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第二十章 乙女編

第百四話 再集結

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「そんな感じでお姉様は何度も高柳遥輝に挑んではやつの言いなりさせられていたんだ。」

「…そんな…酷すぎます…。」

「…楓さん…あの人に愛のないエッチを強要させられてたなんて…。」

「終わったことだ。気にしてない。オレが負け続けるのが悪かったんだ。」

「楓さんは全く悪くありません!女性の貞操にまでそんな価値観を抱いていたなんて…私許せません!」

「ボクも未だに許せない気持ちはあるよ。でもどうする事もできなかった。ボクもお姉様がやつにされてることをみかねてずっと訓練に勤しんできたつもりだったけどそれでもまだまだやつの足元にも及ばないんだ。」

「ところで楓さんはどうして右のおっぱいだけないのですか?左のおっぱいは大きいのに。」

「ちょっと萌美ちゃん!?この流れでそれはいくらなんでも空気読めなさすぎでデリカシーなさす…」

「ああ、それなんだがオレが高柳遥輝に数少ない感謝してる出来事の一つでな。やつのアドバイスで右の乳房を切り落としたのだ。」

「えーっっ!?内容もすごいですけど対応力もすごすぎです!!流石絶対防御魔法!!精神力まで絶対防御なんですか!?」

「槍を扱う時に右の乳房が邪魔になっていることを指摘されて、紅葉に巨斧で切り落としてもらったんだ。」

「あれはひやひやしたよね。」

「ストイックすぎます!!ていうか痛くないんですか!?」

「痛いに決まっているだろう。大出血だ。」

「それだけやつに勝ちたいという気持ちが強かったんだよお姉様は。ボク達のためにね。」

「おかげで槍の動きに無駄がかなりなくなったぞ。」

「因みにボクは貧乳だから全然関係ないけどね。」

「その自虐ネタのような、ご冗談のような内容は拾うべきなか迷います…。」

「大丈夫ですよ紅葉さん♡女性の魅力はおっぱいだけではありませんから♡」

 萌美が笑顔で自分の胸を両手で揉みながら言う。

「萌美ちゃんが言うとすごく嫌味っぽく聞こえる!!あとその手の動き止めて!?」

「ペチャパイが好きな男性だって居ま…」

「萌美ちゃん!ストップストップ!」

「黎は大きい方が好きなのかな?」

「紅葉さんは黎様の事を既に想定してたんですね!!」

「オレもあんな男がいると分かっていたら乳房を切り落とすことを迷っていたところだ。」

「楓さんまで!?皆さま!落ち着いてください!黎様はお嬢様の…」

「晶ちゃんぐらいのサイズが好きだったりして♡」

「な…!そんな…!」

「いえ…黎様は…お嬢様のお胸が一番お好きなのだと思われます…。」

「…え!?」

「…!?この声は!?」

「花梨お姉様!?」

 4人の耳に、萌美以外の3人にとって聞き覚えのある声がした。

「どちら様ですか?」

「ワタクシ痛感いたしました…黎様は………黎様は………結局お嬢様のお胸が一番お好きなのでございますよーーーーーっっっ!!!」

「…おい…これは幻聴か…?」

「…いや…ボクにも聞こえてるけど…。」

「ワタクシなんて…ワタクシなんて…黎様の眼中にもないのでございまして…最初からお嬢様に勝ち目などなかったのでございます…うぅ…。」

「…なんか…泣いてるみたいですけど…。」

「本日をもちましてワタクシ…恋の病により狂言回しの役目を辞退させて頂きます…。」

「狂言回しって何の話しですか?でも恋の病は時間が解決してくれますし、まだ諦めちゃダメですよ♡」

「萌美様…ありがとうございます…!なんだか元気がわいてまいりました…!ワタクシも黎様を諦めません!今日ここにいる皆さまも黎様を好きだということは…皆様も恋敵です!!ワタクシは皆さまにもお嬢様にも決して負けません!それでは失礼致します。」

「…本当に幻聴…じゃなかったのか…?」

「…なんかボクまでそう思えてきた…。」

「バタンッッッ!」

 突然お嬢が上だけYシャツを着て下は下着だけの姿で扉を開けてやってきた。

「今、花梨ちゃんの声しなかった!?」

「お嬢様も聞こえたのですか?っていうかまたその格好で…」

「聞こえなかったけど、女の勘で気付いたのよ。あの子は一番の宿敵よ。恋のね!」

「恋のライバル♡いいですねー♡」

「ぜっっったいに負けないんだから!」

「バタンッッッ!!!カチャッ!」

 そう言ってお嬢は部屋に入り鍵を閉めた。

 ……………

「ワタクシもぜっっったいに負けませんよ!」


 第二十話 乙女編 ~完~


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