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第20話

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「で、お前は部活があるのだろう?」

 そうだ、私は部活があって宇野は部活がないんだった。

 部活ある私と部活がない宇野だったら学校から帰る時間が異なってくる。

「うん」

「そっか千沙ちゃん部活があるんだ」

「部活があると帰る時間が異なってしまいますからね」

「何時くらいに終わるのだ」

「7時くらいかな」

 学校が終わってから3時間半くらい練習するから3時間半も間がある。

 さすがに3時間半も待ってもらうわけにはいかないか。

 でもどうしよう宇野がいないのか、一気に不安になってくる。

「7時くらいだな。分かった」

 え、いけんの?

「え、大丈夫なの?7時だよ」

「バイトで時間を潰すから大丈夫だ」

 え、バイトやってたんだ。

 自分のことを王だと思っているのにバイトはやってるんだ。

「宇野に迷惑かけるし、お店にも迷惑かけちゃうよ」

「オーナーには連絡しておくから大丈夫だ」

「でも、宇野は迷惑じゃないの?」

「心配するな」

「本当に大丈夫なの?」

 こればっかりは断られても宇野は全く悪くはないから、断っても大丈夫なんだけどな。

「余はお前のためにするんじゃない、チョコケーキのためだ。勘違いするな」

 どんだけチョコケーキが好きなの。
 
「7時15分に校門で大丈夫か?」

 7時に練習が終わるから片付けと着替えをすぐに終わらせればなんとか5分遅刻すれば間に合う。

 いや、5分も遅刻しちゃいけないんだけどね。

「ちょっと遅れるかも」

「ちょっとぐらいなら待ってやる」

「ありがとう。なるべく急ぐから」

 良かった、これでひとまずは安心ができる。

「千沙ちゃんいる?」

 教室のドアの方から私を呼ぶ声がした。

 呼ぶ声がする方向を見るとよく見知った女の子が立っていた。

「あれ?美咲じゃん」

 私の小学生からの友達の井上美咲が私に用があってわざわざ教室まで来てくれた。

「ちょっと顧問の先生に伝言頼まれたんだけど今良い?」

「ごめん。次の休憩時間で良い?次は私が美咲のところに行くから」

 今はちょっと話し合いをしているからまた次の休憩時間にしてもらう。

「私は別に良いけど、何かあったの?」

 美咲は私の心から信頼できる友達だから別に話しても問題は無いと思うから話して美咲にも協力してもらおう。

「あのね、最近」

「最近このクラスでストーカーの被害に遭った奴がいたから不安らしい」

 私が説明しようとしたらいきなり宇野が遮ってきた。

「え、そうなの?千沙ちゃん大丈夫だった?怖かったよね」

 美咲は私の心配をしてくれた。

 やっぱり小学生からの友達だから私の事を心から心配してくれる。

「千沙ちゃんの友達?」

 そっかみんなは知らないか。

「うん、小学生からずっと一緒なの」

「井上美咲、千沙ちゃんと一緒でバレー部だよ」

 バレーも小学生から一緒にやっている。

「で、ストーカーは大丈夫なの?」

「私は大丈夫だよ。宇野がいるし」

「宇野?」

 他のクラスだから宇野のことは知らないんだ。

「宇野章大、ストーカーが怖いから宇野が一緒に帰ってくれるの」

「そうなんだ。宇野くん、千沙ちゃんのことよろしくね」

「言われなくとも」

「じゃあ次の休憩時間にちゃんと来てね」

「うん」

 そう言うと美咲は自分の教室へと帰って行った。

 キーンコーンカーンコーン

 美咲が教室を出たらちょうどチャイムが鳴り響いた。

「じゃあ宇野、帰る時はよろしくね」

「ああ」
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