37 / 44
第36話
しおりを挟む「おい、宇野係ってなんだよ」
さっきクラスメイトに宇野係と呼ばれた桜井莉緒と高宮千沙に教室を連れ出された。
「名前の通りだよ」
「宇野のお世話係」
「余を馬鹿にするな」
何が余のお世話係だ、余が何も出来ないみたいに言いやがって。
「まぁまぁ、宇野くんは本気出したらすごいもんね」
「本気出したらね」
高宮千沙が言葉を強調する。
「余は本気を出さなくてもすごいのだ」
こいつらはまだ知らないようだがな、実は余はまだ本気を出していないのだ。
だから余はいつだって地球を征服することなんか余裕だからな。
余にはまだナイトメアという隠し玉が残っているからな。
お前らはまだ素の余しか見ていないだろうが余にはまだナイトメアがあるからな。
あ、ナイトメアで勝てなかったからこいつらを精神的に追いつめていくことにしたのだった。
「分かったから早くポスター貼りに行こう」
「そうだね」
こいつら余を軽くあしらいやがって。
ポスター貼りにってどこに行くのだろうか、ま、余はついて行くだけなんだけどな。
「どこに貼りに行くのだ?」
「商店街とか?」
うわ、校内だと思っていたが校外でポスター貼りに行くのかよ。
「貼らせてもらえるのか?」
「分からないけど知り合い多いから大丈夫でしょ」
なんだその行き当たりばったりの感じは。
もう余は知らない、余は黙ってこいつらについて行くだけだ。
***
「おー莉緒ちゃんじゃねぇか、学校はどうしたんだ?」
「今は劇の準備中で、もうすぐクラス劇やるんだけどポスター貼ってほしくて」
「全然良いぞ」
「ありがとうおじちゃん」
桜井莉緒はどうやら本当に知り合いが多いらしいな。
「千沙ちゃん、学校はどうしたの?」
「今クラス劇の準備中で、ここにポスター貼ってもらって良いですか?」
「大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
「いいよいいよ、それよりバレー頑張ってね」
「はい」
高宮千沙はバレーで有名なのだろうな。
余は特にやることがなくなったが、こういうのはあいつらに任せれば良いんだよ、下手に手を出すよりかは遥かに。
ちゃんとついて来ただけでも褒めてほしいものだ。
流石の余でもまだ徹夜の疲れがあるからなちょっと休憩させてもらうぞ。
余はどこかにもたれる場所を探して移動する。
そして余は目を閉じて少し休憩をする。
場所は少しうるさい場所だが、文句は言っていられない。
立って寝る練習しておいて良かった。
「おにいちゃーん」
ドンッと誰かが余の腰あたりにタックルを仕掛けてきた。
「あ?」
「おにいちゃんだ~」
誰だよこのガキ、余はよく知らないガキを引き離す。
「誰だお前」
「またあえたね」
また?こいつと会ったことあったか?
「ごめんなさーい」
このガキの母親であろう奴が走ってやってくる。
「あ、あの時の美紀を助けてくれた人ですね」
あの時?助けた?
あ~そんなこともあったなぁ。
「あの時は本当にありがとうございました」
「あ、ありがとうって言うな」
いつになったら慣れるようになるのだうか。
「気にするな、たまたまだ、たまたま」
「それでも本当に感謝しています。忙しいのにごめんなさい。ほら、美紀行くよ」
余は忙しくないのだがな。
「いや!」
「わがまま言わない」
「いや!おにいちゃんといっしょにいる」
ガキは余の腰に抱きついて中々離れようとしない。
「お兄さん困ってるでしょ」
そうだ、困ってるから早く離れてくれ。
「ぜったいにいや!」
ガキの母親頑張ってくれ。
「あ、宇野なんで大丈夫ですよ」
おい、桜井莉緒、勝手なことを言うな。
絶対に嫌だぞ、ガキのおもりなんか。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる