119 / 143
2章 村での生活
72話 タンジーの威圧が……
しおりを挟む
俺の運が悪すぎるのか、ブレンの運が良すぎるのか……
いや、五個作って全てが最低数値ってことの方がある意味強運なのか……?
「わぁ! ブレンちゃんもすごいね!」
《ありがとうございます。さぁ、次はタンジーさんの番ですよ?》
「うん!」
俺が一人考え込んでいる間にも、ブレンによる指導は続いている。
……と言うか……
ブレン、反対していた割にはかなりノリノリだな?
しっかりと教えるんだという強い気持ちを感じる。
「えっと、たしか手をひろげて、目を閉じて……」
《流石タンジーさん。ちゃんと見てますね》
「えへへ……でも、ここからがよくわかんない……」
《タンジーさんは威圧が使えますから、悪い人に怒った時みたいに胸から力を出す感じ……これで伝わりますか?》
「うーん、おこったとき……こう、かな?」
タンジーがそう言った瞬間、恐ろしいほどの鳥肌が立った。
タンジーは威圧を全開で放ってしまったらしい。
ブレンがふらふらと後ずさって、台から落ちそうになるのを慌ててキャッチする。
「タンジー、ストップ! 威圧が全方位に出てるぞ!」
「え"?」
声を掛けた瞬間に威圧は解けたが、真正面で威圧を受けたブレンは──
《う……ぅ……? なに、が……?》
かなり辛そうだな。
今の様子を見るに、タンジーは威圧を無意識で使っていたのだと思われる。
となると、教えるのは少し大変かも知れないな。
「ブレンちゃん、ごめんね……」
《い、いえ……タンジー、さんは悪くない、です……》
必死で思念を送っているのか、全身ガタガタと震えてるな……
俺はブレンが落ち着くようにと願いながら、そうっと撫でると──
少し力が抜けた感覚と共に、唐突にピカッと光る俺の手の平とブレン。
《あれ? 私、震えが止まって……?》
「お兄さんすごーい! 今のはなに!?」
タンジーが詰め寄ってきて聞いてくるが、俺にも良くわからない……
「いや、俺はなにかをしたつもりはないんだよな……ただ、ブレンに落ち着いてもらいたいと祈ったくらいで」
これはあれか……例のスキルか?
しかし、なぜ今……?
今まで主に発動したのは生産の時だった。
しかも、失敗できないものを作らなければならない時だ。
後は村で暴れていたプレイヤーとの戦いの時、圧倒的に不利な状況下でタンジーを助けた時も似たような感覚があった。
つまり、ぎりぎりで後がない状況だったから発動した……と思っていたが、今の状況を見るにそれも違う様な気がするな。
いや、五個作って全てが最低数値ってことの方がある意味強運なのか……?
「わぁ! ブレンちゃんもすごいね!」
《ありがとうございます。さぁ、次はタンジーさんの番ですよ?》
「うん!」
俺が一人考え込んでいる間にも、ブレンによる指導は続いている。
……と言うか……
ブレン、反対していた割にはかなりノリノリだな?
しっかりと教えるんだという強い気持ちを感じる。
「えっと、たしか手をひろげて、目を閉じて……」
《流石タンジーさん。ちゃんと見てますね》
「えへへ……でも、ここからがよくわかんない……」
《タンジーさんは威圧が使えますから、悪い人に怒った時みたいに胸から力を出す感じ……これで伝わりますか?》
「うーん、おこったとき……こう、かな?」
タンジーがそう言った瞬間、恐ろしいほどの鳥肌が立った。
タンジーは威圧を全開で放ってしまったらしい。
ブレンがふらふらと後ずさって、台から落ちそうになるのを慌ててキャッチする。
「タンジー、ストップ! 威圧が全方位に出てるぞ!」
「え"?」
声を掛けた瞬間に威圧は解けたが、真正面で威圧を受けたブレンは──
《う……ぅ……? なに、が……?》
かなり辛そうだな。
今の様子を見るに、タンジーは威圧を無意識で使っていたのだと思われる。
となると、教えるのは少し大変かも知れないな。
「ブレンちゃん、ごめんね……」
《い、いえ……タンジー、さんは悪くない、です……》
必死で思念を送っているのか、全身ガタガタと震えてるな……
俺はブレンが落ち着くようにと願いながら、そうっと撫でると──
少し力が抜けた感覚と共に、唐突にピカッと光る俺の手の平とブレン。
《あれ? 私、震えが止まって……?》
「お兄さんすごーい! 今のはなに!?」
タンジーが詰め寄ってきて聞いてくるが、俺にも良くわからない……
「いや、俺はなにかをしたつもりはないんだよな……ただ、ブレンに落ち着いてもらいたいと祈ったくらいで」
これはあれか……例のスキルか?
しかし、なぜ今……?
今まで主に発動したのは生産の時だった。
しかも、失敗できないものを作らなければならない時だ。
後は村で暴れていたプレイヤーとの戦いの時、圧倒的に不利な状況下でタンジーを助けた時も似たような感覚があった。
つまり、ぎりぎりで後がない状況だったから発動した……と思っていたが、今の状況を見るにそれも違う様な気がするな。
0
お気に入りに追加
279
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
レイブン領の面倒姫
庭にハニワ
ファンタジー
兄の学院卒業にかこつけて、初めて王都に行きました。
初対面の人に、いきなり婚約破棄されました。
私はまだ婚約などしていないのですが、ね。
あなた方、いったい何なんですか?
初投稿です。
ヨロシクお願い致します~。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~
鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」
未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。
国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。
追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?
ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです
もぐすけ
ファンタジー
勇者に嵌められ、社会的に抹殺されてしまった元大魔法使いのライルは、普通には暮らしていけなくなり、ダンジョンのセーフティゾーンでホームレス生活を続けていた。
ある日、冒険者に襲われた少女ルシアがセーフティゾーンに逃げ込んできた。ライルは少女に頼まれ、冒険者を撃退したのだが、少女もダンジョン外で貧困生活を送っていたため、そのままセーフティゾーンで暮らすと言い出した。
ライルとルシアの奇妙な共同生活が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる