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2章 村での生活

72話 タンジーの威圧が……

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 俺の運が悪すぎるのか、ブレンの運が良すぎるのか……

 いや、五個作って全てが最低数値ってことの方がある意味強運なのか……?

 
「わぁ! ブレンちゃんもすごいね!」

《ありがとうございます。さぁ、次はタンジーさんの番ですよ?》

「うん!」


 俺が一人考え込んでいる間にも、ブレンによる指導は続いている。

 ……と言うか……

 ブレン、反対していた割にはかなりノリノリだな?

 しっかりと教えるんだという強い気持ちを感じる。


「えっと、たしか手をひろげて、目を閉じて……」

《流石タンジーさん。ちゃんと見てますね》

「えへへ……でも、ここからがよくわかんない……」

《タンジーさんは威圧が使えますから、悪い人に怒った時みたいに胸から力を出す感じ……これで伝わりますか?》

「うーん、おこったとき……こう、かな?」


 タンジーがそう言った瞬間、恐ろしいほどの鳥肌が立った。

 タンジーは威圧を全開で放ってしまったらしい。

 ブレンがふらふらと後ずさって、台から落ちそうになるのを慌ててキャッチする。


「タンジー、ストップ! 威圧が全方位に出てるぞ!」

「え"?」


 声を掛けた瞬間に威圧は解けたが、真正面で威圧を受けたブレンは──


《う……ぅ……? なに、が……?》


 かなり辛そうだな。

 今の様子を見るに、タンジーは威圧を無意識で使っていたのだと思われる。

 となると、教えるのは少し大変かも知れないな。


「ブレンちゃん、ごめんね……」

《い、いえ……タンジー、さんは悪くない、です……》


 必死で思念を送っているのか、全身ガタガタと震えてるな……

 俺はブレンが落ち着くようにと願いながら、そうっと撫でると──


 少し力が抜けた感覚と共に、唐突にピカッと光る俺の手の平とブレン。


《あれ? 私、震えが止まって……?》

「お兄さんすごーい! 今のはなに!?」


 タンジーが詰め寄ってきて聞いてくるが、俺にも良くわからない……


「いや、俺はなにかをしたつもりはないんだよな……ただ、ブレンに落ち着いてもらいたいと祈ったくらいで」


 これはあれか……例のスキルか?

 しかし、なぜ今……?


 今まで主に発動したのは生産の時だった。

 しかも、失敗できないものを作らなければならない時だ。

 後は村で暴れていたプレイヤーとの戦いの時、圧倒的に不利な状況下でタンジーを助けた時も似たような感覚があった。

 つまり、ぎりぎりで後がない状況だったから発動した……と思っていたが、今の状況を見るにそれも違う様な気がするな。
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