34 / 44
第33話
しおりを挟む
放課後になり教室には余と九重菫の二人きりだ。
なんかこれ前にもあったな、前はホッチキスで一緒に作業してたな。
そういえば前もあの教師のせいだった気がするのだが。
「どんな劇にしますか?」
「う~ん、無難なもので良いかもしれないな」
「無難なものですか」
劇をするのに無難なものとは何だろうか?
そして考えているうちに余と九重菫はすっかり黙っていた。
真剣に考えれば考えるほどあの教師がムカついてきた。
「あの教師め、また余らに押し付けやがって」
「まぁまぁそう言わずに」
九重菫は余を落ち着かせようと宥めてくる。
「お前は腹が立たないのか」
余がムカついているというのにお前がムカつかなかったら余が小さいみたいではないか。
「あの人は私の憧れの人ですから」
お前があいつを?
「あいつに憧れる要素なんかあるのか?」
余が見たところ憧れるなんて感情は湧かない。
「私が演劇部に入ったのも鈴木先生の影響があったからです」
そういえばこいつは演劇部に入っていたんだったな。
「私が小学二年生の時で鈴木先生が高校生の時に文化祭で先生のお芝居をする姿を観て私は演劇部に入ろうと決めました」
九重菫は目を輝かせながら語っていく。
「本当にすごかったんですよ、人を惹きつけるお芝居ってこういうものなのだと感じたんですよ」
段々九重菫はヒートアップしていっている。
あの教師にもそんな姿があったとはな、今では想像し難い。
「それに学業の方も優秀で、私も鈴木先生に近づきたくて学業も頑張ってるんです」
あいつ勉強も出来たのか、中々やるな。
「私がこの高校に入ろうと決めたのも先生がこの高校だからだったんです」
そんな理由でこの高校に入ったのか?理由は人それぞれだけれども。
余も大した理由ではないけれども。
「そしたら鈴木先生が担任になって、私とても嬉しかったんです」
なんか運命的な再会みたいだな。
「宇野さんも見てますか?」
「何をだ?」
「学級日誌」
「学級日誌?」
あの日直になったらなぜか書かされる意味が分からないあのやつか。
「鈴木先生はいつもコメント書いてくれるんですよ。例えば、私がいつも行っている服屋とか、綺麗なお花が咲いてる場所とか、最近出来たラーメン屋のレビューとか、他にもまだまだありますよ」
「もう良い、分かったから」
へーいつもそんなこと書いていたのか、興味が無かったから読んでなかったが、今度から気にはしようと思う。
服屋と花はそこまでだがラーメン屋のレビューは気になるな。
というかこいつはあの教師のファンか!九重菫の熱量がすごい。
こいつこんな感じになるんだな、もっとクールなイメージだったが。
「でもなぜか演劇部の顧問ではなかったんです」
さっきの感じとは一変して九重菫は急に落ち込んむ。
そら、演劇部の顧問になってると思うよな、人を惹きつける芝居をやったんだから。
関係ないか。
学生にやったから大人にもなってやりたいとは思わなかっただけだろう。
「何回か鈴木先生にお芝居のことを聞いたのですが、適当にあしらわれてしまって…、でもいつか鈴木先生に教えてもらいたいです」
「そうか、いつかそんな日が来ると良いな」
「はい」
そして、結局劇はロミオとジュリエットになった。
なんかこれ前にもあったな、前はホッチキスで一緒に作業してたな。
そういえば前もあの教師のせいだった気がするのだが。
「どんな劇にしますか?」
「う~ん、無難なもので良いかもしれないな」
「無難なものですか」
劇をするのに無難なものとは何だろうか?
そして考えているうちに余と九重菫はすっかり黙っていた。
真剣に考えれば考えるほどあの教師がムカついてきた。
「あの教師め、また余らに押し付けやがって」
「まぁまぁそう言わずに」
九重菫は余を落ち着かせようと宥めてくる。
「お前は腹が立たないのか」
余がムカついているというのにお前がムカつかなかったら余が小さいみたいではないか。
「あの人は私の憧れの人ですから」
お前があいつを?
「あいつに憧れる要素なんかあるのか?」
余が見たところ憧れるなんて感情は湧かない。
「私が演劇部に入ったのも鈴木先生の影響があったからです」
そういえばこいつは演劇部に入っていたんだったな。
「私が小学二年生の時で鈴木先生が高校生の時に文化祭で先生のお芝居をする姿を観て私は演劇部に入ろうと決めました」
九重菫は目を輝かせながら語っていく。
「本当にすごかったんですよ、人を惹きつけるお芝居ってこういうものなのだと感じたんですよ」
段々九重菫はヒートアップしていっている。
あの教師にもそんな姿があったとはな、今では想像し難い。
「それに学業の方も優秀で、私も鈴木先生に近づきたくて学業も頑張ってるんです」
あいつ勉強も出来たのか、中々やるな。
「私がこの高校に入ろうと決めたのも先生がこの高校だからだったんです」
そんな理由でこの高校に入ったのか?理由は人それぞれだけれども。
余も大した理由ではないけれども。
「そしたら鈴木先生が担任になって、私とても嬉しかったんです」
なんか運命的な再会みたいだな。
「宇野さんも見てますか?」
「何をだ?」
「学級日誌」
「学級日誌?」
あの日直になったらなぜか書かされる意味が分からないあのやつか。
「鈴木先生はいつもコメント書いてくれるんですよ。例えば、私がいつも行っている服屋とか、綺麗なお花が咲いてる場所とか、最近出来たラーメン屋のレビューとか、他にもまだまだありますよ」
「もう良い、分かったから」
へーいつもそんなこと書いていたのか、興味が無かったから読んでなかったが、今度から気にはしようと思う。
服屋と花はそこまでだがラーメン屋のレビューは気になるな。
というかこいつはあの教師のファンか!九重菫の熱量がすごい。
こいつこんな感じになるんだな、もっとクールなイメージだったが。
「でもなぜか演劇部の顧問ではなかったんです」
さっきの感じとは一変して九重菫は急に落ち込んむ。
そら、演劇部の顧問になってると思うよな、人を惹きつける芝居をやったんだから。
関係ないか。
学生にやったから大人にもなってやりたいとは思わなかっただけだろう。
「何回か鈴木先生にお芝居のことを聞いたのですが、適当にあしらわれてしまって…、でもいつか鈴木先生に教えてもらいたいです」
「そうか、いつかそんな日が来ると良いな」
「はい」
そして、結局劇はロミオとジュリエットになった。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
貧乳姉と巨乳な妹
加山大静
青春
気さくな性格で誰からも好かれるが、貧乳の姉
引っ込み思案で内気だが、巨乳な妹
そして一般的(?)な男子高校生な主人公とその周りの人々とおりなすラブ15%コメディー80%その他5%のラブコメもどき・・・
この作品は小説家になろうにも掲載しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる