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84 初デート1
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合宿から帰ってきて数日経ったある日。
私は王都の中心部にある噴水にむかっていた。
今日は、ルーと2人で会おうと約束した日だからだ。いわゆる、デートである。私たちは噴水で待ち合わせをしているのだ。
貴族の男女が会う時は、本来ならば男性が女性の家まで馬車で迎えに行き、そこから目的地へ向かうので待ち合わせはしない。
それにもかかわらず私たちが待ち合わせをしているのは、私がまだ両親にルーとの関係を話せていないからだ。
お父さまは私には最高の男性と結婚してほしいのだと言って、私が男性を連れてきた時には厳しい目で審査するのだと意気込んでいる。
昔手紙を出して返事が返って来なかったことを嘆く私を見て、ルーに対して「許さん!」と息巻いていたことを覚えている私としては、なかなかルーと恋人関係になったことを言い出しにくかったのだ。
ルーはそんな私の気持ちを尊重してくれて、待ち合わせにしようと提案してくれたのだった。
噴水の前につくとルーは先についていて、私の姿を見つけると手を振った。
私はルーに駆け寄った。
ルーは街で浮かないようにシンプルな服を着ていた。白いシャツに紺色のベスト。ズボンは細身で、スラリとした長い脚を強調していた。身長の高いルーはどんな服でもかっこよく着こなすことができるようだった。むしろ服がシンプルだからこそ、その顔の良さが引き立っている。
「ルー、その服、とっても似合ってるわ」
ルーは目を細めた。
「ありがとう。君も、とっても綺麗だ。その服……。あの花の色に、よく似てる」
そう。私が今着ているワンピースは、あの思い出のピンクの花に似ていて一目惚れして購入したものだった。既製品で平民の服なので着る機会はあまり多くはないが、大のお気に入りだった。
「ルーもそう思う? お気に入りなの」
くるりとその場で一回転すると、スカートがふわりと揺れた。
さっそくお店を見てみようと歩き出した私の手は、すっぽりとルーの大きな手の中におさまった。
私は少し動揺したものの、必死に平静を装った。私は男性に慣れていないからちょっとしたスキンシップでも照れてしまうのだが、ルーはどうやら照れる私を見て楽しんでいるようなのだ。今日はルーの思い通りの反応なんてしないわ。
そう決意したものの、子どもの頃とは違う大きくて骨ばった手は、ルーが男性であることを意識させる。
だめだめ。今日こそは、頑張るのよ。
繋いだ手とは反対の手で気になったお店を指さした。
「あの店に行ってみたいわ」
今日はなんだか良い感じだわ。普通に話せてるもの。
そう思ったのも束の間。ルーの手の力が一瞬緩んだかと思うと、指と指を絡めて繋ぎ直された。
うわぁぁぁ、むり。
私はプシューッと音が出そうなほど頬を紅潮させ、へなへなとその場にしゃがみ込んだ。
頭上からルーがくすくす笑うのが聞こえてくる。いつもルーの方が上手だ。
私は王都の中心部にある噴水にむかっていた。
今日は、ルーと2人で会おうと約束した日だからだ。いわゆる、デートである。私たちは噴水で待ち合わせをしているのだ。
貴族の男女が会う時は、本来ならば男性が女性の家まで馬車で迎えに行き、そこから目的地へ向かうので待ち合わせはしない。
それにもかかわらず私たちが待ち合わせをしているのは、私がまだ両親にルーとの関係を話せていないからだ。
お父さまは私には最高の男性と結婚してほしいのだと言って、私が男性を連れてきた時には厳しい目で審査するのだと意気込んでいる。
昔手紙を出して返事が返って来なかったことを嘆く私を見て、ルーに対して「許さん!」と息巻いていたことを覚えている私としては、なかなかルーと恋人関係になったことを言い出しにくかったのだ。
ルーはそんな私の気持ちを尊重してくれて、待ち合わせにしようと提案してくれたのだった。
噴水の前につくとルーは先についていて、私の姿を見つけると手を振った。
私はルーに駆け寄った。
ルーは街で浮かないようにシンプルな服を着ていた。白いシャツに紺色のベスト。ズボンは細身で、スラリとした長い脚を強調していた。身長の高いルーはどんな服でもかっこよく着こなすことができるようだった。むしろ服がシンプルだからこそ、その顔の良さが引き立っている。
「ルー、その服、とっても似合ってるわ」
ルーは目を細めた。
「ありがとう。君も、とっても綺麗だ。その服……。あの花の色に、よく似てる」
そう。私が今着ているワンピースは、あの思い出のピンクの花に似ていて一目惚れして購入したものだった。既製品で平民の服なので着る機会はあまり多くはないが、大のお気に入りだった。
「ルーもそう思う? お気に入りなの」
くるりとその場で一回転すると、スカートがふわりと揺れた。
さっそくお店を見てみようと歩き出した私の手は、すっぽりとルーの大きな手の中におさまった。
私は少し動揺したものの、必死に平静を装った。私は男性に慣れていないからちょっとしたスキンシップでも照れてしまうのだが、ルーはどうやら照れる私を見て楽しんでいるようなのだ。今日はルーの思い通りの反応なんてしないわ。
そう決意したものの、子どもの頃とは違う大きくて骨ばった手は、ルーが男性であることを意識させる。
だめだめ。今日こそは、頑張るのよ。
繋いだ手とは反対の手で気になったお店を指さした。
「あの店に行ってみたいわ」
今日はなんだか良い感じだわ。普通に話せてるもの。
そう思ったのも束の間。ルーの手の力が一瞬緩んだかと思うと、指と指を絡めて繋ぎ直された。
うわぁぁぁ、むり。
私はプシューッと音が出そうなほど頬を紅潮させ、へなへなとその場にしゃがみ込んだ。
頭上からルーがくすくす笑うのが聞こえてくる。いつもルーの方が上手だ。
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