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36.5:パズルゲーム
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※本編に差し込むかどうかで悩んだジニーとキースの余談編です。
株式会社オリヴィエの社長、ジニー・ロバーツは、この年、例年になく多くの企業からパーティーや行事への誘いを受けた。
頑張ってきた甲斐あって会社は右肩上がりの成長を遂げており、今年はついに、この一年間で国家に貢献した新興企業100選に選ばれ、王室から褒章授与式の招待状さえも送られて来た。
正直にいえば、会社がここまで大きくなるとはジニーもウェインも思っていなかった。
さて、それはともかくまだ十月である。
この週のパーティーは、コヴェンの中心街にある高級ホテルの会場で、夜に行われることになっていた。
主催は有名な株式会社パロームという服飾ブランドで、ジニーは始めての参加だ。ここで繋がったどこかしらの企業からシステム開発の受注でもできればしてやったりである。
彼は今夜も黒のスーツをビシッと着こなし、秘書のミック――こちらも黒のスーツ姿――に社用車のミニバンを運転させて会場へ向かっていた。
小太りで丸メガネをかけた赤毛の秘書は運転席から後部座席に書類封筒を差し出した。
「社長、これ、年末のスケジュール。目、通しておいて下さいね」
「あーあ、誰だよ年末はどこも休みって言ったの」
受け取った封筒から書類を取り出して、ジニーがサラサラと目を通す。ミックは呆れ顔でハンドルを握っていた。
「聖祈堂と王室は年末休みないですからねぇ。社長はロンバールの葬儀行くしかないですよ」
「はー……行くしかねぇよなぁ。俺、なんでいっつもこうなんだろうな。可愛い子とデートの約束してたんだよ……?」
「あー、この間、社長がスケジュールに無理矢理ねじこんで来たあの子ですか。バッフェン城の。あれってマクファーデンさん家の家政婦でしょう。社長の彼女なんですか?」
「んー?」
ジニーはげんなりとして元気なく返事をする。
「まだ違うよ。多分今ウェインと取り合ってるとこ」
「はぁ? 二人とも、良い歳して何やってんですか」
ジニーは嘆息した。まさかヘレンとのデートをキャンセルすることになるとは……と、落胆しきりなのである。
ヘレンへ謝りの電話を入れたら、「旦那様が迎えに来てくださるそうなので大丈夫です。気になさらないで下さい」と弾んだ声で励ましを受けたのはつい最近のことである。
迎えに行くだけかよ! と心の中で虚しいツッコミを入れてもみたが、ウェインが女を迎えに行く時点でその気があるに等しいし、ヘレンなど、ウェインがその素振りを見せるだけでコロッと行ってしまうだろう。
ミックが愉しげに半眼になる。
「で、社長とマクファーデンさん、どっちが優勢なんですか」
「……はーあ……九割方ウェインかな……」
「ぶはっ。そんなのもう完全に負けですよ。その子、あのマクファーデンさんと同棲してるんでしょ」
「おい、やめろ! 同棲じゃねぇよ。住み込みだよ!」
「同じですよ。絶対家の中ではイチャイチャしてますよ。もう諦めて別の子探しましょう」
「うるせぇ黙れ! ……はーあ……、凹むなぁ……」
情けないため息を連発する社長を、ミックはバックミラーごしにジトリと見つめた。
パーティー会場はホテルの最上階にあった。今回はダンスがないため、中央に立食テーブルがいくつも置かれており、オマールエビや牛ステーキなどの食欲をそそるにおいが充満している。
まだ開会前だったのでジニーとミックは壁際に置かれたソファに座って、ホールの様子を見ていた。
客数は百人弱といったところだろうか。彼らは主に服飾関係の従事者である為に、奇抜なファッションドレスやスーツを身に着けている者も多く、なかなか目を飽きさせることがない。
そろそろパーティーが始まろうかという時刻になり、入り口から入って来た巨体に気付いてジニーは顔をしかめた。
巨体は二人おり、その前をシルバーグレイの派手なスーツを着た黒髪の青年と銀髪の美青年が腕を絡ませて堂々と歩いている。
「うわぁ……キースさん達がいるよ……」
「え、ポセイドロンのキース・ロージーですか? あんな有名人とお知り合いなんですか」
「いや、知り合いっていうか……まあ、そうだな。俺、隠れるわ」
「え? パーティーはどうするんですか。他社との交流は」
「悪いけど……お前がやってくれ」
「ええぇえ?」
ジニーはキースに気付かれぬようにそっと立ち上がり、太い柱の陰に身を忍ばせた。
あちらの様子はというと、キースはソファに大股開きで座り、片腕にいつものアレックスを抱いて何やら話し込んでいる。二人の手は確かめ合うように絡まっており、人目も憚らず鼻でキスをしている状況だ。
「あー、あー、あんなに仲が良いならもうウェインのことは忘れてやりゃ良いのに……」
ジニーは逃げるようにエレベーターへ乗り込み、ホテル一階のロビーへ移動した。別に隠れる必要はないのだが、キースは先日酒場でウェインに絡んで暴れたという噂だし、ここではあまり近寄りたくなかった。
ちょうどいい事にロビーには正方形のソファテーブルが複数並んでいる。ジニーはその内の一つに腰掛けてモバイルを取り出し、暇つぶしにゲームをすることにした。
実はジニーの会社では最近アプリゲームも開発しているのだ。会場でミックが着々と人脈を広げている間、どんなもんかとスタートボタンを押す。こっそり会場からシャンパンボトルとグラスも持ってきた。今日はとことんパズルゲームだ。
彼は戦った。上から落ちてくる多種多様な形のパズルをできる限り隙間なく並べていく、極めてスタンダードな物だが、パズルが立体であり、その上を勇者のキャラクターが怪物と戦って動くのが特徴だ。レベルが上がるごとに難易度が上がっていくステージを、ここはああした方が面白くなるなどと評価しながら彼は上り続けた。
一方、会場では愛し合う二人が相変わらず肩を寄せ合って一杯のシャンパンを分け合っている。
「ねぇ、キース、今日は随分機嫌が良いね。何かあったの」
「ふふ、分かるかい、アレックス。昨日親父が不整脈で入院したんだ。あいつもそう長くはないだろうな。後継者は兄貴だけど、あいつもすぐに死ぬんじゃないかな。なぜかは言わないでおくけど」
アレックスのシャンパンを一口飲んで、キースがニヤニヤと頬を緩めた。それを見て、アレックスは美しい顔をしかめた。
「相変わらず、怖いな、キースは……」
「親父ほどじゃないさ。あいつの方がボクより狂ってる」
「……そうなの……?」
「このパーティーを主催してるパロームは知っての通り、ボクの従兄弟の会社だけど、あいつもなかなか狂ってる。ボクのお袋も、兄貴も例外じゃない。あの一族はそういう人間がここまで富を築いてきたのさ。そしてこれからも、だ。でも、親父が死んだらあいつらの好きにはさせないよ。ロージー家はいずれボクの物になる。このボクがあいつらを牛耳ってやるんだ。く……くふふ……」
キースは八重歯まで見えるほど唇の片側だけを上げ、笑っているのかいないのか分からないような醜く歪んだ顔をしていた。
アレックスの前でだけ見せる狂人の素顔は狂人――。
キースは以前、これと同じ顔をしてほんの一瞬アレックスにもらしたことがある。幼少の頃から性別の嗜好に違和感をおぼえていた彼に、親族は全く寛容でなかったと。
「すごいな……ロージー家の御曹司ってだけでもすごいのに、君は将来、政財界でも本当の頂点になってしまいそうだ。僕も一緒にそこへ連れて行ってくれる?」
キースの手をやんわりと握り、肩口に額を寄せたアレックスに、キースはニヤリと笑いかけた。
「おや、アレックスは権力に興味があったか?」
「意地悪な質問だな……僕は君にしか興味ないって知ってるくせに」
「はっ、覚悟はできてるのかいアレックス。ボクに付いて来るとロクなことがないかもしれないよぉ?」
「……例えば……?」
キースは人差し指でアレックスの顎をクイと上げると毒蛇のようなギロリとした目で繊細なビスクドールの美形を眺めた。
「ボクの親父も、お袋も、兄貴も……、ボクを貶めた人間がどうなるか、これから何年かかけてじっくりお前に見せてやる。あ、そうだ、そこにウェインも入れとかないとな。あいつもボクを貶めたんだった。そうだった、せっかくこのボクが愛してやろうと思ったのに……あいつだけは許さない」
「こわいなぁ……そんなことしちゃいけないのに」
「ははは、説教してる場合じゃないだろぉ? ボクがお前に何を言いたいか、理解できてるのかい、アレックス」
「かわいいな、キースは……。そんな風に脅しても無駄さ。僕は君に付いて行くよ。君の為ならなんでもする……おっと、僕にできることならね」
アレックスは翳のある目をさらに伏せて、魂のない人形のように微笑んだ。
数時間が過ぎ、パーティーも一段落着いた頃、ミックがジニーを探しにロビーへ降りてきた。
ジニーは思いのほかゲームに熱中しており、未だソファに座ってパズルをコロコロやっていた。シャンパンも半分程度がなくなっている。
「社長、何やってんですか。キースさんたちはとっくに帰りましたよ。仕事してください!」
「あとちょっと……あとちょっと……!」
「ダメです、早く!」
秘書に命令され、社長は渋々ゲームをセーブした。続きはまた次の機会に。
ストーリーは第一章の佳境に入り、このままパズルをうまく積み上げていけば、勇者はそろそろラスボスに挑み始める頃合だ。倒せばその先に姫が待っている。そういう類のゲームである。
株式会社オリヴィエの社長、ジニー・ロバーツは、この年、例年になく多くの企業からパーティーや行事への誘いを受けた。
頑張ってきた甲斐あって会社は右肩上がりの成長を遂げており、今年はついに、この一年間で国家に貢献した新興企業100選に選ばれ、王室から褒章授与式の招待状さえも送られて来た。
正直にいえば、会社がここまで大きくなるとはジニーもウェインも思っていなかった。
さて、それはともかくまだ十月である。
この週のパーティーは、コヴェンの中心街にある高級ホテルの会場で、夜に行われることになっていた。
主催は有名な株式会社パロームという服飾ブランドで、ジニーは始めての参加だ。ここで繋がったどこかしらの企業からシステム開発の受注でもできればしてやったりである。
彼は今夜も黒のスーツをビシッと着こなし、秘書のミック――こちらも黒のスーツ姿――に社用車のミニバンを運転させて会場へ向かっていた。
小太りで丸メガネをかけた赤毛の秘書は運転席から後部座席に書類封筒を差し出した。
「社長、これ、年末のスケジュール。目、通しておいて下さいね」
「あーあ、誰だよ年末はどこも休みって言ったの」
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「聖祈堂と王室は年末休みないですからねぇ。社長はロンバールの葬儀行くしかないですよ」
「はー……行くしかねぇよなぁ。俺、なんでいっつもこうなんだろうな。可愛い子とデートの約束してたんだよ……?」
「あー、この間、社長がスケジュールに無理矢理ねじこんで来たあの子ですか。バッフェン城の。あれってマクファーデンさん家の家政婦でしょう。社長の彼女なんですか?」
「んー?」
ジニーはげんなりとして元気なく返事をする。
「まだ違うよ。多分今ウェインと取り合ってるとこ」
「はぁ? 二人とも、良い歳して何やってんですか」
ジニーは嘆息した。まさかヘレンとのデートをキャンセルすることになるとは……と、落胆しきりなのである。
ヘレンへ謝りの電話を入れたら、「旦那様が迎えに来てくださるそうなので大丈夫です。気になさらないで下さい」と弾んだ声で励ましを受けたのはつい最近のことである。
迎えに行くだけかよ! と心の中で虚しいツッコミを入れてもみたが、ウェインが女を迎えに行く時点でその気があるに等しいし、ヘレンなど、ウェインがその素振りを見せるだけでコロッと行ってしまうだろう。
ミックが愉しげに半眼になる。
「で、社長とマクファーデンさん、どっちが優勢なんですか」
「……はーあ……九割方ウェインかな……」
「ぶはっ。そんなのもう完全に負けですよ。その子、あのマクファーデンさんと同棲してるんでしょ」
「おい、やめろ! 同棲じゃねぇよ。住み込みだよ!」
「同じですよ。絶対家の中ではイチャイチャしてますよ。もう諦めて別の子探しましょう」
「うるせぇ黙れ! ……はーあ……、凹むなぁ……」
情けないため息を連発する社長を、ミックはバックミラーごしにジトリと見つめた。
パーティー会場はホテルの最上階にあった。今回はダンスがないため、中央に立食テーブルがいくつも置かれており、オマールエビや牛ステーキなどの食欲をそそるにおいが充満している。
まだ開会前だったのでジニーとミックは壁際に置かれたソファに座って、ホールの様子を見ていた。
客数は百人弱といったところだろうか。彼らは主に服飾関係の従事者である為に、奇抜なファッションドレスやスーツを身に着けている者も多く、なかなか目を飽きさせることがない。
そろそろパーティーが始まろうかという時刻になり、入り口から入って来た巨体に気付いてジニーは顔をしかめた。
巨体は二人おり、その前をシルバーグレイの派手なスーツを着た黒髪の青年と銀髪の美青年が腕を絡ませて堂々と歩いている。
「うわぁ……キースさん達がいるよ……」
「え、ポセイドロンのキース・ロージーですか? あんな有名人とお知り合いなんですか」
「いや、知り合いっていうか……まあ、そうだな。俺、隠れるわ」
「え? パーティーはどうするんですか。他社との交流は」
「悪いけど……お前がやってくれ」
「ええぇえ?」
ジニーはキースに気付かれぬようにそっと立ち上がり、太い柱の陰に身を忍ばせた。
あちらの様子はというと、キースはソファに大股開きで座り、片腕にいつものアレックスを抱いて何やら話し込んでいる。二人の手は確かめ合うように絡まっており、人目も憚らず鼻でキスをしている状況だ。
「あー、あー、あんなに仲が良いならもうウェインのことは忘れてやりゃ良いのに……」
ジニーは逃げるようにエレベーターへ乗り込み、ホテル一階のロビーへ移動した。別に隠れる必要はないのだが、キースは先日酒場でウェインに絡んで暴れたという噂だし、ここではあまり近寄りたくなかった。
ちょうどいい事にロビーには正方形のソファテーブルが複数並んでいる。ジニーはその内の一つに腰掛けてモバイルを取り出し、暇つぶしにゲームをすることにした。
実はジニーの会社では最近アプリゲームも開発しているのだ。会場でミックが着々と人脈を広げている間、どんなもんかとスタートボタンを押す。こっそり会場からシャンパンボトルとグラスも持ってきた。今日はとことんパズルゲームだ。
彼は戦った。上から落ちてくる多種多様な形のパズルをできる限り隙間なく並べていく、極めてスタンダードな物だが、パズルが立体であり、その上を勇者のキャラクターが怪物と戦って動くのが特徴だ。レベルが上がるごとに難易度が上がっていくステージを、ここはああした方が面白くなるなどと評価しながら彼は上り続けた。
一方、会場では愛し合う二人が相変わらず肩を寄せ合って一杯のシャンパンを分け合っている。
「ねぇ、キース、今日は随分機嫌が良いね。何かあったの」
「ふふ、分かるかい、アレックス。昨日親父が不整脈で入院したんだ。あいつもそう長くはないだろうな。後継者は兄貴だけど、あいつもすぐに死ぬんじゃないかな。なぜかは言わないでおくけど」
アレックスのシャンパンを一口飲んで、キースがニヤニヤと頬を緩めた。それを見て、アレックスは美しい顔をしかめた。
「相変わらず、怖いな、キースは……」
「親父ほどじゃないさ。あいつの方がボクより狂ってる」
「……そうなの……?」
「このパーティーを主催してるパロームは知っての通り、ボクの従兄弟の会社だけど、あいつもなかなか狂ってる。ボクのお袋も、兄貴も例外じゃない。あの一族はそういう人間がここまで富を築いてきたのさ。そしてこれからも、だ。でも、親父が死んだらあいつらの好きにはさせないよ。ロージー家はいずれボクの物になる。このボクがあいつらを牛耳ってやるんだ。く……くふふ……」
キースは八重歯まで見えるほど唇の片側だけを上げ、笑っているのかいないのか分からないような醜く歪んだ顔をしていた。
アレックスの前でだけ見せる狂人の素顔は狂人――。
キースは以前、これと同じ顔をしてほんの一瞬アレックスにもらしたことがある。幼少の頃から性別の嗜好に違和感をおぼえていた彼に、親族は全く寛容でなかったと。
「すごいな……ロージー家の御曹司ってだけでもすごいのに、君は将来、政財界でも本当の頂点になってしまいそうだ。僕も一緒にそこへ連れて行ってくれる?」
キースの手をやんわりと握り、肩口に額を寄せたアレックスに、キースはニヤリと笑いかけた。
「おや、アレックスは権力に興味があったか?」
「意地悪な質問だな……僕は君にしか興味ないって知ってるくせに」
「はっ、覚悟はできてるのかいアレックス。ボクに付いて来るとロクなことがないかもしれないよぉ?」
「……例えば……?」
キースは人差し指でアレックスの顎をクイと上げると毒蛇のようなギロリとした目で繊細なビスクドールの美形を眺めた。
「ボクの親父も、お袋も、兄貴も……、ボクを貶めた人間がどうなるか、これから何年かかけてじっくりお前に見せてやる。あ、そうだ、そこにウェインも入れとかないとな。あいつもボクを貶めたんだった。そうだった、せっかくこのボクが愛してやろうと思ったのに……あいつだけは許さない」
「こわいなぁ……そんなことしちゃいけないのに」
「ははは、説教してる場合じゃないだろぉ? ボクがお前に何を言いたいか、理解できてるのかい、アレックス」
「かわいいな、キースは……。そんな風に脅しても無駄さ。僕は君に付いて行くよ。君の為ならなんでもする……おっと、僕にできることならね」
アレックスは翳のある目をさらに伏せて、魂のない人形のように微笑んだ。
数時間が過ぎ、パーティーも一段落着いた頃、ミックがジニーを探しにロビーへ降りてきた。
ジニーは思いのほかゲームに熱中しており、未だソファに座ってパズルをコロコロやっていた。シャンパンも半分程度がなくなっている。
「社長、何やってんですか。キースさんたちはとっくに帰りましたよ。仕事してください!」
「あとちょっと……あとちょっと……!」
「ダメです、早く!」
秘書に命令され、社長は渋々ゲームをセーブした。続きはまた次の機会に。
ストーリーは第一章の佳境に入り、このままパズルをうまく積み上げていけば、勇者はそろそろラスボスに挑み始める頃合だ。倒せばその先に姫が待っている。そういう類のゲームである。
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