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見捨てられない

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「トリスタンが魅了されてた!?」

お兄様と3人で屋敷に帰った後、私はゲイルと2人で自室にてお茶を飲みながら、図書室で何があったかを聞いている所です。

「ああ。 まだ魔法が定着してなかったんだろう…俺が魔力の塊をぶつけると解けた」

「そう……隣国の第2王子も気掛かりだけど、お兄様は大丈夫なのかな…」

「ジルベールは問題無いだろう」

「そうね、指輪も有るし、ゲイルの1番近くに居るから魔法抵抗も…」

「ああ。 7人の中では1番抵抗力が強い筈だ。 だから…」

「注視するべきなのは、やっぱり…隣国の第2王子ね」

お兄様が忠告をしたと言っていたけど、どこまで魅了に掛かっているか確かめたいわね。

「お兄様に頼んで、第2王子に会わせて貰おうかな…」

「ちょっと待て!」

私のつぶやきを、間髪入れずにゲイルが止めた。

「何故会う必要が有る! 1番近付いてはいけない相手ではないか!」

「そうなんだけど……でも…入学してからまだ日も浅い今なら、トリスタンと同じ様に貴方の魔力で正気に戻るかもしれないじゃない!」

「それは…だがっ!!」

「それにっ!……自国の攻略対象者だけ守って、隣国の彼1人だけ知らん顔するなんて…」

私はうつむいたまま両拳りょうこぶしを握り、1人だけ見捨てる罪悪感にさいなまれていた。



―――ゲイルside―――

(確かに、今なら魅了が解ける可能性は高い…が…)

俺は、膝の上で拳を握り…恐らく罪悪感と葛藤しているであろうフェリシアを見る。

(自分を断罪する筈の相手を心配する、か。…こんな優しい奴だからこそ俺は……)


「分かった…」

フェリシアが勢い良く顔を上げ、俺を見る。

ただし! 自分勝手に動くなよ。 第2王子には俺が会う」

「うん。 ありがとうゲイル…」

「まだ救えると決まった訳じゃない。 もし魅了が解けなければ…」

「それでも…もしかすると、効力が弱まる可能性だってあるわ」

「…そうだな」

俺は人化を解き、本来の姿に戻る。

『もう寝ろ。 明日も早い』

「うん」




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