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第六話

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「ここまでくればもう追って来ないかな」

「そうドブね……」

 あれから僕達は必死に走り続け今、ここに居る。

「ここはどこドブよ?」

 ドブブ不安げに首を捻る。

「さぁ。そもそもこの世界の構成も何も把握して無いんだよ、僕達」

「今更ドブ」

 せめて世界地図でも誰かくれないかなぁ……。
いや、世界地図を貰っても文字が読めない可能性大だ。

「もう一回ここら辺に家を作るドブか?」

 ドブブはうんざりして居る様だ。

「いいや、そんな事したらまた貴族似国外追放されるだろ」

 ドブブは「確かにドブ」と頷いた。

「じゃあどうするんだドブよ。家が無かったら死んじゃうドブ~」

「どうするも何も土地を買って家を建てないと法律違反的な感じに成るんじゃ無いか?」

 そもそもこの世界に法律は有るのだろうか。
僕達はこの世界について知らな過ぎる。

「どこで土地とかを買うんだドブよ?」

 ドブブは土地というワードに対して首を傾げる。

「いや、そんな事僕が知る訳無いじゃん」
  
  僕は少し皮肉げにドブブに返す。

「まぁそうドブね」

 ドブブは残念そうに俯く。

「でも普通は街に行ったら色々出来る筈だから」

「街に行くドブ?」

「うん。そうしようと思う」

 今は街がどこかは検討も付かないけど手探りして行こう。

「辺りは森しか見えないドブ。どうするドブ?」

 ドブブは辺りを見渡して言う。

「そうだなぁ、ドブブの直感に任せようかな」

「ドブが決めるドブね! じゃああっちドブ~!」

 ドブブはさっさと目的地を決めて歩いて行った。

 本当にこっちかなぁ……。

 ドブブを頼って良かったと後々思えると良いな……。


 暫く森を探索していると雨が降って来た。

「雨いやだドブ~!」

 ドブブは雨に濡れるのが相当嫌らしくぴょこぴょこ逃げて居る。

「あっ、そこに家が有るドブよ! 駆け込んで入らせて貰おうドブ!」
  
 ドブブはそう言って小さな家の方へ走って行ってしまった。
 
 急いで追い掛けないと!

「湊、ノックするドブよ」
 
 ドアの目の前でドブブが止まって居ると思ったら僕のノック待ちだったらしい。
ノックをすると言う礼儀は知っているんだな。

「すいません。誰か居ませんか~?」

 僕はドアを「コンコン」とノックする。

 ノックの音を聞きつけて誰かが「はーい」と言って駆け付ける足音が聞こえて来た。

「はい……。どうしました?」

 中からは優しそうな女性が出て来た。

 髪は綺麗な銀色。
服は森や木々、自然などを意識する緑色だ。

 何か危険な雰囲気がする気がするが大丈夫だろうか……。

「ドブ達を助けて欲しいんだドブ~!」

 ドブブは何の疑いもせずに中から出て来た女性に本命を話す。

「ドブ?」

 女性はドブブの謎の語尾に首を傾げた。

「今雨が激しくて……。ちょっとだけ中に入れて貰えませんか?」

「確かに雨、ひどいですね。……良いですよ、私一人しか居ないから。入って下さい」

 そう言って女性はドアを大きく開いてくれた。

「失礼します」

「失礼しますドブ」
 
 僕達は声を合わせて部屋に入る。

「どうぞ。狭いけど我慢してね」

 確かにドブブの家よりは狭いけど一人暮らしの女性の家にしては広い気がする。

 前世の僕の感覚だからこの世界ではこんな物なのか?

「座って良いかドブ?」

「どこにでもどうぞ~」

 女性がそう言ったらドブブは小さな木の椅子にピョコっと座った。

 僕もその隣の椅子にゆっくりと腰を掛けた。

「ちょっと待ってて下さい」

 女性はスタスタと隣の部屋へと入って行った。

「やっと部屋の中に入れたドブ~」

 ドブブは机に寄っ掛かってだらけている。

「人の家なんだから礼儀正しく振る舞ってよ……」

 僕はドブブに頭を抱える。

「今は居なく成ったから良いドブ」

「そういう問題じゃ無いんだけど……」

 僕がそう言って居ると女性が隣の部屋から出て来た。

「はい、雨で濡れてるでしょ体を拭いて下さい!」

 女性は僕とドブブにタオルを渡してくれた。

「ありがとうございます」
 
 僕はお礼を言ってタオルを貰って頭を拭く。

「ドブ自分じゃ拭けないドブ……」

 ドブブはタオルを頭に被ったままショボンとしている。

「なら私が拭いてあげる」

 女性はそう言ってドブブの頭をゴシゴシと拭いてあげた。

「ありがとうドブ~」

「ふふふ、どういたしまして」

 何かこの二人、見栄えが良いな……。
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