く着替えてグラウンド行け!」

「わかったよ……」

一ノ瀬先パイはしぶしぶ着替えはじめて、おれへの追及は終わった。



はー、こわかったあ。


こりゃ、寮でも助けてあげた方がいいな。一ノ瀬先パイの執着、こわすぎる。










なんだかおれの人生、急展開むかえたって感じ、しない……?







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