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2章 村での生活

95話 サラさんは理解が出来ない……

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 だが──


「サラさん、ごめんなさい。俺のやったことは無神経だと思われたかも知れませんが、どうか釈明をさせてもらえませんか」
「言い訳なんか聞きたくもありません!」

「……おかあ、さん?」
「セージ!」


 どうやらセージ君は、サラさんの叫び声に反応して目を覚ましたみたいだな。

 そして目を覚ましたセージ君の視界には、先程の森熊が。

 しまった…… せめて見えないようにしておくべきだったか──


「……きみ、こんどは、おかしくなってないね…… よかった……!」

「ぐぅぉぅ!」


 そう言って森熊に笑いかけるセージ君。

 心なしか、森熊も嬉しそうにしているな。

 と言うか今の発言……まさか、セージ君は森熊が正気じゃないのを見抜いていたのか……?

 もしかしたら、セージ君には動物の気持ちがわかるなにかがあるのかも知れないな。


「何を言っているの……? セージも、リョウさん達も……おかしいよ……!」


 サラさんは理解するのを拒否してしまっているのか、頭を抱えこんでしまった……

 どう、説明したものかな……


「? おかあさん、どうしたの?」

「みんな、なんで魔物が平気なの……? セージもタンジーも、魔物のせいで何度も危ない目にあってるのよ!?」


 そう言えば……俺が薬を飲ませるまでのセージ君は、狼系の魔物に攻撃されて狂犬病のような症状だったな……

 薬を作るのが間に合ったから良かったが、そうでなければセージ君は亡くなっていた可能性が非常に高かった。


 そしてタンジーも森の中で森狼に引っ掻かれて危なかったんだよな……

 たまたま悲鳴を聞いた俺が森狼達を倒せたから助かったが、こちらも間に合わなければ亡くなっていただろう……


 そう考えれば、サラさんがああなるのも無理はない。


「グオオォォ!!」
「ヒッ!?」


 少し離れたところから他の森熊の唸り声が聞こえてきて、サラさんは怯えきった悲鳴を上げた。

 どうやら、ここにいる森熊が村に入ってきた場所から、新たに一匹入ってこようとしているらしいな……


「ぐぉっ!」

「きみが、むらをまもってくれるの?」

「ぐぉう!」


 お? どうやらセージ君に打ちのめされた森熊は、セージ君に懐いたみたいだな!

 敵としては厄介な相手だが、味方になってくれるなら心強い!

 ……それに、サラさんの様子からして、今森熊がここにいるのはまずそうだし……な。 


「みんな、俺はこの森熊と一緒に村の防衛に向かう。一緒には行けないけど、宿に避難してほしい」

「お兄さん! わたしも──」
「タンジー、君には二人を宿まで送り届けてほしい」

「で、でも……」
「頼む。今のサラさんとセージ君を宿まで連れて行けるのはタンジーしかいないんだ……!」

《お願いします、タンジーさん……!》


 実際、今の二人だけだとちゃんと辿り着けるか怪しいからな……
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