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1章 冒険の始まり
23.5話 暴れたプレイヤーの末路①※
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「ぐ……あのおっさん、何をしやがった……」
男は、瀕死になりながらもまだHPが残っていた。
起き上がった男が周囲を見回すと誰もおらず、倒れているのもリョウだけだった。
リョウを見た男は再び怒りを再燃させて、止めを刺すべく近寄っていく。
「このおっさんだけでも、仕留めないと、腹の虫が治まらねぇ……!」
男は予備の斧をストレージから出すと、倒れているリョウに向かって振り下ろす──
──ガキン!
しかし、何者かが斧を受け止めた。
「そこまでだ! 犯罪を犯した冒険者!!」
「ああ!? なんだてめぇは!? ったく、どいつもこいつも、邪魔ばかりしやがって──」
男が再度斧を振りかざした時、視界がぐるっと回り、地面に叩きつけられていた。
「ぐはっ……何しやがる、この欠陥データが!!」
男を叩きつけたのは、この村の門番の一人だった。
「なるほど、今の冒険者にしてはかなり強いようだな。だが私には遠く及ばない」
男がどんなに力を入れて暴れても、門番はびくともしない。
「こんな、こんなのはおかしい! さてはてめぇら、チートだな!?」
「訳の分からないことを。お前はこれから町に連行して、裁きを受けることになる。自分のやったことをしっかりと悔い改めるのだな」
「ふざけんな! 俺は、金を払ってここにいるんだぞ! 訴えてやるからな!!」
「愚かな……お前は今から私が直々に連れていってやる。町に着くまでに、お前が何をしたのかきっちりと教えてやろう」
「うるせぇ! この欠陥──」
──ドスッ
腹部に一撃を受け、男は白目をむいて倒れこんだ。
「……少し、黙っていて貰おうか。さて、貴殿方冒険者の方々には、情報提供感謝致しますぞ」
門番の男性は騒いでいた男を殴って黙らせ、男の足に何かを付けると、近くにいた冒険者達に頭を下げた。
「いえ、こちらが止めることが出来ず、申し訳ありませんでした……」
「元とは言え、仲間がご迷惑をお掛けしました……」
「あー、こちらこそ……あいつを抑えてくれて、あざます」
そこにいた三人の冒険者は、男──と町でパーティーを組んだプレイヤー達だった。
村や町でのNPCに対する態度や暴言に辟易していた所に、この騒ぎだ。
見限るのも当然だった。
「貴殿方は門から離れられない私の変わりに、非番の門番を呼んできてくださりました。お礼を申し上げるのは当然のこと」
「いや、他に自分に出来ることが見つかりませんでしたので……」
あの男が暴れだした時、パーティーメンバーは自分達の力量では抑えられないと察して門番を呼びに行った。
この世界の門番は、例外なく非常に強いのを知っていたからだ。
その際に、門番がその場所から離れることが出来ないと告げると、一人が非番の門番を呼びに行った。
他の二人は、村人が巻き添えにならないように避難させていた。
門番の男性はその行動を見ていたため、暴れた男の仲間ではあるが、信用できると判断した。
本来、問題を起こした人物と一緒にいた仲間も連帯責任として、様々な取り調べがある。
しかし、今回は問題の解決に手を貸したこともあり、非番だった門番が任意で話を聞くだけに止まった。
三人とも厳しい取り調べを覚悟していたので、逆に感謝されて戸惑っていた。
「あの、本当にさっきの取り調べだけで良かったのですか?」
聞いたのは全身を黒で統一した装備の男性だった。
彼は、あれだけの問題を起こした男と一緒にいた上に、止めることも出来なかったことを悔いていたのだ。
「他の門番の取り調べに協力してくれて、感謝しておりますぞ」
門番の男性──マスタードはそう言うと、笑顔を浮かべた。
「この度の騒動、貴殿方の協力がなければもっと被害者が出ていたことでしょう。貴方が悔いることはありませんぞ?」
「ですがっ……俺は──」
「それ以上、自らを責めてはなりませぬぞ?」
マスタードは黒ずくめの男性の肩に優しく手を置いた。
「仲間が問題を起こし、止めれなかった。これは私でも悔やむことでしょう」
ですが、とマスタードは続ける。
「貴方は自分が出来ることを行い、被害を食い止めた。それは決して間違いなどではありませんぞ?」
「……はい……」
「自らで解決出来ない問題に、他者の力を借りることを恥じることはありませぬ」
「そう……でしょうか……?」
マスタードは深く頷いた。
「勿論、他者の力ばかりをあてにされては困りますが、非常時に最善の方法を模索するのは大事ですぞ?」
「……分かりました。肝に銘じておきます」
黒ずくめの男性はしっかりと頷いた。
彼なら、間違いを起こすことはきっとあるまい。
そう、マスタードは思うのだった。
男は、瀕死になりながらもまだHPが残っていた。
起き上がった男が周囲を見回すと誰もおらず、倒れているのもリョウだけだった。
リョウを見た男は再び怒りを再燃させて、止めを刺すべく近寄っていく。
「このおっさんだけでも、仕留めないと、腹の虫が治まらねぇ……!」
男は予備の斧をストレージから出すと、倒れているリョウに向かって振り下ろす──
──ガキン!
しかし、何者かが斧を受け止めた。
「そこまでだ! 犯罪を犯した冒険者!!」
「ああ!? なんだてめぇは!? ったく、どいつもこいつも、邪魔ばかりしやがって──」
男が再度斧を振りかざした時、視界がぐるっと回り、地面に叩きつけられていた。
「ぐはっ……何しやがる、この欠陥データが!!」
男を叩きつけたのは、この村の門番の一人だった。
「なるほど、今の冒険者にしてはかなり強いようだな。だが私には遠く及ばない」
男がどんなに力を入れて暴れても、門番はびくともしない。
「こんな、こんなのはおかしい! さてはてめぇら、チートだな!?」
「訳の分からないことを。お前はこれから町に連行して、裁きを受けることになる。自分のやったことをしっかりと悔い改めるのだな」
「ふざけんな! 俺は、金を払ってここにいるんだぞ! 訴えてやるからな!!」
「愚かな……お前は今から私が直々に連れていってやる。町に着くまでに、お前が何をしたのかきっちりと教えてやろう」
「うるせぇ! この欠陥──」
──ドスッ
腹部に一撃を受け、男は白目をむいて倒れこんだ。
「……少し、黙っていて貰おうか。さて、貴殿方冒険者の方々には、情報提供感謝致しますぞ」
門番の男性は騒いでいた男を殴って黙らせ、男の足に何かを付けると、近くにいた冒険者達に頭を下げた。
「いえ、こちらが止めることが出来ず、申し訳ありませんでした……」
「元とは言え、仲間がご迷惑をお掛けしました……」
「あー、こちらこそ……あいつを抑えてくれて、あざます」
そこにいた三人の冒険者は、男──と町でパーティーを組んだプレイヤー達だった。
村や町でのNPCに対する態度や暴言に辟易していた所に、この騒ぎだ。
見限るのも当然だった。
「貴殿方は門から離れられない私の変わりに、非番の門番を呼んできてくださりました。お礼を申し上げるのは当然のこと」
「いや、他に自分に出来ることが見つかりませんでしたので……」
あの男が暴れだした時、パーティーメンバーは自分達の力量では抑えられないと察して門番を呼びに行った。
この世界の門番は、例外なく非常に強いのを知っていたからだ。
その際に、門番がその場所から離れることが出来ないと告げると、一人が非番の門番を呼びに行った。
他の二人は、村人が巻き添えにならないように避難させていた。
門番の男性はその行動を見ていたため、暴れた男の仲間ではあるが、信用できると判断した。
本来、問題を起こした人物と一緒にいた仲間も連帯責任として、様々な取り調べがある。
しかし、今回は問題の解決に手を貸したこともあり、非番だった門番が任意で話を聞くだけに止まった。
三人とも厳しい取り調べを覚悟していたので、逆に感謝されて戸惑っていた。
「あの、本当にさっきの取り調べだけで良かったのですか?」
聞いたのは全身を黒で統一した装備の男性だった。
彼は、あれだけの問題を起こした男と一緒にいた上に、止めることも出来なかったことを悔いていたのだ。
「他の門番の取り調べに協力してくれて、感謝しておりますぞ」
門番の男性──マスタードはそう言うと、笑顔を浮かべた。
「この度の騒動、貴殿方の協力がなければもっと被害者が出ていたことでしょう。貴方が悔いることはありませんぞ?」
「ですがっ……俺は──」
「それ以上、自らを責めてはなりませぬぞ?」
マスタードは黒ずくめの男性の肩に優しく手を置いた。
「仲間が問題を起こし、止めれなかった。これは私でも悔やむことでしょう」
ですが、とマスタードは続ける。
「貴方は自分が出来ることを行い、被害を食い止めた。それは決して間違いなどではありませんぞ?」
「……はい……」
「自らで解決出来ない問題に、他者の力を借りることを恥じることはありませぬ」
「そう……でしょうか……?」
マスタードは深く頷いた。
「勿論、他者の力ばかりをあてにされては困りますが、非常時に最善の方法を模索するのは大事ですぞ?」
「……分かりました。肝に銘じておきます」
黒ずくめの男性はしっかりと頷いた。
彼なら、間違いを起こすことはきっとあるまい。
そう、マスタードは思うのだった。
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