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1章
勇気と愛菜の終わり
しおりを挟む勇気はしばらく黙った。
勇気「あれー?言ってなかったっけ?」
愛菜「聞いてないよ…」
勇気「ったく、蓮扉のやつは…」
愛菜「ちゃんと説明してよ」
「ねぇ!聞いてるの!?勇気!!!」
勇気「…」
勇気は喋ろうとしなかった。
勇気「そろそろ愛菜のママが心配するから帰ろう」
愛菜「嫌だ。」
「話すまで帰んない」
勇気「ごめんなぁ黙ってた訳じゃねんだ…」
「転校するのは本当だよ12月、関東にいく」
「でも、定期的に俺だけは帰ってくるつもり」
「冬休み、春休み、夏休みはこっちで過ごすよ」
愛菜「…」
愛菜「勇気は行かないといけないの…?」
勇気「本当は俺は愛菜がいるから親戚の家に残るつもりだった」
「俺なんかもう、母親には見放されてるし、あいつ今の男ばっかでさ、俺のことははっきり言えば邪魔者だし」
愛菜「そんなの!!!行ったって勇気の居場所なんてない!!!」
勇気「俺、母さんうぜぇし、嫌いだけど心配なんだ。」
愛菜「…」
愛菜は何にも言えなかった。
勇気「ほらな!俺はただ愛菜のその顔を見たくなかった」
「また、泣かしてしまったな」
と言いながら愛菜の目から静かに溢れる涙を拭いた。
そして抱きしめた。
勇気「愛菜。本当一年だったけどありがとう」
愛菜「勇気?ねぇ…どうゆうこと?」
「離れないっていったじゃん」
勇気「…」
「幸せになれよ。」
勇気の涙を初めて見た。愛菜と勇気は
静かに終わりを迎えた。
お互い追いかけず、引き止めず
ただ現実を受け入れることで精一杯だった。
中学生の2人には
遠距離恋愛なんて言葉はなかった。
勇気はどんな気持ちで愛菜と1日1日を
過ごしていたんだろう。
勇気はその日以来学校に来ることはなかった。
愛菜も突然の別れを受け入れることができず
寝込んだ。
「学校行きたくない」
当然唯からの連絡も返さなかった。
1週間も学校を休むと、みんなが心配した
勇気の存在のデカさを知った。
勇気が旅立つ1週間前の土曜日の朝
知らない番号から電話があった。
愛菜「はい…」
「あ、俺俺」
愛菜「誰ですか」
「酷いやつだな本当」
「いつまで学校休んでんだよ」
「もっと気合い入れろよ」
愛菜「蓮扉…」
電話は蓮扉からだった。
「くよくよすんな。勇気行ってしまうぞ」
「勇気も心配してたぞ」
「ってか、早く出てこいよ」
「さみぃんだけど」
カーテンを開けると
知らぬ間に外は雪が降っていた。
家の前には蓮扉が立っていた
「なにしてるの」
「帰って」
蓮扉「勇気のお別れ会いくぞ」
「っつつーかまぢ寒いから早く準備しろ」
強引だけど蓮扉の言葉で何かスイッチが
入った愛菜は
「あっ。ちょっと待ってて」と
久しぶりにカーテンを開けた
愛菜のお母さんが蓮扉を家にいれた
「朝早いね!寒いでしょココア飲んで待ってたら?」
蓮扉は遠慮もせず「あざーす」
と家に入ってリビングで暖まってた。
「おまた…せ…!ってなんでくつろいでんの?!
信じらんない」
蓮扉「なんだ、案外元気そうじゃん」
「いくぞ!!」
「いってらっしゃーい」
お母さんは嬉しそうだった。
いつものカラオケ店にみんな集まってた。
勇気「よ!愛菜」
勇気は普通だった。なんだもう吹っ切れてるじゃん
そんな感じだった。
愛菜「久しぶり。」
勇気「楽しもうぜ!」
愛菜「そうだね!」
久しぶりに会った勇気は、服装も外見も心も
少し大人になってる様な気がした
そこにはもう、愛菜の彼氏じゃない、勇気がいた。
勇気と愛菜の2度目のサヨナラだった。
いつもは送ってくれた勇気が一度も振り返らずに帰った。
それが、勇気の最後の優しさだった。
蓮扉「勇気じゃなくて悪いな笑笑」
「そんな嫌な顔すんなよ」
愛菜「してないよ」
蓮扉は街灯が少ない川沿いの道で
愛菜の手を繋いで自分のポケットに愛菜の手をいれた
蓮扉「寒いだろ。暖まれ。」
蓮扉の温かさが愛菜の心に染みた。
愛菜「ねぇ、蓮扉、、、」
蓮扉「ん?」
愛菜「ごめん!愛菜…
愛菜、最後勇気くんに言いたいの…!!!」
蓮扉「あいつ多分、先輩と〇〇ゲーセン行くって言ってたから
危ないしついてくよ」
「にしてもお前…俺がせっかく…」
愛菜「いいから早く!!!」
ちょっと離れたところにある
ボロいゲーセンの玄関に勇気がいた
愛菜「勇気!!!」
勇気「愛菜。」
愛菜「勇気!いうの忘れてたの」
「関東に行ってもちゃんと学校いくんだよ!」
勇気「ったく、そんなこと言いに
わざわざきたのかよ。」「元気でな!!」
愛菜「バイバイ」
勇気と愛菜の恋は勇気の突然の転校で終わった。
蓮扉「あれだけ?」
愛菜「うん♪」
愛菜は満足そうにいった。
蓮扉「お前って天然なの?」
愛菜「かもね!笑笑」
蓮扉「愛菜、月曜日から学校こいよ!!」
愛菜「きてほしいー?」
蓮扉「家に朝迎えにいくわ」
愛菜「いやいいよ!お母さんに勘違いされる笑笑」
そんな会話をして家まで帰った。
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