上 下
25 / 44

謀略

しおりを挟む
「アルフォードさまぁ…、ぐすっ…」

アリエル嬢が、切り裂かれた教科書を手に俺の所へやって来た。

「どうしたんだ、その教科書は!?」

「ぐすんっ…教科書を置き忘れてて…取りに戻ったらもう…ぐすっ…」

俺は、無残な状態の教科書を手に取る。 明らかに悪意ある者の仕業だ。


「誰がこんな…」

「教室に入る前、銀髪の女の人が出て行ったけど…知らない人だったわ」

「銀髪?」

「でも、その人がやったかは…」


(この学園に銀髪の人間なんて、1人だけじゃないか!)


「アリエル嬢、この教科書…俺が預かっていいかな? 君には新しいのを支給するように言っておくよ」

「ぐすん……はい…」


(生徒会室へ行けばアイツが…ジルベールが居る筈…)


アリエル嬢に背を向け歩き始めた俺は、背後でニヤリとわらう彼女には気付かなかった…




―――アリエルside―――


(まったく、何なの!?)


やっぱり今回の転生はおかしいわ…クロードとシルグランドがやっと魅了に掛かりだしたと思ったら姿を見なくなったし。

トリスタンも、あれから図書室へ来なくなった。

彼らをとりこにしなきゃ生徒会室に近付けないのに。


(生徒会室に行かなきゃほとんどヴェルドカインに会えないじゃないの!)


それにしても…アルフォードがまだ魅了に掛かりきってない…今回一番接触しているのに、どうして?

けど、まったく掛かってない訳じゃないわ…大丈夫よ。

今回は精神操作が出来ないのが悔しいな。

私が王妃になる為の駒でしかないんだから、感情なんて邪魔なだけだわ。

光魔法が使えないだけでこんなに手こずるなんて想定外だった。

そろそろ教科書イベントの頃合いだけど、トリスタンが無理なら…今はアルフォードしか居ないわね…


(急に強力な魅了を掛けると錯乱する可能性があったから弱めにしてたけど、このイベントが終わったら強く掛けてもいいかもしれないわね…)



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい

宇水涼麻
恋愛
 ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。 「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」  呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。  王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。  その意味することとは?  慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?  なぜこのような状況になったのだろうか?  ご指摘いただき一部変更いたしました。  みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。 今後ともよろしくお願いします。 たくさんのお気に入り嬉しいです! 大変励みになります。 ありがとうございます。 おかげさまで160万pt達成! ↓これよりネタバレあらすじ 第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。 親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。 ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!

神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう....... だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!? 全8話完結 完結保証!!

【完結】公爵令嬢はただ静かにお茶が飲みたい

珊瑚
恋愛
穏やかな午後の中庭。 美味しいお茶とお菓子を堪能しながら他の令嬢や夫人たちと談笑していたシルヴィア。 そこに乱入してきたのはーー

ヒロインに悪役令嬢呼ばわりされた聖女は、婚約破棄を喜ぶ ~婚約破棄後の人生、貴方に出会えて幸せです!~

飛鳥井 真理
恋愛
それは、第一王子ロバートとの正式な婚約式の前夜に行われた舞踏会でのこと。公爵令嬢アンドレアは、その華やかな祝いの場で王子から一方的に婚約を解消すると告げられてしまう……。しかし婚約破棄後の彼女には、思っても見なかった幸運が次々と訪れることになるのだった……。 『婚約破棄後の人生……貴方に出会て幸せです!』  ※溺愛要素は後半の、第62話目辺りからになります。 ※ストックが無くなりましたので、不定期更新になります。 ※連載中も随時、加筆・修正をしていきます。よろしくお願い致します。 ※ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

悪役令嬢の物語は始まりません。なぜならわたくしがヒロインを排除するからです。

霜月零
恋愛
 わたくし、シュティリア・ホールオブ公爵令嬢は前世の記憶を持っています。  流行り病で生死の境を彷徨った時に思い出したのです。  この世界は、前世で遊んでいた乙女ゲームに酷似していると。  最愛のディアム王子をヒロインに奪われてはなりません。  そうと決めたら、行動しましょう。  ヒロインを排除する為に。  ※小説家になろう様等、他サイト様にも掲載です。

運命の歯車が壊れるとき

和泉鷹央
恋愛
 戦争に行くから、君とは結婚できない。  恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。    他の投稿サイトでも掲載しております。

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...