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一章 自由に生きるためには
5話 転生と拠点
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長い時間眠っていたような気もするし、少しの間だけ目を瞑っていただけのような気もする。
そんな不思議な感覚を感じながら、私はゆっくりと目を開けた。
おそらく、ベッドに寝転んだ状態なのだろう。知らない天井だ。
私はゆっくりと起き上がり、足をおろしてベッドに腰かけた。
「うん、記憶の混濁もないし、日本で生きてきた記憶もしっかりと残ってる。あとはー、っと」
部屋を見回して目的のものを発見する。
そう、鏡である。
実は見た目に関してもフォルティナ様に希望を聞いていただけたのだが、こちらの世界の人間の標・準・的・な・見た目も分からないのでと言って、すべてお任せしたのである。
(あ、でもひとつだけお願いしたんだった。時と場合によっては男装する事があるかもしれないから、中性的な感じがいいかもって)
女だと舐められる場面もあるだろうしね。腹立たしいけど。
ベッドから飛び降り、そこまで移動して確認。
「・・・は?」
目に飛び込んできたのは10歳にして、すでに完成された美。圧倒的な美。
性別を超えた美しすぎる少女が鏡に映っていた。
髪は黒髪さらさらストレート、肩の少し上くらいの長さまである。
瞳は深い青系の色、藍色だろうか?光の加減で明るくも見える。
そして何より、この顔のつくりはどっからどう見ても、あの方と同じ系統だ。
「いや、これもう髪と瞳の色以外ほぼほぼフォルティナ様じゃん!劣化版フォルティナ様じゃん!何してくれてんの!!どう考えても目立つわ!」
そう、どう見てもフォルティナ様のお姿を元にしたような顔だった。さすがにそっくりそのままというわけではないが、親子といっても差し支えないレベルである。
確かに中性的という条件は完璧に満たしてはいる。
ただ、男女どちらの恰好をしていても、男女どちらにも警戒をしなければならない未来がうっすらと浮かんだ。舐められる以前の問題が発生しそうである。まだ見ぬ未来に身の危険を感じ、軽く鳥肌がたった。
ちなみに、あすか自身は『標準的な見た目が分からないからお任せする=標準的な見た目にして欲しい』というつもりで伝えたつもりでいるが、そんなニュアンスでちゃんと伝わるのなんて、日本人くらいだろう。
日本人は他国と比べても、空気を読むことに長けているらしい。
そんな日本で生きてきた生粋の日本人である、あすかとしては、それで伝わったつもりでいたのだろう。
しかし、相手は異世界の、それも神様だ。『お任せする=お任せする』なのである。それ以上でもそれ以下でもない。
お任せされた心優しきフォルティナ様は張り切って用意してくれたことだろう。カフェであすかが自身の容姿を見て「綺麗」と驚いてくれたことを思い出しながら。…
しばし固まってしまった私だったが、今さら嘆いても仕方がないなと、気を取り直して再び鏡の中の自分を見つめる。
「ま、まぁ、予想外だったけど、美人さんに生まれ変われてラッキーってことでいっか!身長とかはこっちの平均くらいかな?服装も、シンプルで動きやすそうだしひとまず困らないかな。スカートとかじゃなくて良かった~。さて、あとは拠点の確認をしっかりしますか」
一通り全身の確認を終えたので、次は拠点の確認をする。
一応転生前にフォルティナ様に希望を聞いてもらえたので、だいたい想像通りになっていた。
平屋の一軒屋で玄関に靴を脱ぐスペースを作ってもらった。転生時に自然と理解できるようにしてもらってあったこちらの常識では家の中も基本土足のようなので、しっかり指定しておいて良かったと思う。目覚めた時も裸足でした。
室内はいたって簡素な作りだ。
部屋は寝室と書斎、ダイニングキッチンに分かれている。
4畳ほどの寝室には木でできたベッドだけ。そんなにふかふかではないが布団もある。
6畳ほどある書斎は、この世界で学んでおくと今後役に立つであろう本を神様チョイスで用意してくれている。本はこの世界ではまだまだ高級品で、平民ではまず手に入らないそうだ。なので、気楽に読める娯楽の本などなく、専門書だけだそう。
あとはダイニングキッチンだが、2人掛けのダイニングテーブルがあり、広さは12畳ほど。調理器具や食器類もある。
魔道具と呼ばれる魔力で動かすコンロを一つ設置してくれている。この魔道具も超高級品で、貴族階級であってもお金に余裕のある家には導入されているようだが、普通は釜戸で火を焚きながら調理するようだ。さらに、塩、胡椒、砂糖、この3つの調味料と食用油、小麦粉だけはあらかじめ用意してくれている。ありがたや。
水道はないが、洗い物などは生活魔法で簡単に出来るので問題なし。
お気付きだと思うが、トイレはもちろん水洗などではない。いわゆる、ボットンである。汚い話だが、溜まっていくブツたちは、どう処理しているのかというと、なんとスライムをトイレの下の空間に放し飼いにしていて、掃除させているそうだ。スライムは大抵のものを吸収し分解できる性質をもっているらしく、その性質を利用しているとのこと。
とはいえ問題もあって、ひとつの空間に2匹以上のスライムを長期間飼うと、より強い方のスライムが弱いスライムを取り込み進化するらしく、進化したスライムは攻撃的になるため危険だそう。用を足している時に攻撃なんてされたら、たまったもんじゃない。
スライムによる分解はそれなりに時間がかかるらしく、複数人で利用するような場所のトイレは分解が追い付かず匂いがひどいことになっている場所もあるとか。
私は一人暮らしなので大丈夫だと思いたいが万が一を考えて、トイレは家の外に別に建ててもらった。
玄関からトイレまで屋根がついているので、雨でも心配なし。ありがたや。
裏庭には小さいが畑があり、自家栽培できるようにしてくれている。場所が足りなくなったら、いくらでも広げられるしね。
「う~ん、完璧です!フォルティナ様ありがとうございます!」
私は空に向かってお礼を言っておいた。
そんな不思議な感覚を感じながら、私はゆっくりと目を開けた。
おそらく、ベッドに寝転んだ状態なのだろう。知らない天井だ。
私はゆっくりと起き上がり、足をおろしてベッドに腰かけた。
「うん、記憶の混濁もないし、日本で生きてきた記憶もしっかりと残ってる。あとはー、っと」
部屋を見回して目的のものを発見する。
そう、鏡である。
実は見た目に関してもフォルティナ様に希望を聞いていただけたのだが、こちらの世界の人間の標・準・的・な・見た目も分からないのでと言って、すべてお任せしたのである。
(あ、でもひとつだけお願いしたんだった。時と場合によっては男装する事があるかもしれないから、中性的な感じがいいかもって)
女だと舐められる場面もあるだろうしね。腹立たしいけど。
ベッドから飛び降り、そこまで移動して確認。
「・・・は?」
目に飛び込んできたのは10歳にして、すでに完成された美。圧倒的な美。
性別を超えた美しすぎる少女が鏡に映っていた。
髪は黒髪さらさらストレート、肩の少し上くらいの長さまである。
瞳は深い青系の色、藍色だろうか?光の加減で明るくも見える。
そして何より、この顔のつくりはどっからどう見ても、あの方と同じ系統だ。
「いや、これもう髪と瞳の色以外ほぼほぼフォルティナ様じゃん!劣化版フォルティナ様じゃん!何してくれてんの!!どう考えても目立つわ!」
そう、どう見てもフォルティナ様のお姿を元にしたような顔だった。さすがにそっくりそのままというわけではないが、親子といっても差し支えないレベルである。
確かに中性的という条件は完璧に満たしてはいる。
ただ、男女どちらの恰好をしていても、男女どちらにも警戒をしなければならない未来がうっすらと浮かんだ。舐められる以前の問題が発生しそうである。まだ見ぬ未来に身の危険を感じ、軽く鳥肌がたった。
ちなみに、あすか自身は『標準的な見た目が分からないからお任せする=標準的な見た目にして欲しい』というつもりで伝えたつもりでいるが、そんなニュアンスでちゃんと伝わるのなんて、日本人くらいだろう。
日本人は他国と比べても、空気を読むことに長けているらしい。
そんな日本で生きてきた生粋の日本人である、あすかとしては、それで伝わったつもりでいたのだろう。
しかし、相手は異世界の、それも神様だ。『お任せする=お任せする』なのである。それ以上でもそれ以下でもない。
お任せされた心優しきフォルティナ様は張り切って用意してくれたことだろう。カフェであすかが自身の容姿を見て「綺麗」と驚いてくれたことを思い出しながら。…
しばし固まってしまった私だったが、今さら嘆いても仕方がないなと、気を取り直して再び鏡の中の自分を見つめる。
「ま、まぁ、予想外だったけど、美人さんに生まれ変われてラッキーってことでいっか!身長とかはこっちの平均くらいかな?服装も、シンプルで動きやすそうだしひとまず困らないかな。スカートとかじゃなくて良かった~。さて、あとは拠点の確認をしっかりしますか」
一通り全身の確認を終えたので、次は拠点の確認をする。
一応転生前にフォルティナ様に希望を聞いてもらえたので、だいたい想像通りになっていた。
平屋の一軒屋で玄関に靴を脱ぐスペースを作ってもらった。転生時に自然と理解できるようにしてもらってあったこちらの常識では家の中も基本土足のようなので、しっかり指定しておいて良かったと思う。目覚めた時も裸足でした。
室内はいたって簡素な作りだ。
部屋は寝室と書斎、ダイニングキッチンに分かれている。
4畳ほどの寝室には木でできたベッドだけ。そんなにふかふかではないが布団もある。
6畳ほどある書斎は、この世界で学んでおくと今後役に立つであろう本を神様チョイスで用意してくれている。本はこの世界ではまだまだ高級品で、平民ではまず手に入らないそうだ。なので、気楽に読める娯楽の本などなく、専門書だけだそう。
あとはダイニングキッチンだが、2人掛けのダイニングテーブルがあり、広さは12畳ほど。調理器具や食器類もある。
魔道具と呼ばれる魔力で動かすコンロを一つ設置してくれている。この魔道具も超高級品で、貴族階級であってもお金に余裕のある家には導入されているようだが、普通は釜戸で火を焚きながら調理するようだ。さらに、塩、胡椒、砂糖、この3つの調味料と食用油、小麦粉だけはあらかじめ用意してくれている。ありがたや。
水道はないが、洗い物などは生活魔法で簡単に出来るので問題なし。
お気付きだと思うが、トイレはもちろん水洗などではない。いわゆる、ボットンである。汚い話だが、溜まっていくブツたちは、どう処理しているのかというと、なんとスライムをトイレの下の空間に放し飼いにしていて、掃除させているそうだ。スライムは大抵のものを吸収し分解できる性質をもっているらしく、その性質を利用しているとのこと。
とはいえ問題もあって、ひとつの空間に2匹以上のスライムを長期間飼うと、より強い方のスライムが弱いスライムを取り込み進化するらしく、進化したスライムは攻撃的になるため危険だそう。用を足している時に攻撃なんてされたら、たまったもんじゃない。
スライムによる分解はそれなりに時間がかかるらしく、複数人で利用するような場所のトイレは分解が追い付かず匂いがひどいことになっている場所もあるとか。
私は一人暮らしなので大丈夫だと思いたいが万が一を考えて、トイレは家の外に別に建ててもらった。
玄関からトイレまで屋根がついているので、雨でも心配なし。ありがたや。
裏庭には小さいが畑があり、自家栽培できるようにしてくれている。場所が足りなくなったら、いくらでも広げられるしね。
「う~ん、完璧です!フォルティナ様ありがとうございます!」
私は空に向かってお礼を言っておいた。
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