棒人間戦争

笹かま

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第2話 ラビリンス軍

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俺は3人の棒人間に連れていかれた。草木は現実世界と同じ緑。風も太陽の光も、どれも現実世界と一緒である。

「あの、俺はこれからどこへ・・・」

そう聞くと、細身の棒人間、シルフェが答えてくれた。

「我々の国だ。君を我が国の王、ラビリンス様が助けてくださったのだ」

次に、テッキが答えた。

「お前にはひとつ借りがある。そこでお前には2つの選択肢を選ばせる」

そして、ラビリンスが答えた。

「ひとつは、我が国から出て、他の国で暮らすこと。そしてもうひとつは『ラビリンス軍』に入り、我が国を守ること」

「私は我が国で暮らすことを勧める。他国には先程のような物騒な連中も多いからな」
 
と、シルフェがクスクスと笑いながら言った。

なるほど・・・、他国で暮らすか、ラビリンス軍に入り、国を守るか・・・。
他国で暮らすにしても、最悪、さっきみたいに襲われたら意味無いな。だとしたら、身の安全が保障されているラビリンス軍に入るか・・・。

「決まったか」

「はい。俺は、ラビリンス軍に入り、国を守ります」





その頃、ラビリンス国の隣の国、『レビュタス王国』では・・・




「逃がしたのか・・・。して、その『光を持つ棒人間』はどこに」

「はい。ラビリンス軍に囚われの身になっております」

「ラビリンス軍か・・・。また面倒な事になったな・・・」

「キルル盗賊団にはすまないが、奴らの国を攻めさせて情報を集めることにしましょう」

「そうだな、まずはそこからだ・・・」





歩くこと30分弱、大きな壁、その中に見える巨大な城。
俺はラビリンス国に来たのだ。
門番が3人の棒人間と会話をする。時々、門番が不思議がりながら俺の方を見ていた。どうやら、入国の手続きをしているらしい。

「よし、入っていいぞ」

俺はラビリンス達について行き、城下町を歩いていった。
それにしても、本当に棒人間だけの世界なんだなぁ・・・。

しばらく歩いたら、大きな看板が貼ってある建物に着いた。看板には『ラビリンス軍本部』と書かれていた。文字は現実世界と変わらないようだ。

「さてと・・・。騒ぎになったらまずいから、とりあえず裏口から入ってもらおう。シルフェ、テッキ、君達はもう大丈夫だ。休憩に入ってかまわん」

シルフェとテッキは離れ、俺とラビリンスで軍長室らしき部屋に入った。

「まぁ、そこに座ってくれたまえ」

俺はそこにあるソファに座った。ふかふかとした、とても居心地のよいソファである。

「さてと・・・単刀直入に聞く」



「お前は本当にこの世界の者か?」
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