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第1章 ーinside faceー

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「孤月」

低い声で呼び掛けられる。
 
声に聞き覚えはあったのだが、急すぎて驚いてしまった。
 
「誰っ!?」

振り向くと、礼装の様な黒い服に、ネクタイをつけた____高校時代の友人、五月雨 紫斬がいた。

「し、しっきー!?」

神楽も予想外のタイミングの再会に驚いている。

紫斬は、美容院の息子なだけあってさらさらとした妖艶な髪を耳にかけながら微笑んだ。

「久しぶり」

「ちょっとおおおおおお!?しっきーの声が聞こえたんですけど!!」

螺旋階段を登り終えたのか、千景がまたもや朽を引きずりながら降りてくる。  

「痛い痛い痛い痛い!!おい刻織いてーっつってんだろ!聞いてんのか!?」

朽が傷からなのか怒りからなのか分からない真っ赤な顔で千景に怒る。

「本当にしっきーだ!!
しっきー久しぶり!会いたかった!」

千景は朽を投げ捨てて紫斬に抱き着いた。
ちなみに言っておくと、付き合ってはない。
紫斬は顔を真っ赤にさせながら、久しぶりと笑った。

「ねー何あの天然リア充。神楽ちゃん爆発させたーい」

神楽はそういいあぐらをかき始めた。

「おい刻織ィ……」
「くちるん、怒るとモテないよ?
もっとしっきーみたいにならないと!ね?」

明らかに怒っている朽を千景は笑いながら遇う。 

「あだ名変えてんじゃねぇよ!……って、おぉ、…闇宮。久しぶり」
「久しぶり、闇宮」

紫斬はそう言ってふにゃりと微笑む。

「やっぱりしっきーが居るのと居ないとでは大違いね!
ナルシ美少女とツンデレビッチ、バカトゲヤンキーに自他ともに認める変態の4人じゃ生活が成り立たないわよぉ」

「ナルシ美少女って……」

「ツンデレビッチぃい……!?」

「バカトゲヤンキー…」

それぞれ落ち込む3人を知ってか知らずか、千景が口笛でも吹きそうなテンションで笑う。

「しっきーがいれば空気清浄機みたいなもんだからね!これからもよろしくくっ!」
「……空気清浄機」

紫斬があからさまに落ち込んでいると、門が弱い勢いで開けられた。

「すいません………あの、ここど」

そこまで言いかけていた人物の声は、千景の猛烈タックルによって阻止された。

「久しぶりね、ざっきー!会いたかったわよ!!」

ハグに近いタックルを宥めつつその人物を妖舞を見つけると顔を輝かせた。

「____妖舞」

「…遅かったじゃない?氷雨」
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