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アリエルside
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私はアリエル・インジャスタ男爵令嬢。
1ヶ月前、インジャスタ男爵の庶子として引き取られた孤児だ。
そして…私は転生者である……しかも2回目のね…
1回目は日本の成瀬綾子の記憶を持ってこの世界に来た。
8歳で男爵に引き取られ、15歳の魔力検査で前世を思い出したの。
綾子には好きな人が居たのだけど、その人には恋人が居たわ…
(澤近麻衣子!)
やっとマンションを探し出し、持ってたナイフで刺し殺したのにっ!
あの女に誑し込まれた所為で! 彼は…私に見向きもしてくれなかった。
その内、警察が来て女子刑務所に送られたわ…
陰湿な虐めとリンチ……恐らくその過程で私は死んだのね。
気が付いたら15歳のアリエルになっていた。
あの乙女ゲーム…『あなたを癒す光の乙女』の世界だと分かった時は歓喜したわね…
シナリオ通り進めて第1王子を手に入れた時は楽しかった。
悪役令嬢フェリシア・カストリアを断罪し、断頭台送りにしてやったわ。
最高の気分だった……なのに、何故!?
今度はその記憶を持ったまま8歳に戻っていた…
(あのままだったらまた、あの継母に虐げられるとこだったわね)
私は母に、貴族がこの辺りをうろついてると教えた。
少なくとも、あの継母が死ぬ15歳までは父から逃げなくては…
ゲームの設定では…
『ヒロインの曾祖母が亡国の王女だった。
乳母の孫と1日違いで産まれて離宮で一緒に育てられていたけど、隣国に攻め込まれて乳母が涙ながらに入れ替えた。
知り合いの行商に紛れて遥々このフェザクール王国へ来て住みついた。
成人した曾祖母は画商と恋仲になり娘を産む。それがヒロインの祖母だ。
祖母が成人し結婚した相手は、画商に出入りしていた画家だった。
祖母と画家の間にまたもや娘が産まれ、画家が娘の成長を絵に描いた。それがヒロインの母親だ。
16歳の時の絵を男爵家の息子が気に入り、専属侍女にされ半年ほどで襲われた。
男爵家から逃げ出しヒロインが生まれて隠れる様に暮らしていた。
男爵の息子が家を継いで結婚したが子供が出来ず、孕ませた専属侍女を探してヒロインを連れ去る。
その時母親が馬車に轢かれて死んでしまう。ヒロインが8歳の時だった。
8歳から継母に虐げられ続け、15歳で漸く継母が死ぬ。
ヒロインが15歳になった時、魔力検査で光魔法を発動。
亡国の王族が誇っていた光魔法が隔世遺伝で発現したのだ』
これがヒロインである私の前提設定…
だけど、前回は発現した光の魔力が、今回は何故か発現しなかった…
どうして…?
8歳の時に父から逃げたからシナリオが変わった?
でも、そんな事で魔力の質なんて変わらない筈でしょ?
何故真逆である闇の魔力が現れるのよっ!
ここは前回と同じ世界じゃないのかしら…?
似てるけど、違う世界…?
まさか検査前に前世の記憶があったからとか…?
これで、光の魔力での精神操作系魔法は使えなくなったけど…
(私自身の特殊スキルに魅了があるからまぁ、何とかなるかな?)
そして、入学式を迎えた今日。
学園に着くと、ヴェルドカインが弟王子と入り口に立っていた。
側を通る時、わざと段差に躓いた…
「あっ!」
「っ!! 大丈夫か?」
「ありがとうございま…す…!?」
「? どこか痛めたか?」
「あ…いえ……以前、馬車に…」
「ん?……ああ! あの時の」
「その節はご迷惑を…」
「いや、気にするな。 それにしても…貴族の御令嬢だったのか」
「あ…はい。 最近、インジャスタ男爵に引き取られまして…」
「そうか。 急に環境が変わるのは大変だろうが、男爵令嬢としてこの学園でよく学ぶといい」
「はい。では失礼します」
おかしいわね…前回は精神操作を主に使っていたからかしら…?
前と反応が違うわ…
やはり魅了だけだと、急には変わらないのかも知れないわね…
(これは…時間を掛けて浸透させていかなきゃね…)
1ヶ月前、インジャスタ男爵の庶子として引き取られた孤児だ。
そして…私は転生者である……しかも2回目のね…
1回目は日本の成瀬綾子の記憶を持ってこの世界に来た。
8歳で男爵に引き取られ、15歳の魔力検査で前世を思い出したの。
綾子には好きな人が居たのだけど、その人には恋人が居たわ…
(澤近麻衣子!)
やっとマンションを探し出し、持ってたナイフで刺し殺したのにっ!
あの女に誑し込まれた所為で! 彼は…私に見向きもしてくれなかった。
その内、警察が来て女子刑務所に送られたわ…
陰湿な虐めとリンチ……恐らくその過程で私は死んだのね。
気が付いたら15歳のアリエルになっていた。
あの乙女ゲーム…『あなたを癒す光の乙女』の世界だと分かった時は歓喜したわね…
シナリオ通り進めて第1王子を手に入れた時は楽しかった。
悪役令嬢フェリシア・カストリアを断罪し、断頭台送りにしてやったわ。
最高の気分だった……なのに、何故!?
今度はその記憶を持ったまま8歳に戻っていた…
(あのままだったらまた、あの継母に虐げられるとこだったわね)
私は母に、貴族がこの辺りをうろついてると教えた。
少なくとも、あの継母が死ぬ15歳までは父から逃げなくては…
ゲームの設定では…
『ヒロインの曾祖母が亡国の王女だった。
乳母の孫と1日違いで産まれて離宮で一緒に育てられていたけど、隣国に攻め込まれて乳母が涙ながらに入れ替えた。
知り合いの行商に紛れて遥々このフェザクール王国へ来て住みついた。
成人した曾祖母は画商と恋仲になり娘を産む。それがヒロインの祖母だ。
祖母が成人し結婚した相手は、画商に出入りしていた画家だった。
祖母と画家の間にまたもや娘が産まれ、画家が娘の成長を絵に描いた。それがヒロインの母親だ。
16歳の時の絵を男爵家の息子が気に入り、専属侍女にされ半年ほどで襲われた。
男爵家から逃げ出しヒロインが生まれて隠れる様に暮らしていた。
男爵の息子が家を継いで結婚したが子供が出来ず、孕ませた専属侍女を探してヒロインを連れ去る。
その時母親が馬車に轢かれて死んでしまう。ヒロインが8歳の時だった。
8歳から継母に虐げられ続け、15歳で漸く継母が死ぬ。
ヒロインが15歳になった時、魔力検査で光魔法を発動。
亡国の王族が誇っていた光魔法が隔世遺伝で発現したのだ』
これがヒロインである私の前提設定…
だけど、前回は発現した光の魔力が、今回は何故か発現しなかった…
どうして…?
8歳の時に父から逃げたからシナリオが変わった?
でも、そんな事で魔力の質なんて変わらない筈でしょ?
何故真逆である闇の魔力が現れるのよっ!
ここは前回と同じ世界じゃないのかしら…?
似てるけど、違う世界…?
まさか検査前に前世の記憶があったからとか…?
これで、光の魔力での精神操作系魔法は使えなくなったけど…
(私自身の特殊スキルに魅了があるからまぁ、何とかなるかな?)
そして、入学式を迎えた今日。
学園に着くと、ヴェルドカインが弟王子と入り口に立っていた。
側を通る時、わざと段差に躓いた…
「あっ!」
「っ!! 大丈夫か?」
「ありがとうございま…す…!?」
「? どこか痛めたか?」
「あ…いえ……以前、馬車に…」
「ん?……ああ! あの時の」
「その節はご迷惑を…」
「いや、気にするな。 それにしても…貴族の御令嬢だったのか」
「あ…はい。 最近、インジャスタ男爵に引き取られまして…」
「そうか。 急に環境が変わるのは大変だろうが、男爵令嬢としてこの学園でよく学ぶといい」
「はい。では失礼します」
おかしいわね…前回は精神操作を主に使っていたからかしら…?
前と反応が違うわ…
やはり魅了だけだと、急には変わらないのかも知れないわね…
(これは…時間を掛けて浸透させていかなきゃね…)
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