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第20話:新人の導き手
しおりを挟む「よし! 全員合格!」
ダルサスが書類にそれぞれ合格のサインを記入する。
少年達がダルサスの所へと集まり、書類を受け取ったギルド職員が手続きをするため一階へと下りる。
「お前達の歳でこれくらいの実力があれば上出来だ。登録を進めた先生とやらも、その辺の見極めは正しかったってことだろう」
それを聞いた少年達が複雑な表情を浮かべる。
「平民と貴族を比べてもしょうがないぞ。貴族は貴族なりにその家の役割ってもんを担ってるんだ。学校の先生が口出しするはずもない。それに、今から冒険者として実力をつけるのは悪くない選択だ。将来は騎士団に入団するか貴族のお抱えになるか、考えてるんだろ?」
「はい」と頷く少年達。
「俺も平民でお前達の歳の頃には冒険者と学業を並行してやっていた。将来どこに身を置くにしろ、実力と経験があるとないとでは選ばれる確率が全然違う。選んでもらうんじゃなく、自分で選ぶくらいの人間になれ」
「・・・・・・それでダルサスさんは、冒険者ギルドに就職することを選んだんですか?」
サーベンが問う。
「いや、学校を卒業して一度は騎士団に入団した。が、いろいろあって、二年で辞めちまった。冒険者の方が俺には合ってた。ここで働いてるのは、新人の面倒をよくみてたら、そっちの才能を活かせとある方に進められてな。新人の面倒ばかりみてるから、自慢じゃないが、俺は冒険者の間では顔が広いぞ」
「へ~」
(なんかわかる! ダルサスさんって中学の時の体育の先生、浜山先生に似てる! 男らしくて面倒見の良いところ! 浜山先生は生徒からの人気高かったんだよね~)
「それで、だ。お前達、冒険者として依頼を受ける時は当分の間まず俺に相談しろ。下手な依頼を受けると、命を落とすことになるぞ」
顔を強ばらせた少年達。
「下手な依頼って?」
サムの問いにダルサスが答える。
「魔物が大量発生していて、今はどこの領地も人手が足りていない。実力も経験も足りていない新人が人手がない所へ行くのは特に危険だ。明らかに実力に合わない仕事でも、任される場合がある。新人を育てるような余裕がないんだ。仕方のないことだがな。一人でとか、お前達三人でとか、考えたりするなよ? 魔物討伐は人数が多ければ多いだけいい。今の時期は騎士団と行動を共にするのがいいだろう」
「はい」
「わかりました」
頷く少年達。
「ルザハーツとか、アイダンハルスの騎士団なら比較的安心だな。知り合いもいるし、気にかけてくれるよう口添えも出来る。間違っても、新人が弱小騎士団に行こうなんてするなよ。命が惜しければな」
「「「はい!」」」
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