24 / 44
見捨てられない
しおりを挟む
「トリスタンが魅了されてた!?」
お兄様と3人で屋敷に帰った後、私はゲイルと2人で自室にてお茶を飲みながら、図書室で何があったかを聞いている所です。
「ああ。 まだ魔法が定着してなかったんだろう…俺が魔力の塊をぶつけると解けた」
「そう……隣国の第2王子も気掛かりだけど、お兄様は大丈夫なのかな…」
「ジルベールは問題無いだろう」
「そうね、指輪も有るし、ゲイルの1番近くに居るから魔法抵抗も…」
「ああ。 7人の中では1番抵抗力が強い筈だ。 だから…」
「注視するべきなのは、やっぱり…隣国の第2王子ね」
お兄様が忠告をしたと言っていたけど、どこまで魅了に掛かっているか確かめたいわね。
「お兄様に頼んで、第2王子に会わせて貰おうかな…」
「ちょっと待て!」
私の呟きを、間髪入れずにゲイルが止めた。
「何故会う必要が有る! 1番近付いてはいけない相手ではないか!」
「そうなんだけど……でも…入学してからまだ日も浅い今なら、トリスタンと同じ様に貴方の魔力で正気に戻るかもしれないじゃない!」
「それは…だがっ!!」
「それにっ!……自国の攻略対象者だけ守って、隣国の彼1人だけ知らん顔するなんて…」
私は俯いたまま両拳を握り、1人だけ見捨てる罪悪感に苛まれていた。
―――ゲイルside―――
(確かに、今なら魅了が解ける可能性は高い…が…)
俺は、膝の上で拳を握り…恐らく罪悪感と葛藤しているであろうフェリシアを見る。
(自分を断罪する筈の相手を心配する、か。…こんな優しい奴だからこそ俺は……)
「分かった…」
フェリシアが勢い良く顔を上げ、俺を見る。
「但し! 自分勝手に動くなよ。 第2王子には俺が会う」
「うん。 ありがとうゲイル…」
「まだ救えると決まった訳じゃない。 もし魅了が解けなければ…」
「それでも…もしかすると、効力が弱まる可能性だってあるわ」
「…そうだな」
俺は人化を解き、本来の姿に戻る。
『もう寝ろ。 明日も早い』
「うん」
お兄様と3人で屋敷に帰った後、私はゲイルと2人で自室にてお茶を飲みながら、図書室で何があったかを聞いている所です。
「ああ。 まだ魔法が定着してなかったんだろう…俺が魔力の塊をぶつけると解けた」
「そう……隣国の第2王子も気掛かりだけど、お兄様は大丈夫なのかな…」
「ジルベールは問題無いだろう」
「そうね、指輪も有るし、ゲイルの1番近くに居るから魔法抵抗も…」
「ああ。 7人の中では1番抵抗力が強い筈だ。 だから…」
「注視するべきなのは、やっぱり…隣国の第2王子ね」
お兄様が忠告をしたと言っていたけど、どこまで魅了に掛かっているか確かめたいわね。
「お兄様に頼んで、第2王子に会わせて貰おうかな…」
「ちょっと待て!」
私の呟きを、間髪入れずにゲイルが止めた。
「何故会う必要が有る! 1番近付いてはいけない相手ではないか!」
「そうなんだけど……でも…入学してからまだ日も浅い今なら、トリスタンと同じ様に貴方の魔力で正気に戻るかもしれないじゃない!」
「それは…だがっ!!」
「それにっ!……自国の攻略対象者だけ守って、隣国の彼1人だけ知らん顔するなんて…」
私は俯いたまま両拳を握り、1人だけ見捨てる罪悪感に苛まれていた。
―――ゲイルside―――
(確かに、今なら魅了が解ける可能性は高い…が…)
俺は、膝の上で拳を握り…恐らく罪悪感と葛藤しているであろうフェリシアを見る。
(自分を断罪する筈の相手を心配する、か。…こんな優しい奴だからこそ俺は……)
「分かった…」
フェリシアが勢い良く顔を上げ、俺を見る。
「但し! 自分勝手に動くなよ。 第2王子には俺が会う」
「うん。 ありがとうゲイル…」
「まだ救えると決まった訳じゃない。 もし魅了が解けなければ…」
「それでも…もしかすると、効力が弱まる可能性だってあるわ」
「…そうだな」
俺は人化を解き、本来の姿に戻る。
『もう寝ろ。 明日も早い』
「うん」
0
お気に入りに追加
771
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
悪役令嬢、モフモフ温泉をおばあちゃんの知恵で立て直したら王妃にジョブチェン?! 〜やっぱり『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件~
華梨ふらわー
恋愛
第二王子との婚約を破棄されてしまった主人公・グレイス。しかし婚約破棄された瞬間、自分が乙女ゲーム『どきどきプリンセスッ!2』の世界に悪役令嬢として転生したことに気付く。婚約破棄に怒り狂った父親に絶縁され、貧乏診療所の医師との結婚させられることに。
貧民街の生活が改善し、診療所も建て直せそうか……と思いきや、獣人らからも助けを求められることに。大聖女のチート技で温泉の源泉を発見!今度はおばあちゃんの知恵を使って温泉宿を経営することに。『医者の嫁』ハッピーセレブライフ計画の進捗状況はやはり停滞中です。
『悪役令嬢、追放先の貧乏診療所をおばあちゃんの知恵で立て直したら大聖女にジョブチェン?! 〜『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件〜』の続編となります。
『小説家になろう』で2万ptを達成しましたので、番外編を不定期で更新していきたいと思います。
また新作『盲目の織姫は後宮で皇帝との恋を織る』も合わせてお楽しみいただけると幸いです。
【完結】悪女扱いした上に婚約破棄したいですって?
冬月光輝
恋愛
私ことアレクトロン皇国の公爵令嬢、グレイス=アルティメシアは婚約者であるグラインシュバイツ皇太子殿下に呼び出され、平民の中で【聖女】と呼ばれているクラリスという女性との「真実の愛」について長々と聞かされた挙句、婚約破棄を迫られました。
この国では有責側から婚約破棄することが出来ないと理性的に話をしましたが、頭がお花畑の皇太子は激高し、私を悪女扱いして制裁を加えると宣い、あげく暴力を奮ってきたのです。
この瞬間、私は決意しました。必ずや強い女になり、この男にどちらが制裁を受ける側なのか教えようということを――。
一人娘の私は今まで自由に生きたいという感情を殺して家のために、良い縁談を得る為にひたすら努力をして生きていました。
それが無駄に終わった今日からは自分の為に戦いましょう。どちらかが灰になるまで――。
しかし、頭の悪い皇太子はともかく誰からも愛され、都合の良い展開に持っていく、まるで【物語のヒロイン】のような体質をもったクラリスは思った以上の強敵だったのです。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!
神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう.......
だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!?
全8話完結 完結保証!!
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる