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2章 村での生活

75話 タンジーによる干し肉の錬成!

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 タンジーの頭に浮かんだ干し肉のレシピは、旅先でも素材を集めることが容易いものだった。

 しかし、塩分を含まない干し肉……

 美味しいのだろうか?

 それを確かめるためにも、タンジーに一度作ってもらいたいところだな。


《塩を使わない干し肉……保存はどれくらい出来るのでしょうか……?》


 ブレンも干し肉に興味があるみたいだな。


「タンジー、もし良かったら一度作ってもらえないか? 材料は多分あると思うからさ」

「うん、いいよ! わたしもたべてみたいし!!」


 確か使う素材は肉とハーブと言っていたよな……

 種類は分からないし、とりあえず使えそうなものを何種類か出してみるかな。


森狼の肉
森熊の肉
森猪の肉
屑肉
コモンセージ草
ヨモギ草


 ──使えそうなのはこの辺かな。

 正直、屑肉はだめだと思うが一応……な。


「使えそうなのはここに置くよ」

「ありがとう! みてみるね!」


 俺がストレージから出したものを作業台の上に置くと、タンジーは早速手をかざして目を閉じた。


「うーんと…………ここにあるのはぜんぶつかえそうだよ!」

「え、屑肉もか? 一応肉だからと出してはみたが、まさか使えるとは……」

「うん、だいじょうぶみたいだよ! じゃあ、つくってみていい!?」

「ああ。やってみてくれ」
《タンジーさんなら出来ます! 頑張って!》

「うん!」
「っと、その前にこれを──」


 コモンセージ草とヨモギ草はもう一つ出しておこう。

 各肉に一つハーブを使うなら、数が足りないからな。


「あ、お兄さんありがと! ……よし、やるね!」


 気合いを入れて真剣な顔になったタンジーは、まず森狼の肉とコモンセージ草を手元に置いて手をかざして目を閉じた。

 果たして──


「んんん……! えいっ!」


 えっ……錬金術でそんなに気合い入れちゃって、大丈夫なのか!?

 そんな俺の心配を他所に、タンジーの手のひらが柔らかな光を発し始め、やがてその光は素材にも伝播していく。

 次の瞬間──


 ポンッ!!

 さっきと似たような音が軽やかに部屋に響き渡る。

 ほんのりと煙が漂い、タンジーの手元を見ることが出来ない。

 まさか、失敗してしまったのか──


「できたー!!」

《おめでとうございます!》
「やったな、タンジー! おめでとう!」


 タンジーの明るい声が、俺の心配が杞憂に終わった事を教えてくれた。

 とりあえずは、連続で失敗してタンジーが落ち込むという事態は避けることができた様だ。

 あとは、どんな干し肉が出来上がったのか……だな。

 ほんのりと肉の香りがする煙が徐々に薄れると、そこには満面の笑みを浮かべながら板状になった肉を持っているタンジーが見えた。
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