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お前は関わるな

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「ジルベール兄様っ!!」


荒々しくドアを開けて、部屋へ入って来たのは僕の弟フェルドアだった。

「フェル? どうしたんだ慌てて。 騎士団の方はいいのかい?」

「休みを貰って来ました! そんな事より一体どうなってるんですか!」

「どうって、何がだ? 落ち着いてちゃんと話しなさい」

フェルドアがこれほど憤慨ふんがいする事はあまり無い。
恐らく、騎士団で殿下達の噂でも聞いたのだろうが…

「…兄様は、殿下達の事聞いて無いのですか?」

「やっぱりその事か。 知ってるよ……その件で今、父上とシアが王宮へ行っている」

「王宮へ…? それは婚約を、解消する為なんですよね…?」

「……陛下との謁見自体はその話だと思うよ」

「そうですか…やっぱり、王族となんか婚約するべきじゃ無かったんだ」

「フェル。 そんな風に言ってはダメだよ」

「ですがっ! 姉様はずっと断っていたのにっ!」

「落ち着け。 とにかく、フェルはサーヴェント侯爵家への婿入りが決まっているんだ。王家の醜聞しゅうぶんに巻き込まれない様気を付けないといけない」

「それは……はい…」

シアの話だと、この件にフェルは関わっていない。
けど…もし今、殿下達に近付けば…あの男爵令嬢に会ってしまうだろう。
僕が魅了に掛かっていない以上、フェルが利用される可能性も無いとは言えないからね…

「兄様……姉様は…元気でしたか…?」

「ああ、心配無い。 落ち込んではいないよ。 知ってるだろ? シアは殿下達に恋愛感情は無いって」

「はい……けどそれでも、やっぱり…裏切りは傷付くと思うから…」

「そうだな…」

ソファーから立ち上がり、フェルの頭を少し乱暴に撫でてやる。

「シア達が帰って来るまで打ち合うか。どれだけ強くなったか見てやる」

「はいっ」

フェル、お前は関わってはいけない…



          ◇



―――アリエルside―――


王子2人は魅了に掛かった。 これだけ重ね掛けしてれば安心ね。

側近達にも強力なのを掛け直した。

アルフォードはまだ数回掛けた方がいいわね。

「あとは悪役令嬢の兄、ジルベールね…」

あの時、王子2人と一緒に居たのに、あたしの魅了に掛かってなかったみたいだった…

「なんでだろう…」

攻略対象なんだから、ヒロインの魅了魔法に耐性なんてない筈だし…


「インジャスタ男爵令嬢、ちょっと良いかな」

「ローガン先生…何でしょうか?」

「これを教室まで運んで欲しいのだが」

「……わかりました」

なんなのよっ! イライラするわね!

さっきから全然アルフォードのとこへ行けないじゃないのっ!!

今日は次が最後の授業だから、終わったら生徒会室へ行かなきゃなんないのに!

何かに邪魔されてる気分だわっ!


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