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38. 美人ナースとか良い身体とか
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「まさかあの時のお嬢様がヤクザだったとはね」
「お嬢様はやめてもらえますか……」
あたしたちは何となく、またベンチに座っていた。お医者さんは二本目の煙草に火をつけている。
「見合い相手とはどうなったの」
「えーっと、色々あって……今は別の人とお見合いしてます」
「へー。何でそんなに見合いしてるんだい?」
「まあ、色々ありまして……あと二ヶ月で誰かと結婚しなきゃいけなくて」
「それはそれは。イロイロ事情抱えすぎじゃないか、お嬢様」
お医者さんは煙をわっかにして吐き出した。地味にすごい。
「早瀬巳影君の移った病院は雲竜組と懇意にしてるところだよ。ま、あの様子じゃすぐ退院になるだろうけどな。トラックにぶつかったとは思えないほど元気だよ」
「そ、そうですか」
「あ、もしかして早瀬君が次の見合い相手?」
「全然違います」
あたしが首を横に振ると、お医者さんはかりかりとこめかみをかいた。
「まあ、お嬢さまと見合いするタイプには見えなかったな。どっちかというとあっちか、さっき来たイケメン……獅子神とか言ったかな」
「えっ、獅子神さんが来たんですか?」
「来ましたよ。ナースたちがやたらそわそわしてあれこれ聞き出そうとしてたねえ」
すごい、さすが獅子神さん。ナースも落としてたのか……。
「ああいう男前の奥さんは苦労するよ~、モテるから」
「でしょうねえ」
「いや、君のことなんだけど。結婚するんじゃないの?」
お医者さんは呆れたような顔であたしを見た。
そんな顔するとやっぱり朱虎に雰囲気が似ている。
「あ、そっか。そうなりますよね……」
何となく他人事っぽい言い方になってしまった。でも、正直実感がない。
あたし、本当に結婚するんだろうか? 獅子神さんと?
「あの色男のこと、好きなの?」
「え?」
ぷかり、とまたわっかの煙を吐いて、お医者さんが言った。
「好きって……は、はい。もちろん」
昨日の笑顔を思い出すと、胸がキュンとなる。
これは好きってカウントしてもいいのかもしれない。
「……そういえばその獅子神さんなんだけど、さっきうちで一番美人のナースと二人で空いてる病室に入っていってさ」
「へ?」
唐突に変わった話題に、あたしはぽかんとした。
「獅子神さんが病室に? どこか悪いんですか?」
「違う違う」
首を振ったお医者さんが声を潜める。
「こっそり覗いたら、抱き合ってキスしてた」
「……ええ!?」
一拍遅れて言葉の意味が頭に入って来て、あたしはかっと頬が熱くなった。
「ナースに誘われたんだろうね。まあ、美人でスタイルもいい子だからなあ」
あたしの頭のなかに、美人でグラマーで何故か金髪のナースが情熱的に獅子神さんに抱き着いている図が浮かんだ。
うわ、海外ドラマのワンシーンみたい。
「お、大人の世界……ていうか獅子神さんってそんな人だったんだ。なんか意外……」
「まあ、全部嘘だけど」
「そうですか、ウソ……は!? ウソ!?」
唖然とするあたしをよそに、お医者さんはふーっ、と煙を吐いた。
「うん、でたらめ。残念ながらうちのナースに美人はいない」
「それ何気に酷くないですか? じゃなくて、何なんですか今の嘘!?」
「いや、嫉妬するかなと思って」
あたしは瞬いた。
「嫉妬?」
「そ。フツーはね、好きな男が他の女といちゃついてるって聞いたら怒ったり悲しんだりショックを受けたりするもんだよ」
どきりとした。
あたし、獅子神さんが他の女の人とイチャイチャしてて嫌な気持ちになったりするだろうか。
少なくとも今はならない。全然ならない。
「結婚は好きな相手とした方がいいんじゃないですかねえ」
青い空に、煙のわっかがふわっと広がって薄く消えていく。
あたしはわっかの名残を見上げた。
「……でも、他に相手がいないんです」
「いるでしょいっぱい」
「あたし、今まで彼氏とか出来たことないし」
「彼氏はいなくても男友達とか」
「それもいません」
「ホントにいないの? ドキドキする相手」
瞬間、頬に触れた柔らかな感触がよぎった。
何で今、朱虎のことを思い出すんだろう。
ぎゅっ、と胸が苦しくなった。
低くかすれた声が耳元に蘇る。
「勘弁してくださいよ。……圧倒的に色気が足りないって言ってるんです」
胸のしめつけがイライラに変わった。
「いません! 誰一人!」
「へーえ、なるほど。いないんだねえ、一人も」
「だからそう言ってるでしょ! 何度も何度も……」
「じゃ、僕でも良いんじゃない」
「……はい?」
あたしが振り返ると、お医者さんは自分を指さして見せた。
「だから、誰でもいいなら僕でもいいんじゃないかって」
「なっ……!?」
お医者さんはニヤッと笑うと煙草をねじり消した。
「ちょっ……もう! からかうのやめてください!」
「まさか、からかってなんかないって」
お医者さんはあたしをじっと見つめた。
不思議な色をした瞳に、困り切ったあたしが映っている。
この人、朱虎と同じ藍色の目だ。
そう気づいた途端、急に胸がどきりと高鳴った。
え? 何、これ?
「僕は君とあの獅子神くんは結婚しないと思うな。賭けてもいい」
「賭けって、何を」
「もし僕が賭けに勝ったらデートしてくださいよ、お嬢さん」
「デート!?」
「いいでしょ。だって獅子神くんと結婚しなかったら、君はフリーなわけだし」
「なっ……でっ、でも……」
展開が急すぎてまともに反応できない。
あたしって、突発事態に弱すぎる!
口をパクパクさせていると、お医者さんは白衣のポケットからメモを取り出した。サラサラと何か書きつけると、あたしの膝に落とす。
「それ、僕の連絡先。賭けの結果が出たらぜひご報告ください」
メモには電話番号とメールアドレスが綺麗な字で書いてあった。
「か、勝手に話進めないでよ! 誰も賭けするなんて言ってない」
「この前助けてあげたろ? ヤクザってのは義理を大事にするらしいけどなあ」
「ぐっ」
思わず言葉に詰まる。お医者さんはにやっと笑うと、メモをつついた。
「連絡待ってるよ」
「な、何で、あたし……なんですか」
何とか言葉を絞り出す。
ニヤいていたお医者さんのまなざしが、ふっと真剣な光を帯びた。
「一目見た時から気になってたんだ」
「えっ」
ぎしりと体が固まった。
頭の中がかっと熱くなる。
それ、もしかして一目惚れとかそういう――
「この子、いい身体してるなって」
「……は?」
一瞬で金縛りが溶けた。
「特に胸がいい。見た感じ、僕の好みぴったりの程よい大きさで良い形のお……」
「なっ……何じゃそりゃああああっ!」
バッチーン!!
「ってえ!」
「どこ見てんのよエロ医者っ! バカーッ!」
フルスイングで腕を振り抜いたあたしは立ち上がって怒鳴った。
そのままさっさと背を向けて、屋上の出口にダッシュする。
「待って待って! 冗談だって! ちゃんと他にもあるから!」
「下ネタ系冗談言う奴は絶滅しろ!! イケメンだからって何言っても許されるわけないんだからね!?」
「おっ、イケメン認定ありがとう……あ、名前!」
頬を押さえたお医者さんが声を上げる。
「名前くらい教えてくださいよ、お嬢さん」
「はあ!? 教えるわけないでしょヘンタイ!」
「そういえば早瀬巳影君の応急処置も僕が対応したんだっけなあ。その日ちょうど当直だったんだよね」
「ぐっ……」
何て卑怯なんだ、こいつ!
あたしは鞄をあさって目当てのものを掴むと、思い切りぶん投げた。
当てるつもりで投げたのに、余裕でキャッチされてイラっとする。
「ん? これ何?」
「それがお礼! これで貸し借りなし! さよなら!」
あたしは怒鳴ると、今度こそドアを思い切り閉めた。
「……あ、先生! この忙しいのにどこに行ってたんですか、もう」
「あ~、ごめんごめん。ちょっと患者さんのご家族と話してたんだ」
「ああそうですか。頬っぺた、どうにかした方が良いですよ」
「え?」
「キレーな手形ついてます。研修期間終わるまでは院内で修羅場はやめてください」
「そういう生々しい奴じゃないんだけどな。終わりじゃなくて始まる方です」
「はあ、そうですか。さ、仕事に戻って下さい」
「うわ~、興味なさそう」
「実際ありませんから。……あら、何食べてるんですか」
「これ? さっきお礼に貰ったんだ、カロリーメイト」
「って、食べかけじゃないですか。しかもなぜかボロボロなんですけど」
「うん、全力投球されたからね。ふっふっふ」
「意味わからない上に笑い方が気持ち悪いです。今の質問はナシということで」
「うちの看護婦さんってほんと優しさがないよね……」
「患者には優しく接してますので問題ありません」
「出来れば僕にも優しくしてほしいんだけど。研修終るまであと一週間とはいえ、同じ職場の仲間だよ?」
「あと一週間、真面目に働いたら送別会で優しくしてあげますよ。――急患来ます、さっさと用意して!」
「お嬢様はやめてもらえますか……」
あたしたちは何となく、またベンチに座っていた。お医者さんは二本目の煙草に火をつけている。
「見合い相手とはどうなったの」
「えーっと、色々あって……今は別の人とお見合いしてます」
「へー。何でそんなに見合いしてるんだい?」
「まあ、色々ありまして……あと二ヶ月で誰かと結婚しなきゃいけなくて」
「それはそれは。イロイロ事情抱えすぎじゃないか、お嬢様」
お医者さんは煙をわっかにして吐き出した。地味にすごい。
「早瀬巳影君の移った病院は雲竜組と懇意にしてるところだよ。ま、あの様子じゃすぐ退院になるだろうけどな。トラックにぶつかったとは思えないほど元気だよ」
「そ、そうですか」
「あ、もしかして早瀬君が次の見合い相手?」
「全然違います」
あたしが首を横に振ると、お医者さんはかりかりとこめかみをかいた。
「まあ、お嬢さまと見合いするタイプには見えなかったな。どっちかというとあっちか、さっき来たイケメン……獅子神とか言ったかな」
「えっ、獅子神さんが来たんですか?」
「来ましたよ。ナースたちがやたらそわそわしてあれこれ聞き出そうとしてたねえ」
すごい、さすが獅子神さん。ナースも落としてたのか……。
「ああいう男前の奥さんは苦労するよ~、モテるから」
「でしょうねえ」
「いや、君のことなんだけど。結婚するんじゃないの?」
お医者さんは呆れたような顔であたしを見た。
そんな顔するとやっぱり朱虎に雰囲気が似ている。
「あ、そっか。そうなりますよね……」
何となく他人事っぽい言い方になってしまった。でも、正直実感がない。
あたし、本当に結婚するんだろうか? 獅子神さんと?
「あの色男のこと、好きなの?」
「え?」
ぷかり、とまたわっかの煙を吐いて、お医者さんが言った。
「好きって……は、はい。もちろん」
昨日の笑顔を思い出すと、胸がキュンとなる。
これは好きってカウントしてもいいのかもしれない。
「……そういえばその獅子神さんなんだけど、さっきうちで一番美人のナースと二人で空いてる病室に入っていってさ」
「へ?」
唐突に変わった話題に、あたしはぽかんとした。
「獅子神さんが病室に? どこか悪いんですか?」
「違う違う」
首を振ったお医者さんが声を潜める。
「こっそり覗いたら、抱き合ってキスしてた」
「……ええ!?」
一拍遅れて言葉の意味が頭に入って来て、あたしはかっと頬が熱くなった。
「ナースに誘われたんだろうね。まあ、美人でスタイルもいい子だからなあ」
あたしの頭のなかに、美人でグラマーで何故か金髪のナースが情熱的に獅子神さんに抱き着いている図が浮かんだ。
うわ、海外ドラマのワンシーンみたい。
「お、大人の世界……ていうか獅子神さんってそんな人だったんだ。なんか意外……」
「まあ、全部嘘だけど」
「そうですか、ウソ……は!? ウソ!?」
唖然とするあたしをよそに、お医者さんはふーっ、と煙を吐いた。
「うん、でたらめ。残念ながらうちのナースに美人はいない」
「それ何気に酷くないですか? じゃなくて、何なんですか今の嘘!?」
「いや、嫉妬するかなと思って」
あたしは瞬いた。
「嫉妬?」
「そ。フツーはね、好きな男が他の女といちゃついてるって聞いたら怒ったり悲しんだりショックを受けたりするもんだよ」
どきりとした。
あたし、獅子神さんが他の女の人とイチャイチャしてて嫌な気持ちになったりするだろうか。
少なくとも今はならない。全然ならない。
「結婚は好きな相手とした方がいいんじゃないですかねえ」
青い空に、煙のわっかがふわっと広がって薄く消えていく。
あたしはわっかの名残を見上げた。
「……でも、他に相手がいないんです」
「いるでしょいっぱい」
「あたし、今まで彼氏とか出来たことないし」
「彼氏はいなくても男友達とか」
「それもいません」
「ホントにいないの? ドキドキする相手」
瞬間、頬に触れた柔らかな感触がよぎった。
何で今、朱虎のことを思い出すんだろう。
ぎゅっ、と胸が苦しくなった。
低くかすれた声が耳元に蘇る。
「勘弁してくださいよ。……圧倒的に色気が足りないって言ってるんです」
胸のしめつけがイライラに変わった。
「いません! 誰一人!」
「へーえ、なるほど。いないんだねえ、一人も」
「だからそう言ってるでしょ! 何度も何度も……」
「じゃ、僕でも良いんじゃない」
「……はい?」
あたしが振り返ると、お医者さんは自分を指さして見せた。
「だから、誰でもいいなら僕でもいいんじゃないかって」
「なっ……!?」
お医者さんはニヤッと笑うと煙草をねじり消した。
「ちょっ……もう! からかうのやめてください!」
「まさか、からかってなんかないって」
お医者さんはあたしをじっと見つめた。
不思議な色をした瞳に、困り切ったあたしが映っている。
この人、朱虎と同じ藍色の目だ。
そう気づいた途端、急に胸がどきりと高鳴った。
え? 何、これ?
「僕は君とあの獅子神くんは結婚しないと思うな。賭けてもいい」
「賭けって、何を」
「もし僕が賭けに勝ったらデートしてくださいよ、お嬢さん」
「デート!?」
「いいでしょ。だって獅子神くんと結婚しなかったら、君はフリーなわけだし」
「なっ……でっ、でも……」
展開が急すぎてまともに反応できない。
あたしって、突発事態に弱すぎる!
口をパクパクさせていると、お医者さんは白衣のポケットからメモを取り出した。サラサラと何か書きつけると、あたしの膝に落とす。
「それ、僕の連絡先。賭けの結果が出たらぜひご報告ください」
メモには電話番号とメールアドレスが綺麗な字で書いてあった。
「か、勝手に話進めないでよ! 誰も賭けするなんて言ってない」
「この前助けてあげたろ? ヤクザってのは義理を大事にするらしいけどなあ」
「ぐっ」
思わず言葉に詰まる。お医者さんはにやっと笑うと、メモをつついた。
「連絡待ってるよ」
「な、何で、あたし……なんですか」
何とか言葉を絞り出す。
ニヤいていたお医者さんのまなざしが、ふっと真剣な光を帯びた。
「一目見た時から気になってたんだ」
「えっ」
ぎしりと体が固まった。
頭の中がかっと熱くなる。
それ、もしかして一目惚れとかそういう――
「この子、いい身体してるなって」
「……は?」
一瞬で金縛りが溶けた。
「特に胸がいい。見た感じ、僕の好みぴったりの程よい大きさで良い形のお……」
「なっ……何じゃそりゃああああっ!」
バッチーン!!
「ってえ!」
「どこ見てんのよエロ医者っ! バカーッ!」
フルスイングで腕を振り抜いたあたしは立ち上がって怒鳴った。
そのままさっさと背を向けて、屋上の出口にダッシュする。
「待って待って! 冗談だって! ちゃんと他にもあるから!」
「下ネタ系冗談言う奴は絶滅しろ!! イケメンだからって何言っても許されるわけないんだからね!?」
「おっ、イケメン認定ありがとう……あ、名前!」
頬を押さえたお医者さんが声を上げる。
「名前くらい教えてくださいよ、お嬢さん」
「はあ!? 教えるわけないでしょヘンタイ!」
「そういえば早瀬巳影君の応急処置も僕が対応したんだっけなあ。その日ちょうど当直だったんだよね」
「ぐっ……」
何て卑怯なんだ、こいつ!
あたしは鞄をあさって目当てのものを掴むと、思い切りぶん投げた。
当てるつもりで投げたのに、余裕でキャッチされてイラっとする。
「ん? これ何?」
「それがお礼! これで貸し借りなし! さよなら!」
あたしは怒鳴ると、今度こそドアを思い切り閉めた。
「……あ、先生! この忙しいのにどこに行ってたんですか、もう」
「あ~、ごめんごめん。ちょっと患者さんのご家族と話してたんだ」
「ああそうですか。頬っぺた、どうにかした方が良いですよ」
「え?」
「キレーな手形ついてます。研修期間終わるまでは院内で修羅場はやめてください」
「そういう生々しい奴じゃないんだけどな。終わりじゃなくて始まる方です」
「はあ、そうですか。さ、仕事に戻って下さい」
「うわ~、興味なさそう」
「実際ありませんから。……あら、何食べてるんですか」
「これ? さっきお礼に貰ったんだ、カロリーメイト」
「って、食べかけじゃないですか。しかもなぜかボロボロなんですけど」
「うん、全力投球されたからね。ふっふっふ」
「意味わからない上に笑い方が気持ち悪いです。今の質問はナシということで」
「うちの看護婦さんってほんと優しさがないよね……」
「患者には優しく接してますので問題ありません」
「出来れば僕にも優しくしてほしいんだけど。研修終るまであと一週間とはいえ、同じ職場の仲間だよ?」
「あと一週間、真面目に働いたら送別会で優しくしてあげますよ。――急患来ます、さっさと用意して!」
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