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婚約解消と運命の女神

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 ぼんやりと外を眺めるユーリ殿。俺は彼の気持ちに気づいていた。

 学園でヘレネ嬢と知り合ってからすぐに、俺は定期的に彼の視線を感じるようになった。
 表向きは友だちのように振る舞っているが、実際は愛しているのだろう。この視線の意味は、嫉妬だ。

 一方で、ヘレネ嬢の方は本当にユーリ殿のことを友だちだと思っているようだった。

 「いつでも悩みを聞いてくれて優しいの」

 そう言って笑う彼女に、ユーリ殿への恋情は感じなかった。

 彼女と言葉を交わすほどヘレネ嬢のことを好きになってしまう自分がおさえられない。こんな恋、叶うわけがない。
 想いが一方通行でも、2人の関係は良好だ。おだやかな尊重し合える夫婦になるだろう。

 恋を想い出に国に帰った。早速見合い話がいくつも飛び込んできたが、当分はそんな気分になれなかった。

 そんな時に、ユーリ殿から連絡があった。ヘレネ嬢と結婚しないかと。

 正直、驚いた。だが、こんなチャンスはまたとない。ユーリ殿の気持ちを知っていながらも、俺はその提案に飛びついた。

 ヘレネ嬢に歩み寄り、求婚する。ヘレネ嬢は顔を真っ赤にしながら了承してくれて、幸せが全身を包んだ。

 ユーリ殿、すまない。ヘレネ嬢は絶対に俺が幸せにする。安心してくれ。
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