深夜の常連客がまさかの推しだった 短編集

極上 クリスマス編「欲しいものはきっと」

2 く

「クリスマスなんて、独り者にはただ寂しいだけのイベントじゃないかあ。イブに寂しく一人でチキン食うくらいならさ、どうせならイベントしてみんなで騒いだ方が楽しめるだろう？」

「なんでお前の個人的な理由におれら全員がつきあってやらなきゃならねえんだよ」　

「どうせ恋人たちの予定なんて、聖夜にかこつけてヤるだけだろう？兄貴たちなんていつもヤりまくってるんだから、一晩くらい我慢したって罰あたらねえぜ」

　八戒のほのめかしに玄奘は頬を赤らめる。その玄奘を隠すように背に庇いながら、悟空は言い返した。

「いつもヤりまくってるだなんてなんでわかんだよ」

　少し離れて座っていた悟浄が低い声でぼそぼそと答えた。

「まあ……玄奘の背や腹に呆れるほどのキスマークがついておるのであるからどんな阿呆にも丸わかりであるがな。衣装で隠れる部分に付けるのがまたいじらしいことこの上ない」

　玄奘はますます頰を赤らめ、悟空は
「うるっせえな。あれは……その、虫除けなんだよ」と腕を組んだ。

　マネージャーの磁路は悟空の肩を叩いて、励ました。

「まあまあ、我々ジャニ西にとって今が正念場であるからして、ファンは大事にせねばな。クリスマスパジャマパーティーと称していつもより寛いだ雰囲気での配信にしようと思っておる。なあ、大聖殿、我々は配信の内容を詰めておくからして、玄奘と二人でメンバー用のパジャマを見繕ってきてもらおうぞ」

　磁路は磁路なりにオフを潰した責任を感じているらしい。なるべく悟空と玄奘が二人きりになれる時間を作ろうとするその配慮にひそかに感謝しながら、
「まあ……いいけどよ」と悟空は照れくささを隠して頷いた。