12 / 30
いち。
やっと。
しおりを挟む
あーだるい。
大野にヤられそうになるなんて。そんで、仕方なく下手くそなキスを受け入れなきゃいけなかったのが、ほんとうにいやだった。
もう寮に帰ってしまおう。
15時すぎに寮にたどり着き、寮母さんには体調悪いから早退してきましたぁ~といって、部屋に戻って寝ころんだ。
ごろごろ。
ごろごろ。
なんかおなかすいたな。部屋に置いてある小さな冷蔵庫を開けると、おれのはプリンだけ入っていた。2つあるから、1個はあまね先パイにあげよう。昨日謝りにいくの忘れてたし。
そう思っていると、コンコンとドアのノックが聞こえたので返事をする。
「はぁーい」
ガチャリとドアが開いて入ってきたのはゆうと先パイだった。
おれは目を丸くする。
「えっっっ」
「心配で来た」
「~~~なんで?」
「涼が、お前が帰るの見かけたっていうから。教室に荷物も置いたままだろ?」
「あ……」
そうだった。おれ部室からそのまま帰ってきちゃった。
イラつくと、ろくなことないな。
「顔、ケガした?」
「……大丈夫です。部活は休むかもしれないけど」
大野に会いたくないし。
「オレ、座っていい?」
「……どうぞ」
勉強机用の椅子を、くるっと回してゆうと先パイに渡す。おれは2段ベッドの下に腰かけた。
「話したいことあって……」
ゆうと先パイが、低い声で話しはじめる。
うっ……やっぱ、好き……。
「二子コーチのこと、悪くいうつもりはなかった」
「そうですか」
てことは、やっぱり。
「……じゃあ、自分のことでした?」
おれは、一晩考えたことを聞いてみた。
「そう。オレのこと」
「……おれたち、つきあってたんですか?」
これも、考えていたこと。いつものおれなら聞けなかった。機嫌が悪くて、もう聞いちゃえーていう気分になってるから聞けてる。
「つきあいたかったけど、不安だった。だからうやむやにしてた」
じゃあ結局のところどっちなんだ?
つきあってなかった?
せふれ?
ゆうと先パイは、椅子から立ち上がり、制服の裾をズボンから出した。それから、おれのそばに膝立ちになり、おれの右手をすくう。
「伊織、手を入れてみて」
そういって、ゆうと先パイがシャツの裾を広げた。
おれはおそるおそる下から右手を入れていく。
「━━━っ」
おれの指が、先パイのお腹にあたると、先パイはピクリと反応した。
かわいい。
それから上へと手を這わせると、わずかにぽこぽことしていた。おれは動くのをやめる。
先パイの顔をみる。
「……汚いだろ」
自嘲気味に、先パイはいった。
ああ、そうだったんだ。
先パイは、おれに恥ずかしいと思ってたんだね。
それで、つきあえないと思ったの?
それで、見ようとしたおれをふったの?
「なんで?」
おれはなんで、恥ずかしいと思うの、っていう意味で聞きたかったけど、先パイは原因を答えた。
「親父にやられて、痕が残ってる」
たぶん、これはやけどの痕。
同級生の小さなやけどの痕を見たことあるから、知ってる。
さらに手を上になぞらせると、かなりの広範囲がぽこぽことしていた。
おれは、左手も差し込んで、それから手を後ろに這わせて、抱きしめた。
「誇るべき、痕じゃん……」
きれいだなんて、嘘はつかない。先パイも、それは望んでないはずだ。
だから、おれは思ったことを、そのままいう。
「サバイバーの、証だよね……」
おれだから、いえること。
おれの親は、なすすべもなく、あっけなく死んだ。
それって、無念だよね。抗うっていう選択肢なかったんだから。
ゆうと先パイは、生きてる、生き残れたってこと。その証を、なんでおれが汚いっていう?
いうわけないじゃん。
「汚いなんて、いうわけない」
ただそれだけ伝える。
先パイは、おれを抱きしめてくれた。
大野にヤられそうになるなんて。そんで、仕方なく下手くそなキスを受け入れなきゃいけなかったのが、ほんとうにいやだった。
もう寮に帰ってしまおう。
15時すぎに寮にたどり着き、寮母さんには体調悪いから早退してきましたぁ~といって、部屋に戻って寝ころんだ。
ごろごろ。
ごろごろ。
なんかおなかすいたな。部屋に置いてある小さな冷蔵庫を開けると、おれのはプリンだけ入っていた。2つあるから、1個はあまね先パイにあげよう。昨日謝りにいくの忘れてたし。
そう思っていると、コンコンとドアのノックが聞こえたので返事をする。
「はぁーい」
ガチャリとドアが開いて入ってきたのはゆうと先パイだった。
おれは目を丸くする。
「えっっっ」
「心配で来た」
「~~~なんで?」
「涼が、お前が帰るの見かけたっていうから。教室に荷物も置いたままだろ?」
「あ……」
そうだった。おれ部室からそのまま帰ってきちゃった。
イラつくと、ろくなことないな。
「顔、ケガした?」
「……大丈夫です。部活は休むかもしれないけど」
大野に会いたくないし。
「オレ、座っていい?」
「……どうぞ」
勉強机用の椅子を、くるっと回してゆうと先パイに渡す。おれは2段ベッドの下に腰かけた。
「話したいことあって……」
ゆうと先パイが、低い声で話しはじめる。
うっ……やっぱ、好き……。
「二子コーチのこと、悪くいうつもりはなかった」
「そうですか」
てことは、やっぱり。
「……じゃあ、自分のことでした?」
おれは、一晩考えたことを聞いてみた。
「そう。オレのこと」
「……おれたち、つきあってたんですか?」
これも、考えていたこと。いつものおれなら聞けなかった。機嫌が悪くて、もう聞いちゃえーていう気分になってるから聞けてる。
「つきあいたかったけど、不安だった。だからうやむやにしてた」
じゃあ結局のところどっちなんだ?
つきあってなかった?
せふれ?
ゆうと先パイは、椅子から立ち上がり、制服の裾をズボンから出した。それから、おれのそばに膝立ちになり、おれの右手をすくう。
「伊織、手を入れてみて」
そういって、ゆうと先パイがシャツの裾を広げた。
おれはおそるおそる下から右手を入れていく。
「━━━っ」
おれの指が、先パイのお腹にあたると、先パイはピクリと反応した。
かわいい。
それから上へと手を這わせると、わずかにぽこぽことしていた。おれは動くのをやめる。
先パイの顔をみる。
「……汚いだろ」
自嘲気味に、先パイはいった。
ああ、そうだったんだ。
先パイは、おれに恥ずかしいと思ってたんだね。
それで、つきあえないと思ったの?
それで、見ようとしたおれをふったの?
「なんで?」
おれはなんで、恥ずかしいと思うの、っていう意味で聞きたかったけど、先パイは原因を答えた。
「親父にやられて、痕が残ってる」
たぶん、これはやけどの痕。
同級生の小さなやけどの痕を見たことあるから、知ってる。
さらに手を上になぞらせると、かなりの広範囲がぽこぽことしていた。
おれは、左手も差し込んで、それから手を後ろに這わせて、抱きしめた。
「誇るべき、痕じゃん……」
きれいだなんて、嘘はつかない。先パイも、それは望んでないはずだ。
だから、おれは思ったことを、そのままいう。
「サバイバーの、証だよね……」
おれだから、いえること。
おれの親は、なすすべもなく、あっけなく死んだ。
それって、無念だよね。抗うっていう選択肢なかったんだから。
ゆうと先パイは、生きてる、生き残れたってこと。その証を、なんでおれが汚いっていう?
いうわけないじゃん。
「汚いなんて、いうわけない」
ただそれだけ伝える。
先パイは、おれを抱きしめてくれた。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
【※R-18】αXΩ 懐妊特別対策室
aika
BL
αXΩ 懐妊特別対策室
【※閲覧注意 マニアックな性的描写など多数出てくる予定です。男性しか存在しない世界。BL、複数プレイ、乱交、陵辱、治療行為など】独自設定多めです。
宇宙空間で起きた謎の大爆発の影響で、人類は滅亡の危機を迎えていた。
高度な文明を保持することに成功したコミュニティ「エピゾシティ」では、人類存続をかけて懐妊のための治療行為が日夜行われている。
大爆発の影響か人々は子孫を残すのが難しくなっていた。
人類滅亡の危機が訪れるまではひっそりと身を隠すように暮らしてきた特殊能力を持つラムダとミュー。
ラムダとは、アルファの生殖能力を高める能力を持ち、ミューはオメガの生殖能力を高める能力を持っている。
エピゾジティを運営する特別機関より、人類存続をかけて懐妊のための特別対策室が設置されることになった。
番であるαとΩを対象に、懐妊のための治療が開始される。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
痴漢に勝てない肉便器のゆずきくん♡
しゃくな
BL
痴漢にあってぷるぷるしていた男子高校生があへあへ快楽堕ちするお話です。
主人公
花山 柚木(17)
ちっちゃくて可愛い男子高校生。電車通学。毎朝痴漢されている。
髪の色とか目の色はお好みでどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる