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第二十一章 依存症編
第百五話 誘拐
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……………
「人間的に非合理的な欲求。例えば以前ワタクシは黎様に惚れ薬をかけて外に出かけた際に睡眠の重要性についてお伝えしました。しかし世の中には知性を持つ人間でありながらもその合理性とは正反対の行動を取るものは少なくありません。例えば夜から朝にかけて居酒屋で人が集まり談笑しながらお酒を飲んでから帰宅し、その日の夕方まで睡眠を取るというのは健康の面からすれば合理的とは言えません。この人間では生命活動の最善的な選択に対する非合理的な行動の程度の大きさは人それぞれですが、その大きさによっては取り返しがつかず、今後の人生に大きな影響、場合によっては破滅をもたらす事もあるようです。自らの生命活動を脅かす行動をとってしまう事の背景には一体どんなものがあるのでしょうか。」
……………
菱沼と萌美は街中で買い物に出かけていた。
夕暮れの頃、袋いっぱいの買い物袋を両手に菱沼と萌美が街から屋敷に帰るところであった。
「今日もいっぱい買い物しちゃったね!それにしても今日は遅くなっちゃったから急いで帰らないと皆さん心配しちゃうよ!」
「晶ちゃん、こっちの道の方が近道だよ♡」
萌実が指差したのは裏路地の様なところだった。
「え…なんかちょっとこの道暗くて怖いよ…?」
「大丈夫だって♡この道抜けちゃえばまた大通りに出られるから♡」
そう言って2人が路地を歩いていたその時だった。
「おい、こんな所に女が2人いるぞ?」
「おお、これはいい収穫になりそうだぜ。」
後ろから2人の男の声がした。
菱沼が振り向くとそこには5人の男がいた。
「…も…萌美ちゃん…」
「お?この女アイドル歌手の萌美じゃねーか?ちょっと俺達と遊んでこうぜ?」
菱沼と萌美は5人の男に囲まれてしまった。
「もしかして、萌美のライブ配信に出ていただけるんですか?」
萌美が荷物を下ろし電子タブレットを鞄から取ろうとしたその時だった。
「バシッ!」
萌美の右腕を1人の男に掴まれた。
そしてもう一人の男にハンカチで口をおさえられる。
「ん…!」
萌美の意識が遠のいていく。
「萌美ちゃん!しっかりして!」
萌美が気を失ってしまった。
菱沼もハンカチで口をおさえられる。
「んっ…!」
必死で抵抗するも段々意識が遠のいていく。
……………
「…こ…ここは…。」
菱沼が目を覚ました場所はベッドの上だった。
「…なに…これ…。」
しかし両手を後で拘束され、両足も拘束されていた。
「…も…萌美ちゃんは…!?」
辺りを見回すが萌美の姿はない。
部屋は微かな灯りが少しついた場所で扉が1箇所だけあった。
そして扉が開くと男が1人やってくる。
「…!」
「お目覚めか?お嬢ちゃん。」
「萌美ちゃんは…どこですか…?」
「あの子は希少価値だから特別な部屋で楽しんでもらってる頃だろうよ。これでな。」
男が菱沼に見せたのは白い粉の入った透明な小袋だった。
「…!?…それって…まさか…!」
菱沼は友達の市香と桃香が同じ様な物を持っていたのを知っていたためすぐにハッとした。
「お嬢ちゃんも試してみるか?気持ちよくなれるぞ?」
「…やめてください…。」
「少しぐらい大丈夫だよ。」
そして男が注射器の入った袋を取り出す。
「…!嫌…!止めて!!」
「これで俺達と遊ぼうぜ?」
男が注射器を取り出し菱沼の腕を抑え近づける。
「…やめてください!!」
菱沼の腕に針が刺さったような感触がする。
「…そんな…嫌…。…黎様…お嬢様…。」
次回 第百六話 疑似
「人間的に非合理的な欲求。例えば以前ワタクシは黎様に惚れ薬をかけて外に出かけた際に睡眠の重要性についてお伝えしました。しかし世の中には知性を持つ人間でありながらもその合理性とは正反対の行動を取るものは少なくありません。例えば夜から朝にかけて居酒屋で人が集まり談笑しながらお酒を飲んでから帰宅し、その日の夕方まで睡眠を取るというのは健康の面からすれば合理的とは言えません。この人間では生命活動の最善的な選択に対する非合理的な行動の程度の大きさは人それぞれですが、その大きさによっては取り返しがつかず、今後の人生に大きな影響、場合によっては破滅をもたらす事もあるようです。自らの生命活動を脅かす行動をとってしまう事の背景には一体どんなものがあるのでしょうか。」
……………
菱沼と萌美は街中で買い物に出かけていた。
夕暮れの頃、袋いっぱいの買い物袋を両手に菱沼と萌美が街から屋敷に帰るところであった。
「今日もいっぱい買い物しちゃったね!それにしても今日は遅くなっちゃったから急いで帰らないと皆さん心配しちゃうよ!」
「晶ちゃん、こっちの道の方が近道だよ♡」
萌実が指差したのは裏路地の様なところだった。
「え…なんかちょっとこの道暗くて怖いよ…?」
「大丈夫だって♡この道抜けちゃえばまた大通りに出られるから♡」
そう言って2人が路地を歩いていたその時だった。
「おい、こんな所に女が2人いるぞ?」
「おお、これはいい収穫になりそうだぜ。」
後ろから2人の男の声がした。
菱沼が振り向くとそこには5人の男がいた。
「…も…萌美ちゃん…」
「お?この女アイドル歌手の萌美じゃねーか?ちょっと俺達と遊んでこうぜ?」
菱沼と萌美は5人の男に囲まれてしまった。
「もしかして、萌美のライブ配信に出ていただけるんですか?」
萌美が荷物を下ろし電子タブレットを鞄から取ろうとしたその時だった。
「バシッ!」
萌美の右腕を1人の男に掴まれた。
そしてもう一人の男にハンカチで口をおさえられる。
「ん…!」
萌美の意識が遠のいていく。
「萌美ちゃん!しっかりして!」
萌美が気を失ってしまった。
菱沼もハンカチで口をおさえられる。
「んっ…!」
必死で抵抗するも段々意識が遠のいていく。
……………
「…こ…ここは…。」
菱沼が目を覚ました場所はベッドの上だった。
「…なに…これ…。」
しかし両手を後で拘束され、両足も拘束されていた。
「…も…萌美ちゃんは…!?」
辺りを見回すが萌美の姿はない。
部屋は微かな灯りが少しついた場所で扉が1箇所だけあった。
そして扉が開くと男が1人やってくる。
「…!」
「お目覚めか?お嬢ちゃん。」
「萌美ちゃんは…どこですか…?」
「あの子は希少価値だから特別な部屋で楽しんでもらってる頃だろうよ。これでな。」
男が菱沼に見せたのは白い粉の入った透明な小袋だった。
「…!?…それって…まさか…!」
菱沼は友達の市香と桃香が同じ様な物を持っていたのを知っていたためすぐにハッとした。
「お嬢ちゃんも試してみるか?気持ちよくなれるぞ?」
「…やめてください…。」
「少しぐらい大丈夫だよ。」
そして男が注射器の入った袋を取り出す。
「…!嫌…!止めて!!」
「これで俺達と遊ぼうぜ?」
男が注射器を取り出し菱沼の腕を抑え近づける。
「…やめてください!!」
菱沼の腕に針が刺さったような感触がする。
「…そんな…嫌…。…黎様…お嬢様…。」
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