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ドーナツ
第八話 掛け
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「そう、ご主人様はシュガー君で間違いないよ。」
「はあああああああああああああああああ?」
アユメは椅子に座りパソコンをいじり始める。
「ちょっとポンコツメイド!あのシュガー君にあなたも会ったことあるんでしょ!?どう見ても顔が全然違ったじゃない!!…ってあなたは知らないかもしれないけどあの偽物と全然顔が違うのよ!!あの銅像のような顔をしているのよ!!」
リサラが口元にアユメに押し付けられた煙草の灰がついた銅像を指しながらそう言った。
「その銅像さぁ、どう見ても不細工だしとてもホストクラブにいたシュガー君とは似ても似つかない顔つきをしてるよね。でも本当のご主人様の素顔はホストにいたシュガー君のように高身長のイケメンで頭も良くてお店の売上もナンバー1を取っちゃうような人で女心もよく分かってくれる人なんだ。仕事も凄くよく出来る。君たちの見てきたご主人様はわざと不細工になるような化粧、というか変装に近い事をしていたんだよ。そこの銅像や偽物のご主人様のようにアンドーナツの表面にそのアンドーナツから吹き出したあんこを3つ付けたような顔をして宮之内エイトを名乗り宮之内財閥の代表取締役をしていたんだ。」
「な…なんで今までそんな事をしていたんですか?」
「試していたんじゃないかなぁ…メイド達を。容姿に優れているとか生まれつき金持ちであるとかそういう男の人に寄ってくる女性は数多いけど敢えて容姿を崩すというハンデを背負う事でここで働くメイド達の人間性、誠実性を知りたかったんだと思うよ。ご主人様もルッキズムを全否定してる訳じゃないと思うんだけどやっぱり顔が良いだけで寄ってくる女って私もちょっと訳ありかなとか思っちゃうし気持ちがわからなくもないんだよなぁ…。」
「カチッ…カチカチッ」
「なにをしてるんですか?」
「ご主人様にお仕事を任されたんだよ。このオンラインカジノを閉鎖するようにってね。」
「オンラインカジノ?一体誰が何の目的でそんな事をしていたんですか?」
「ご主人様が娯楽でやっていただけだと思うよ。でもたまにこれを利用してハマっちゃう人がいるから閉鎖してほしいんだってさ。それとね…(罠を仕掛けておかなければならない)。」
「カチカチッ…カチッ」
「よし、これで完了。よし、リサラ氏!この部屋にはもう用はない事だし私達は仕事に戻りましょーうっ!」
「『リサラ様』でしょーが!全く!まだまだ聞きたいことが沢山ありますけどとりあえずあなたの口から『仕事』なんて言葉はこの世が終わっても出ないと思っていたので自分のやる事に励みなさい!」
「はいは~い!それじゃあごきげんよ~う!」
「バタンッ」
アユメとリサラはエイトの部屋を後にしてアユメはある者のもとへ行く。
そこは屋敷の裏庭だった。
そしてアユメはその者の耳元でこう囁く。
「アンドーナツ。」
と。
「…!」
それを聞いた相手は急ぎ足で裏庭を後にしていくのであった。
……………
「ここが…。あのパソコン…。」
「バタンッ」
女がある部屋に入り部屋の扉が閉まる。
女が恐る恐るパソコンに忍び寄りパソコンに電源をつける。
「ガチャッ!」
扉の鍵が閉まる音がした。
「え…!なに!?」
女は扉の方へ駆け寄る。
「ガチャガチャ!」
「内側からなのに開かない!?なんで!?この部屋の扉は内側からなら開けられるはずなのに!」
「ピロンッ!」
女のスマホの着信音が鳴る。
「シュ…シュガー様…?」
恐る恐るメッセージを確認する。
『どうしたんだい?そんなに慌てて。さぁ、君が求めていたものがここにあるんだろう?』
「な…!」
女は急いでメッセージの相手に返信する。
『どういう事ですかシュガー様!私を騙したんですか!?』
『騙してなんかいないよ。君は大儲けをして俺に会うためにオンラインカジノがやりたかったのだろう?』
「っ!!誰か!!誰か開けてください!!助けてください!!閉じ込められてしまいました!!」
「バンバンッ!!」
「うわぁ~これは大変だぁ~!誰かがご主人様の部屋に入って出られなくなっているぞぉ~。」
「その声は!」
「おかしいですね。この部屋はご主人様のお部屋で今はご主人様が不在のため誰も入れないはずなんですから。」
「リ…リサラ様…!?」
「お2人とも!そんな猿芝居してないで早くケリをつけてお仕事に戻りますよ!」
「あ…」
「ギギィィィ………」
「ごっきげんよぉ~ナタネ先ッ輩ッッッぶわははははははッッッ!!!いい顔いい顔!!!こりゃ傑作だわ!!!」
「パシャ!パシャ!」
アユメがスマホのカメラのシャッターをきる。
「あなた…私を騙したのね!」
「私はあなたの耳元で『アンドーナツ』と囁いただけですけどぶわはははははは!!!あーでもこの部屋に一度だけ入れるようにしてパソコンの起動とともに自動で扉の鍵を内側からロックがかかるようにしちゃったんだけどねはっはーーーッッッ!!!」
「あなた…一体何者なの…!」
「ただの美少女メイドだよ。最初はアスカに『ドーナツ』と耳元で囁かれて思い当たることと言えば『チョコレートトーク』のシュガー君のアイコン以外何もなかった。でも私がオンラインカジノで負けそうになった時にシュガー君から『ドーナツ』とメッセージが送られてきてその言葉の本当の意味を理解する事になったんだ。」
「何勝手に仕事中にカジノやってんだおめぇは。」
「ベシッッッ!!!」
「いってぇ~…。」
アユメがリサラに頭をひっぱたかれてアユメは頭をおさえる。
「それでその『ドーナツ』の本当の意味って何ですか?ポンコツメイド。」
「この屋敷でオンラインカジノをにハマってしまったメイド達の間で普及した隠語だったんだよ。『ドーナツ』は食べ物の『donut』のことではなくて『do not』つまり『やめておけ』と言いたかったんだ。」
「それじゃあポンコツメイドがナタネに言った『アンドーナツ』は…!」
「さっすがメイド長様ご察しがいい!否定の『un』を添える事で『やってしまえ』という隠語が完成する訳だから私がナタネ先輩にそう囁いたってわけ!」
「そうよ…!普段のあなたの仕事態度からしてあなたもすぐにこっち側の人間につくと私は気づいていてあなたからその言葉を聞いた私はここに来た!!なのにあなたは私をっ!!!」
「パシッ!」
ナタネがアユメに平手打ちしようとした手をリサラが抑える。
「っ!」
「あなた、このポンコツメイドのことを責めるより先に何か私に言う事があるのではないですか?」
「リ…リサラ様…」
「お前もシュガー君に手ぇ出してんじゃねーかこのクソアマがーーーーッッッ!!!」
「バコーーーンッッッ!!!」
ナタネが掴まれた手をそのままリサラに持ち上げられて壁に投げられた。
「私にあの時嘘ついたよな!?あ!?『その方は存じ上げません』とかなんとか言ってたよな!?おい!!聞いてんのかこらッ!!!」
「あーあ…こりゃもう誰にも止められねぇや…。」
「カチッ………」
「アユメ様!お屋敷内は禁煙です!それとどうしてナタネ様がオンラインカジノをやってる事に気づいたんですか?」
「フゥー………最初に違和感を感じたのは監視カメラの位置だよ。長年屋敷に勤めるメイド長ともあろうお方が屋敷の防犯カメラの位置を把握してないのはおかしいと思ってさ。でもナタネ先輩にカメラがある事を指摘された時リサラはカメラの位置に違和感を抱いていた。カメラの映る位置をよく見てみると恐らく裏庭からこのご主人様の部屋までの経路をカメラに捉えられない死角を作れるようにカメラの位置をご主人様の不在とともにオンラインカジノをやってるメイド達が日を追うごとに少しずつズラしていったんだろうね。」
「す…すご…」
「………は…?」
「アユメ様やっぱり頭よ!シュガー様の言ってる意味がようやく分かったわ!あの隠語だけでここまで解決できちゃうとかマジ尊敬!ってかリサラ様の言ってる事も分かっちゃったわ!」
「………はぁ?な~に言ってんだおめぇ?」
アユメは目を丸くする。
「いやー、さっき『あなたはあのポンコツメイドの何を知っていると言うのですか?』って怒られちゃいましてー!あ!これからは姉貴って呼ばせてもらってもいいすか!?」
「………」
「あ!それともポンコツメイドの姉貴だからポンコツネキのほうがいいすか!?」
「なぁに1人で盛り上がってやがんだおめぇは私の事散々バカにした事忘れたんじゃねぇだろうなてのひら返しやがってぶち殺すぞゴルァあああああ…」
「バコーーーーーンッッッ!!!」
アユメが喋ってる最中にリサラに顔を殴られてふっ飛ばされた。
「『様』をつけろよ『様』をーーーーッッッ!!!』
アユメはアスカに自分の推理を説明する際にリサラの事を『リサラ』と言ったことを思い出す。
「……りざらざま……反応遅くねぇっずが………?」
「バタンッ…」
「ポンコツネキーーーーーッッッ!!!」
そして次の日…
「ポンコツネキーっ!朝一番に起きないとだめっすよー!」
「………あー…?起こしに来るなよー…。」
「違いますよ!アスカ達部屋を共有するようになったんすよ!」
「………あれぇ…?そうだっけぇ…?」
「ネキがリサラ様に殴られて意識朦朧としてたからあまり覚えてないのかもしれないですけどあの後アスカがネキの仕事の見張るように言われてネキはそのまま気を失ったのでリサラ様にこの部屋へとズルズル引き摺られて行って…」
「仕事………アッ………シュガー君は!?」
「それが………」
アユメはスマホを取り出して『チョコレートトーク』を取り出す。
「ない…!シュガー君との!ご主人様とのトーク履歴がない!!」
「あれからアスカもシュガー様と連絡が取れなくなったんすよ…。シュガー様のホストクラブの公式ホームページを見てもシュガー様の名前がもうないんす…。」
「待て!そもそもお前なんでここに来たんだ!?あの偽物と入れ替わりで来たお前は一体何者なんだ!?」
「アスカはシュガー様のホストに通っていたただのホス狂っす。ここにシュガー様を指名するホス狂、すなわちライバルが沢山いると聞いてアスカはこのメイド屋敷で誰よりも仕事が出来ると証明したかったんす。シュガー様は仕事熱心な人が好きって言ってたすから。」
「じゃあ…なんでお前あの隠語…『ドーナツ』知ってたんだよ…。オンラインカジノの事も気づいていたんだろ!?」
「シュガー様の口癖だったんすよ。シュガー様は多くのホストと違って女性の財布に優しい人で『掛け』に対して『ドーナツ』とよく言ってたんです。アイコンがドーナツなのもその隠語にかけてお客様が連絡を取る度にそれを思い出せるようにとおっしゃってましたよ。」
「あ~…あーあ…そう言えばなんかそんな事言ってたような気がしなくもないなぁ…。私はいつもべろんべろんに酔っ払って記憶飛んじゃうから覚えてなかったのかぁ~…あーあ…。」
「カチッ………」
「ネキ!禁煙です!」
「フゥー………うるっせぇ!おめーさっさと仕事してこい後輩だろうが先輩の言う事聞けやボケが一生ついてくるとか言ってただろうが!!」
「は…はい!わかりました!」
「バタンッ!」
そう言ってアスカは部屋を後にした。
「フゥー………シュガー君と連絡取れなくなったししかも連絡取れないと昨日カジノに賭けた金は戻ってこねぇから儲けた金は手に入んねぇじゃねぇかくそがああアアアアアアアアアアアア!!!」
一方その頃リサラは…
「うわあああああああああああああ!!ご主人様の部屋に入った時に防犯カメラの履歴消しとくの忘れてたたああああああああああ!!!」
ドーナツ ~完~
次回 第九話 馬
「はあああああああああああああああああ?」
アユメは椅子に座りパソコンをいじり始める。
「ちょっとポンコツメイド!あのシュガー君にあなたも会ったことあるんでしょ!?どう見ても顔が全然違ったじゃない!!…ってあなたは知らないかもしれないけどあの偽物と全然顔が違うのよ!!あの銅像のような顔をしているのよ!!」
リサラが口元にアユメに押し付けられた煙草の灰がついた銅像を指しながらそう言った。
「その銅像さぁ、どう見ても不細工だしとてもホストクラブにいたシュガー君とは似ても似つかない顔つきをしてるよね。でも本当のご主人様の素顔はホストにいたシュガー君のように高身長のイケメンで頭も良くてお店の売上もナンバー1を取っちゃうような人で女心もよく分かってくれる人なんだ。仕事も凄くよく出来る。君たちの見てきたご主人様はわざと不細工になるような化粧、というか変装に近い事をしていたんだよ。そこの銅像や偽物のご主人様のようにアンドーナツの表面にそのアンドーナツから吹き出したあんこを3つ付けたような顔をして宮之内エイトを名乗り宮之内財閥の代表取締役をしていたんだ。」
「な…なんで今までそんな事をしていたんですか?」
「試していたんじゃないかなぁ…メイド達を。容姿に優れているとか生まれつき金持ちであるとかそういう男の人に寄ってくる女性は数多いけど敢えて容姿を崩すというハンデを背負う事でここで働くメイド達の人間性、誠実性を知りたかったんだと思うよ。ご主人様もルッキズムを全否定してる訳じゃないと思うんだけどやっぱり顔が良いだけで寄ってくる女って私もちょっと訳ありかなとか思っちゃうし気持ちがわからなくもないんだよなぁ…。」
「カチッ…カチカチッ」
「なにをしてるんですか?」
「ご主人様にお仕事を任されたんだよ。このオンラインカジノを閉鎖するようにってね。」
「オンラインカジノ?一体誰が何の目的でそんな事をしていたんですか?」
「ご主人様が娯楽でやっていただけだと思うよ。でもたまにこれを利用してハマっちゃう人がいるから閉鎖してほしいんだってさ。それとね…(罠を仕掛けておかなければならない)。」
「カチカチッ…カチッ」
「よし、これで完了。よし、リサラ氏!この部屋にはもう用はない事だし私達は仕事に戻りましょーうっ!」
「『リサラ様』でしょーが!全く!まだまだ聞きたいことが沢山ありますけどとりあえずあなたの口から『仕事』なんて言葉はこの世が終わっても出ないと思っていたので自分のやる事に励みなさい!」
「はいは~い!それじゃあごきげんよ~う!」
「バタンッ」
アユメとリサラはエイトの部屋を後にしてアユメはある者のもとへ行く。
そこは屋敷の裏庭だった。
そしてアユメはその者の耳元でこう囁く。
「アンドーナツ。」
と。
「…!」
それを聞いた相手は急ぎ足で裏庭を後にしていくのであった。
……………
「ここが…。あのパソコン…。」
「バタンッ」
女がある部屋に入り部屋の扉が閉まる。
女が恐る恐るパソコンに忍び寄りパソコンに電源をつける。
「ガチャッ!」
扉の鍵が閉まる音がした。
「え…!なに!?」
女は扉の方へ駆け寄る。
「ガチャガチャ!」
「内側からなのに開かない!?なんで!?この部屋の扉は内側からなら開けられるはずなのに!」
「ピロンッ!」
女のスマホの着信音が鳴る。
「シュ…シュガー様…?」
恐る恐るメッセージを確認する。
『どうしたんだい?そんなに慌てて。さぁ、君が求めていたものがここにあるんだろう?』
「な…!」
女は急いでメッセージの相手に返信する。
『どういう事ですかシュガー様!私を騙したんですか!?』
『騙してなんかいないよ。君は大儲けをして俺に会うためにオンラインカジノがやりたかったのだろう?』
「っ!!誰か!!誰か開けてください!!助けてください!!閉じ込められてしまいました!!」
「バンバンッ!!」
「うわぁ~これは大変だぁ~!誰かがご主人様の部屋に入って出られなくなっているぞぉ~。」
「その声は!」
「おかしいですね。この部屋はご主人様のお部屋で今はご主人様が不在のため誰も入れないはずなんですから。」
「リ…リサラ様…!?」
「お2人とも!そんな猿芝居してないで早くケリをつけてお仕事に戻りますよ!」
「あ…」
「ギギィィィ………」
「ごっきげんよぉ~ナタネ先ッ輩ッッッぶわははははははッッッ!!!いい顔いい顔!!!こりゃ傑作だわ!!!」
「パシャ!パシャ!」
アユメがスマホのカメラのシャッターをきる。
「あなた…私を騙したのね!」
「私はあなたの耳元で『アンドーナツ』と囁いただけですけどぶわはははははは!!!あーでもこの部屋に一度だけ入れるようにしてパソコンの起動とともに自動で扉の鍵を内側からロックがかかるようにしちゃったんだけどねはっはーーーッッッ!!!」
「あなた…一体何者なの…!」
「ただの美少女メイドだよ。最初はアスカに『ドーナツ』と耳元で囁かれて思い当たることと言えば『チョコレートトーク』のシュガー君のアイコン以外何もなかった。でも私がオンラインカジノで負けそうになった時にシュガー君から『ドーナツ』とメッセージが送られてきてその言葉の本当の意味を理解する事になったんだ。」
「何勝手に仕事中にカジノやってんだおめぇは。」
「ベシッッッ!!!」
「いってぇ~…。」
アユメがリサラに頭をひっぱたかれてアユメは頭をおさえる。
「それでその『ドーナツ』の本当の意味って何ですか?ポンコツメイド。」
「この屋敷でオンラインカジノをにハマってしまったメイド達の間で普及した隠語だったんだよ。『ドーナツ』は食べ物の『donut』のことではなくて『do not』つまり『やめておけ』と言いたかったんだ。」
「それじゃあポンコツメイドがナタネに言った『アンドーナツ』は…!」
「さっすがメイド長様ご察しがいい!否定の『un』を添える事で『やってしまえ』という隠語が完成する訳だから私がナタネ先輩にそう囁いたってわけ!」
「そうよ…!普段のあなたの仕事態度からしてあなたもすぐにこっち側の人間につくと私は気づいていてあなたからその言葉を聞いた私はここに来た!!なのにあなたは私をっ!!!」
「パシッ!」
ナタネがアユメに平手打ちしようとした手をリサラが抑える。
「っ!」
「あなた、このポンコツメイドのことを責めるより先に何か私に言う事があるのではないですか?」
「リ…リサラ様…」
「お前もシュガー君に手ぇ出してんじゃねーかこのクソアマがーーーーッッッ!!!」
「バコーーーンッッッ!!!」
ナタネが掴まれた手をそのままリサラに持ち上げられて壁に投げられた。
「私にあの時嘘ついたよな!?あ!?『その方は存じ上げません』とかなんとか言ってたよな!?おい!!聞いてんのかこらッ!!!」
「あーあ…こりゃもう誰にも止められねぇや…。」
「カチッ………」
「アユメ様!お屋敷内は禁煙です!それとどうしてナタネ様がオンラインカジノをやってる事に気づいたんですか?」
「フゥー………最初に違和感を感じたのは監視カメラの位置だよ。長年屋敷に勤めるメイド長ともあろうお方が屋敷の防犯カメラの位置を把握してないのはおかしいと思ってさ。でもナタネ先輩にカメラがある事を指摘された時リサラはカメラの位置に違和感を抱いていた。カメラの映る位置をよく見てみると恐らく裏庭からこのご主人様の部屋までの経路をカメラに捉えられない死角を作れるようにカメラの位置をご主人様の不在とともにオンラインカジノをやってるメイド達が日を追うごとに少しずつズラしていったんだろうね。」
「す…すご…」
「………は…?」
「アユメ様やっぱり頭よ!シュガー様の言ってる意味がようやく分かったわ!あの隠語だけでここまで解決できちゃうとかマジ尊敬!ってかリサラ様の言ってる事も分かっちゃったわ!」
「………はぁ?な~に言ってんだおめぇ?」
アユメは目を丸くする。
「いやー、さっき『あなたはあのポンコツメイドの何を知っていると言うのですか?』って怒られちゃいましてー!あ!これからは姉貴って呼ばせてもらってもいいすか!?」
「………」
「あ!それともポンコツメイドの姉貴だからポンコツネキのほうがいいすか!?」
「なぁに1人で盛り上がってやがんだおめぇは私の事散々バカにした事忘れたんじゃねぇだろうなてのひら返しやがってぶち殺すぞゴルァあああああ…」
「バコーーーーーンッッッ!!!」
アユメが喋ってる最中にリサラに顔を殴られてふっ飛ばされた。
「『様』をつけろよ『様』をーーーーッッッ!!!』
アユメはアスカに自分の推理を説明する際にリサラの事を『リサラ』と言ったことを思い出す。
「……りざらざま……反応遅くねぇっずが………?」
「バタンッ…」
「ポンコツネキーーーーーッッッ!!!」
そして次の日…
「ポンコツネキーっ!朝一番に起きないとだめっすよー!」
「………あー…?起こしに来るなよー…。」
「違いますよ!アスカ達部屋を共有するようになったんすよ!」
「………あれぇ…?そうだっけぇ…?」
「ネキがリサラ様に殴られて意識朦朧としてたからあまり覚えてないのかもしれないですけどあの後アスカがネキの仕事の見張るように言われてネキはそのまま気を失ったのでリサラ様にこの部屋へとズルズル引き摺られて行って…」
「仕事………アッ………シュガー君は!?」
「それが………」
アユメはスマホを取り出して『チョコレートトーク』を取り出す。
「ない…!シュガー君との!ご主人様とのトーク履歴がない!!」
「あれからアスカもシュガー様と連絡が取れなくなったんすよ…。シュガー様のホストクラブの公式ホームページを見てもシュガー様の名前がもうないんす…。」
「待て!そもそもお前なんでここに来たんだ!?あの偽物と入れ替わりで来たお前は一体何者なんだ!?」
「アスカはシュガー様のホストに通っていたただのホス狂っす。ここにシュガー様を指名するホス狂、すなわちライバルが沢山いると聞いてアスカはこのメイド屋敷で誰よりも仕事が出来ると証明したかったんす。シュガー様は仕事熱心な人が好きって言ってたすから。」
「じゃあ…なんでお前あの隠語…『ドーナツ』知ってたんだよ…。オンラインカジノの事も気づいていたんだろ!?」
「シュガー様の口癖だったんすよ。シュガー様は多くのホストと違って女性の財布に優しい人で『掛け』に対して『ドーナツ』とよく言ってたんです。アイコンがドーナツなのもその隠語にかけてお客様が連絡を取る度にそれを思い出せるようにとおっしゃってましたよ。」
「あ~…あーあ…そう言えばなんかそんな事言ってたような気がしなくもないなぁ…。私はいつもべろんべろんに酔っ払って記憶飛んじゃうから覚えてなかったのかぁ~…あーあ…。」
「カチッ………」
「ネキ!禁煙です!」
「フゥー………うるっせぇ!おめーさっさと仕事してこい後輩だろうが先輩の言う事聞けやボケが一生ついてくるとか言ってただろうが!!」
「は…はい!わかりました!」
「バタンッ!」
そう言ってアスカは部屋を後にした。
「フゥー………シュガー君と連絡取れなくなったししかも連絡取れないと昨日カジノに賭けた金は戻ってこねぇから儲けた金は手に入んねぇじゃねぇかくそがああアアアアアアアアアアアア!!!」
一方その頃リサラは…
「うわあああああああああああああ!!ご主人様の部屋に入った時に防犯カメラの履歴消しとくの忘れてたたああああああああああ!!!」
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