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2章 村での生活

52話 懲りない薬屋のおばあさん

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 俺が無言でおばあさんの目を強く見返すと、おばあさんはため息をついた。


「流石に二度も見せちゃくれないかね──」
「お ば あ さ ん ?」
「ひぃっ!?」


 この人も懲りないなぁ……


「ごめんよタンジーちゃん! つい癖で──」
「次にやったら、しばらくおばあさんとはお話ししないよ!」

「そ、そんな……」


 タンジーに突き放され、お婆さんはガックリと項垂れた。

 ……しかし癖で鑑定か。ある意味職業病みたいなものなのかな?


「タンジー、俺は別にいいよ。おばあさん、鑑定するなら先に言ってくださいよ。いきなりだと、つい抵抗しちゃいますので」


「……悪かったよ。錬金術のスキルがあるかどうか確認したくてついね……」


「いや、先に聞いてくださいよ……」


 この人は、人の言うことが信用できないタイプなんだろうか……?


「ちゃんと調合も錬金術もスキルはあります。なんならお見せましょうか?」


 ステータス画面には、自分が見てる画面を他人に見せるための機能もあるし。


「遠慮しとくよ。色々迷惑かけたからね……」


「そうですか。それで、作業台は貸してもらえそうでしょうか?」


「条件はあるが、あんたになら貸してもいい」
 

「条件、ですか?」


「ああ。まず一つは作業する時アタシにも見させてもらう。練度が足りないようなら、とても安心して貸せないからね」


「それはもちろんです」


 普段から貸し出しをしているところならともかく、自身の作業場を貸し出すんだからある意味当然だと思うし。


「もう一つは、使う時間に応じて代金を払ってもらう」


 それもそうだと思いつつ、よく考えたら手持ちが初期のままであることに思い至った……

 どうしよう……


「なんだい、懐が寂しいのかい?」

「あー……はい。森の魔物の素材ならたくさんあるのですが、換金してなくてですね……」

「ふむ……状態を見ないとなんとも言えないが、うちで買い取ってもいい」
「本当ですか!? それはありがたいです!」


 あまりにもピンポイントな申し出に、思わず勢い込んでお礼を言うと、呆れた顔をされてしまった。


「ちょっとお待ち。買い取るのは素材の状態によると言ってるだろう?」

「勿論です。それでも、とても有難いお話ですから」

「……あんた、騙されやすそうだからうまい話には気を付けた方がいいね」

「……はい」


 ごもっともな言葉に少し落ち込むと、タンジーに頭を撫でられてしまった。


「大丈夫だよ! わたしがいるときは、お兄さんにちかよってくるわるい人は、ぜーんぶおいはらってあげるから!」

「……まあ、タンジーちゃんがいれば確かに問題ない……のかねぇ?」


 なんだか、段々情けない気分になってきたぞ……

 俺が騙されやすいのは確かなんだけど、こんな小さい子に守られるとか……情けなすぎるだろ!
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