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2章 村での生活
69話 タンジーのお願い
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タンジーの肩の上で首を振り続けるブレンを、頭からそうっと撫でる。
ブレンは明らかに混乱してるようだし、まずは落ち着かせないとな。
……あまりにも強く首を振るから、首が取れちゃいそうで怖いというのも大いにあるが……
《ブレン、落ち着いて》
《いえ、あの、私は十二分に落ち着いてます!?》
《大丈夫だよ。俺は怒ってないから》
十二分に落ち着いてるって、始めて聞いた組み合わせの言葉だな……
まあ混乱してるんだから、仕方ない……かな?
俺はとにかくブレンを落ち着かせようと、そうっと撫で下ろし続けた。
タンジーは、何故か大人しくしてこちらをじーっと見ている。
まるで状況が全て分かっているかのように、微笑ましそうな顔で見てるのが妙に気になるが……
《申し訳ありません、取り乱しました……》
三分ほどなだめながらブレンを撫でていたが、ようやく落ち着いたらしいな。
ブレンがペコペコと頭を下げるのは可愛いのだが、あまり激しいとまた取れちゃいそうで怖くなるから止めて欲しい……
《少し落ち着いたようでなによりだよ》
「……お兄さんだけブレンちゃんをたくさんなでれていいなぁ……」
タンジーよ……さっきまでの慈愛を込めたような視線は、単に撫でたいのを我慢していただけだったのか……?
微妙にむくれた顔をするタンジーを見て、ブレンは頭を下げるのを止めるとその肩に飛び移った。
そしてタンジーの頬に自らの頭を擦り寄せて撫でて欲しいアピールをすると、タンジーは満面の笑みを浮かべながらブレンを撫で始めた。
「ブレンちゃんは、きれいずきなんだね!」
《え、えぇ……》
「じゃあ、お兄さんがおへやをちらかしてもあんしんだね!」
《そう、ですね……私が片付ければいいんですよね!》
「いや……これは散らかしてる訳では──」
そこまで言って、俺の目線は作業台の上のごちゃごちゃと置かれた素材達に向いた。
……うん、効率よく作るにはこうして出しておくのがベストなのは間違いないが……
やはり、散らかっているというのは間違っていない……だろうな。
なんにしても、今から片付けするのは時間的に遠慮したいし……
早く残りの分も作り終えてしまおう。
「すぐ作って片付けるから、もう少し我慢してくれな……」
そう言いながら俺は森狼の牙をセットしてあった欄に、森狼の爪をセットした。
そのまま実行しようとすると、いつの間にか真横に来ていたタンジーに腕を掴まれた。
「お兄さん、わたしもちょっとやってみたいなぁ……だめ?」
「え、やってみたいって……錬金術を?」
「うん!」
タンジーは年齢によらず凄い能力があるし、もしかしたら作れるかも知れないが……
ブレンは明らかに混乱してるようだし、まずは落ち着かせないとな。
……あまりにも強く首を振るから、首が取れちゃいそうで怖いというのも大いにあるが……
《ブレン、落ち着いて》
《いえ、あの、私は十二分に落ち着いてます!?》
《大丈夫だよ。俺は怒ってないから》
十二分に落ち着いてるって、始めて聞いた組み合わせの言葉だな……
まあ混乱してるんだから、仕方ない……かな?
俺はとにかくブレンを落ち着かせようと、そうっと撫で下ろし続けた。
タンジーは、何故か大人しくしてこちらをじーっと見ている。
まるで状況が全て分かっているかのように、微笑ましそうな顔で見てるのが妙に気になるが……
《申し訳ありません、取り乱しました……》
三分ほどなだめながらブレンを撫でていたが、ようやく落ち着いたらしいな。
ブレンがペコペコと頭を下げるのは可愛いのだが、あまり激しいとまた取れちゃいそうで怖くなるから止めて欲しい……
《少し落ち着いたようでなによりだよ》
「……お兄さんだけブレンちゃんをたくさんなでれていいなぁ……」
タンジーよ……さっきまでの慈愛を込めたような視線は、単に撫でたいのを我慢していただけだったのか……?
微妙にむくれた顔をするタンジーを見て、ブレンは頭を下げるのを止めるとその肩に飛び移った。
そしてタンジーの頬に自らの頭を擦り寄せて撫でて欲しいアピールをすると、タンジーは満面の笑みを浮かべながらブレンを撫で始めた。
「ブレンちゃんは、きれいずきなんだね!」
《え、えぇ……》
「じゃあ、お兄さんがおへやをちらかしてもあんしんだね!」
《そう、ですね……私が片付ければいいんですよね!》
「いや……これは散らかしてる訳では──」
そこまで言って、俺の目線は作業台の上のごちゃごちゃと置かれた素材達に向いた。
……うん、効率よく作るにはこうして出しておくのがベストなのは間違いないが……
やはり、散らかっているというのは間違っていない……だろうな。
なんにしても、今から片付けするのは時間的に遠慮したいし……
早く残りの分も作り終えてしまおう。
「すぐ作って片付けるから、もう少し我慢してくれな……」
そう言いながら俺は森狼の牙をセットしてあった欄に、森狼の爪をセットした。
そのまま実行しようとすると、いつの間にか真横に来ていたタンジーに腕を掴まれた。
「お兄さん、わたしもちょっとやってみたいなぁ……だめ?」
「え、やってみたいって……錬金術を?」
「うん!」
タンジーは年齢によらず凄い能力があるし、もしかしたら作れるかも知れないが……
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