甘イキしながら生きてます

ナツキ

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いち。

おれってもしかして。

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もしかしてだけど。


おれ、つきあってないのかな。


コンビニに寄ってから寮に送ってもらったあと、ちょっと冷静に考えてみる。

9月に、「大好きです」と告白した。

返事は……?








どくん。




どくん。







も、も、もらってなぁ━━━━━━━いっ!!




え?  え?  うそっ?!




おれ、OKもらってたと思ったけど、ただ抱きしめられただけだ。

それから、「大好き」だとも「愛してる」とも今までいわれたことない。


そ、それって。



もしかして。







おおおおれ、せふれだった……?!


あまりのショックに、ワナワナとふるえちゃう。


こっわ。



自分の思いこみが、怖すぎる。



よく先パイ、おれとくだらないおしゃべりにつきあっててくれたな?

よく先パイ、写真撮ってくれたな?



はぁ。







意気消沈して、お風呂場に行く。


同じ1年の、百瀬がいた。

「あれ、伊織元気ないね」

「いやー、まいりましたよ。ふられたかも」

「あらら~伊織はサッカーうまいしかわいいのにねぇ。相手1年?」

「いや、先パイなんだけどさ……まあいいや」

「それ、恋敵いる感じ?」

「え?  いや……わかんない」
考えたことなかった。もしかして、誰かの代わりなのかな。

「呪いのメェー様、って知ってる?」

「知らなーい。なにそれ」

「暴露サイトあるじゃん。あそこに、咲月学園の恨みをはらしてくれるメェー様いるんだって」

「へえ、初めて聞いた」

「今オレのクラスでは話題になってるよ。サッカー部の3年、それでケガしたってさ」

「ええー?  そうなんだぁ」

「伊織の恋敵も、それでやっつけてもらえば?」

「百瀬、こわい」

「はははッ」



そんな都市伝説があったなんて、知らなかったなあ。


おれなら、そんな恨みの呪いより、恋のおまじないの方がうれしい。
ゆうと先パイとおれ、ちゃんと結ばれないかな~。

「よお、お疲れ~」


一ノ瀬先パイが湯船に入ってきた。

はあ♡先パイの生裸♡♡
めっちゃキュンキュンするぅ~♡♡

乳白色で見えなくて助かった。おれ、今ちょっと勃ってる。
なんならちょっとイきそう。

甘イキってやつ?

はあ♡はあ♡



「メェー様ってオレも初めて聞いた。最初誰から聞いたの?」

「お、同じクラスの女子です。3年の先輩がなんか学校辞めたらしいんですけど、それがメェー様の呪いだって」

「それから3年サッカー部のケガ?」

「そうです。あと2年の先輩でも呪われた女子いるって聞きましたよ」

「えーほんと?  けっこう呪われてるんだ」



百瀬と一ノ瀬先パイが、仲良くしゃべってる。おれ、間に入りたいけど入りこめない~。


「まあオレのことは書くなよ?」
と一ノ瀬先パイが明るくいった。

はあ、やっぱかっこいい♡♡

ゆうと先パイつきあってないなら、一ノ瀬先パイに告白しちゃおうかな♡♡


……なんてね。




おれ、ゆうと先パイがいい。


せふれでも、それ以下でも、おれはゆうと先パイとできるだけ同じ空気を吸って生きたいんだ。
声だけでキュンキュンして、それだけで生きていく糧になってるんだ。


おれ、もうこれ以上詮索しない。
気づかないふりして、これからもゆうと先パイにつきまとおうっと。









「伊織、」
先に風呂を上がると、脱衣所で一ノ瀬先パイが声をかけてくれた。


わぁ♡
眼福、眼福っ♡


「さっき暗い顔してたから。大丈夫?」

「だ、大丈夫です♡」

「そっか。なにかあったら言えよ?」

「はい♡ありがとうございますっ♡」






なになになにぃ~?




もしかして、おれのこと気になっちゃってる感じ?

ふふふふふ。


「伊織と、あまねって、なんか似てるから。あ、オレの親友ね、神崎天音」

え、そっち?


「あー……よく知らないけど、伊織もちょっと苦労したんだろ?」

なになに。

本命を心配してるついでに、おれ?

なんだよ~それ。


ちょっとがっかりした。

でもそんな素振りは見せない。







「そうですね、ちょっとばかり天涯孤独なだけです♡」




にっこりと笑って、おれはバクダンを投げてやった。
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