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2章 村での生活

41話 タンジーは笑顔、だが……

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 ドアをノックしようとしたら、なぜか察知されていてタンジーに迎えられてしまった。

 ……タンジーって、野性の感があるのか……?

 それとも察知系のスキルでも持ってるのか?


「た、ただいま……?」

「あれ? なんでそんなかおしてるの?」

「ああ、いや……ドアをノックする前に出迎えられたからちょっと驚いてさ」


 ……と言うかここは俺の家じゃないから、ただいまと言うのが慣れないというのもある。

 だが、お帰りと言われたら……やっぱりただいまで返すべきだと思ってしまうんだよな。


「えへへ。なんかね、お兄さんが来てくれるような気がしてまってたんだよ!」

「そ、そうなんだ?」


 うーん……これは、待っていたことに関して掘り下げるのは、やめた方が良いような気がしてきたぞ……


「あっ、そう言えばサラさんやセージ君は?」

「お母さんたちなら、お店とにわのかたづけしてるよ!」

「えっ、セージ君も!? ……もうあちこち動いても平気なのか?」


 前回来たときは、たしか食事がまともに摂れてなくて筋肉がしおれ気味だったと思うが。


「うん! まえにお兄さんが来たときにお肉をたくさんくれたでしょ?」

「ああ……そう言えば、そうだったかな?」


 ……正直、肉を置いていったことを忘れてたな。


「あのお肉まだのこってるんだよ! 毎日少しずつセージにあげてるから毎日元気だよ!」

「それは良かったけど、まだ肉あるんだ……?」


 そんなにたくさんあげたっけ……?

 俺の記憶には猪肉のしゃぶしゃぶを、まるで水を飲むかのように噛み千切りつつ飲み込んでいくセージ君のイメージが残ってるから……

 残ってるとはとても思えないんだけどな。


「まだ一かたまりはあると思うよ! わたしが食べすぎないようにちゅういしたからね!」

「なるほど、タンジーが節約してくれてたのか。偉いな!」


 そう言ってタンジーの頭をそっと撫でるが、俺の頭にはセージ君に笑顔で威圧を掛けて黙らせるタンジーが浮かんでいた……

 肉を前にしたセージ君を抑えるのに、単なる説得で収まるとは、とても思えないしな。


「……おにーさん……? 今、何をかんがえてるのかな?」


 タンジーの静かな声に、若干鳥肌が立つ。

 思考をやめてタンジーを見ると、こちらを見ているタンジーはにこにこしてるのだが……

 ……なんだろう、笑顔のはずなのに冷や汗が止まらない……


「も、もちろん考えていたのはタンジーの事だぞ! 肉を前にしたセージ君を抑えられるなんて凄いなーと、思ってな!!」

「ふぅん、そうなんだー……」


 いやいや怖い、本気で怖すぎるぞタンジー!
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