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いち。
次はゆうと先パイからだよ。【最終話】
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ゆうと先パイは、身体に広範囲のやけどの痕があり、それを誰にも見せたくなかったのだと打ち明けてくれた。
おれに告白されて、でもつきあうとなると申し訳ないという気持ちの方がまさり、自分も好きだといえなかったという。
こんな、汚いオレが恋人だなんて、申し訳ない。
そう思っていたそうだ。
「おれ、汚いだなんていうわけないでしょ? おれのことどういう人間だと思ってたのさ」
「伊織が、きれいだから。きれいだから、不安だった」
「も~ほめすぎ。おれ、ずっと好きだっていってたのに、わかってなかったんだね」
抱きしめながら、見えないやけどの痕をやさしく撫でる。
「二子コーチとの会話聞いて……もしかして、いえるかな、って思った」
でも、思わず二子コーチの傷痕を汚いといってしまい、おれを怒らせてしまったと。
もう、不器用なんだから。
「……おれの出身はね、北の方。親は2人ともそこで死んだ。海がきらいで、3月になると食欲が少しだけなくなる。これがおれがいわなかったこと」
「……この前、無理に聞いてごめんな」
「いいよ。恋人だったら、いつかいおうと思ってたことだし。九州にいると、おれも忘れそうになる。忘れられる。忘れたらダメだけど、忘れてる時間がほしいから。あ、育ててくれたおじさんおばさんはいい人だからね? おれがサッカーやりたくて、寮に入ってるんだよ」
頭にあまね先パイのことがよぎって、補足する。
「オレも、母親が離婚して再婚した新しい親父はめちゃくちゃいい人。サッカーも応援してくれてる」
「良かった」
おれはTシャツから手を抜き、先パイの首に手を回す。
「今度は先パイから、好きって告白してよ」
返事を聞かずに、おれはキスをした。
唇を離し、見つめる。
もう1度、唇を合わせる。
小さく、つまむ。
ついばんで、ついばんで、いやらしく吐息を頬にかける。
「今度の水曜、先パイのうちに行っていい?」
好きっていってくれない先パイに、たくさん仕掛けていく。
さあ、早く告白してよ。
おれは、大好きなんだよ?
先パイののどがゴク、となった。
「……ずっと、ずっと好きだった」
「っ━━うれしい」
おれは、ぎゅうっと抱きついた。
うれしい、うれしい、うれしい、!!
やっと、聞けた。
おれのことが、好き。
好きといわれて全身で喜ぶおれを、先パイはやさしく包みこんでくれた。それからつづけて、こういったんだ。
「オレと、つきあってくれますか?」
━━━もちろん。
もちろん。
もちろん!!!
「……っ」
たくさんの、もちろんが口の中で渋滞して、声が出ない。
代わりに、うれし涙が瞳からこぼれ落ちた。
おれは、ほほ笑みながら、しずかに泣いた。
ゆうと先パイは、抱きつくおれを離し、涙を流しているおれの目元を指でぬぐってくれた。そうして、そっとやさしく濡れた瞳にキスをしてくれた。
頬にキスして、おれの唇にそっとタッチする。
ふれたか、ふれてないか、わからないくらいのキス。
やさしい、やさしい先パイ。
大好き。
次の水曜日まで待てなくなったおれと先パイは、寮を出て、先パイのうちまで行った。
もちろん、部活なんかサボっちゃう。
ゆうと先パイはほんの少し、罪悪感にさいなまれてたけど。
先パイは肌を見せることはまだできなかったけど、触らせてくれた。ちくびをつまむと、「んん゛っ」とくぐもったあえぎ声を出したから、いつか脱がせてれろれろ舐めたいな、と思った。
真っ暗にしたら脱いでくれるかもね?
それか、おれが目隠ししちゃう?
あ、それいいかも。
にこコーチのちょっとした言葉責め、気持ち良かったもの。ソフトSM、興味あるよ。
やさしい先パイが、どこまでしてくれるかな。無理かな?
楽しみ。
粉砂糖みたいな先パイのえっちは、甘くてふんわりとして、おれをどこまでもやさしく包みこんでくれた。
おれに告白されて、でもつきあうとなると申し訳ないという気持ちの方がまさり、自分も好きだといえなかったという。
こんな、汚いオレが恋人だなんて、申し訳ない。
そう思っていたそうだ。
「おれ、汚いだなんていうわけないでしょ? おれのことどういう人間だと思ってたのさ」
「伊織が、きれいだから。きれいだから、不安だった」
「も~ほめすぎ。おれ、ずっと好きだっていってたのに、わかってなかったんだね」
抱きしめながら、見えないやけどの痕をやさしく撫でる。
「二子コーチとの会話聞いて……もしかして、いえるかな、って思った」
でも、思わず二子コーチの傷痕を汚いといってしまい、おれを怒らせてしまったと。
もう、不器用なんだから。
「……おれの出身はね、北の方。親は2人ともそこで死んだ。海がきらいで、3月になると食欲が少しだけなくなる。これがおれがいわなかったこと」
「……この前、無理に聞いてごめんな」
「いいよ。恋人だったら、いつかいおうと思ってたことだし。九州にいると、おれも忘れそうになる。忘れられる。忘れたらダメだけど、忘れてる時間がほしいから。あ、育ててくれたおじさんおばさんはいい人だからね? おれがサッカーやりたくて、寮に入ってるんだよ」
頭にあまね先パイのことがよぎって、補足する。
「オレも、母親が離婚して再婚した新しい親父はめちゃくちゃいい人。サッカーも応援してくれてる」
「良かった」
おれはTシャツから手を抜き、先パイの首に手を回す。
「今度は先パイから、好きって告白してよ」
返事を聞かずに、おれはキスをした。
唇を離し、見つめる。
もう1度、唇を合わせる。
小さく、つまむ。
ついばんで、ついばんで、いやらしく吐息を頬にかける。
「今度の水曜、先パイのうちに行っていい?」
好きっていってくれない先パイに、たくさん仕掛けていく。
さあ、早く告白してよ。
おれは、大好きなんだよ?
先パイののどがゴク、となった。
「……ずっと、ずっと好きだった」
「っ━━うれしい」
おれは、ぎゅうっと抱きついた。
うれしい、うれしい、うれしい、!!
やっと、聞けた。
おれのことが、好き。
好きといわれて全身で喜ぶおれを、先パイはやさしく包みこんでくれた。それからつづけて、こういったんだ。
「オレと、つきあってくれますか?」
━━━もちろん。
もちろん。
もちろん!!!
「……っ」
たくさんの、もちろんが口の中で渋滞して、声が出ない。
代わりに、うれし涙が瞳からこぼれ落ちた。
おれは、ほほ笑みながら、しずかに泣いた。
ゆうと先パイは、抱きつくおれを離し、涙を流しているおれの目元を指でぬぐってくれた。そうして、そっとやさしく濡れた瞳にキスをしてくれた。
頬にキスして、おれの唇にそっとタッチする。
ふれたか、ふれてないか、わからないくらいのキス。
やさしい、やさしい先パイ。
大好き。
次の水曜日まで待てなくなったおれと先パイは、寮を出て、先パイのうちまで行った。
もちろん、部活なんかサボっちゃう。
ゆうと先パイはほんの少し、罪悪感にさいなまれてたけど。
先パイは肌を見せることはまだできなかったけど、触らせてくれた。ちくびをつまむと、「んん゛っ」とくぐもったあえぎ声を出したから、いつか脱がせてれろれろ舐めたいな、と思った。
真っ暗にしたら脱いでくれるかもね?
それか、おれが目隠ししちゃう?
あ、それいいかも。
にこコーチのちょっとした言葉責め、気持ち良かったもの。ソフトSM、興味あるよ。
やさしい先パイが、どこまでしてくれるかな。無理かな?
楽しみ。
粉砂糖みたいな先パイのえっちは、甘くてふんわりとして、おれをどこまでもやさしく包みこんでくれた。
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