上 下
12 / 126

 第12話:ステータスオープン!

しおりを挟む


(うわあ、綺麗な町並み! これぞ中世のヨーロッパのような、ファンタジーの世界!)

 愛那は透明な姿のまま城下町に来ていた。
 噴水広場にベンチがあったので、そこに座っていったん休憩する。
「海外旅行に来てるみたい」
 水の音に癒やされ、ぽかぽかとした日差しが心地良い。 
 神殿を出たら、そこはお城の敷地内で、そこから脱出するまでかなり時間がかかった。とにかく広かった。
 お城の中を見て回りたい気持ちもあったが、とにかく捕まりたくなかったので必死だった。
 ようやく今、一息つけることが出来たのだ。 
「・・・・・・なんて、和んでる状況じゃないのよね」  
 緩んだ表情を引き締める。  
 この周囲に人の姿はないし、近づいてくる姿もないことを確認する。 
「さて、と。それじゃあやってみますか!」
 愛那は逃げている最中、思い出したことがあって、それを試したくてうずうずしていた。
 異世界召喚された時のお約束。
「異世界召喚? 知ってる。こう言えばいいんでしょ?」
 フフッと笑う。

「ステータスオープン!」

 シ────ン。
 どや顔で、自信満々に言ったのに、何故か何もおこらない。
(・・・・・・・・・・・・?) 
 しばらく待ってみたが、やはり何もおこらない。
「・・・・・・あれ?」
 愛那は首を傾げた。 
(おかしいな? これを言ったら透明な板みたいなステータス画面が出るのはアニメも漫画も共通だったのに・・・・・・)
 自分の能力を知ることの出来るステータス画面。
 他にどんなことが出来るのか、わくわくしていた愛那がショックを受ける。
「お約束っ、異世界召喚された時のお約束でしょ!? 何で!? ステータス! ステータスオープン!」
 やはり何もおこらない。
 ふらりと体をベンチの背もたれに預けた愛那は「えぇ~~~~」と天を仰いだ。


しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢は婚約者として認められたい

Hkei
恋愛
伯爵令嬢ソフィアとエドワード第2王子の婚約はソフィアが産まれた時に約束されたが、15年たった今まだ正式には発表されていない エドワードのことが大好きなソフィアは婚約者と認めて貰うため ふさわしくなるために日々努力を惜しまない

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。 「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」 精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。 それでも生きるしかないリリアは決心する。 誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう! それなのに―…… 「麗しき私の乙女よ」 すっごい美形…。えっ精霊王!? どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!? 森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

きさらぎ
恋愛
テンネル侯爵家の嫡男エドガーに真実の愛を見つけたと言われ、ブルーバーグ侯爵家の令嬢フローラは婚約破棄された。フローラにはとても良い結婚条件だったのだが……しかし、これを機に結婚よりも大好きな研究に打ち込もうと思っていたら、ガーデンパーティーで新たな出会いが待っていた。一方、テンネル侯爵家はエドガー達のやらかしが重なり、気づいた時には―。 ※『婚約破棄された地味令嬢は、あっという間に王子様に捕獲されました。』(現在は非公開です)をタイトルを変更して改稿をしています。  お気に入り登録・しおり等読んで頂いている皆様申し訳ございません。こちらの方を読んで頂ければと思います。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~

黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※ すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから

gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。

【コミカライズ決定】無敵のシスコン三兄弟は、断罪を力技で回避する。

櫻野くるみ
恋愛
地味な侯爵令嬢のエミリーには、「麗しのシスコン三兄弟」と呼ばれる兄たちと弟がいる。 才能溢れる彼らがエミリーを溺愛していることは有名なのにも関わらず、エミリーのポンコツ婚約者は夜会で婚約破棄と断罪を目論む……。 敵にもならないポンコツな婚約者相手に、力技であっという間に断罪を回避した上、断罪返しまで行い、重すぎる溺愛を見せつける三兄弟のお話。 新たな婚約者候補も…。 ざまぁは少しだけです。 短編 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...