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「全員で遊びにいくのか?」
相場が聞き返してくるので、俺は頷く。
「せっかくだからな。テストが終わったあとに疲れを癒やすためにもみんなでどこかに行かないかなと思ってな」
「えっと、結衣ちゃんもそれでいいの?」
佐倉が不安そうに聞いてくる。
「えっと……どうして?」
「だって、結衣ちゃんは三島と一緒に出かけたいんじゃないかなって……」
「そ、それもあるけど……、で、でも、せっかくだからみんなとも一緒に出かけたいなって……」
結衣は恥ずかしそうに頬を染めながらも小さく頷いていた。
「ということだ。それでどこに行くのが良いかなって思ってな」
「もちろん遊園地一択でしょ!」
真っ先に佐倉が声を出してくる。
「まぁ全員で楽しめる場所って言ったらそこだよな……」
佐倉の提案に相場も同意する。
俺も別に反対の意見はなかった。だからこそ俺は結衣の顔を見る。
すると彼女も頷いていた。
どうやら結衣も反対意見はないようだった。
「俺たちも賛成だな」
普通に答えたつもりだったが相場は感心したように言ってくる。
「へーっ、もう二人は視線だけで意思疎通ができるようになったんだな」
「うん、すごい進歩でしょ……」
佐倉が嬉しそうに答えていた。
「まぁこのくらいならな」
「うん、そうだよね」
結衣もどこか恥ずかしそうに答えていた。
「それじゃあ決まりね。でも、みんな補習なしでテストを突破しないとなしになるからね。今は勉強に集中しましょうか」
佐倉が資料集をテーブルに広げると相場は渋い顔をする。
「そうだな……。うん、なんとか頑張るよ……」
「もちろんよ、私が教えるんだから赤点なんて許さないわよ」
その二人のやりとりを見ているとおやっと思うことがあった。
だから、ひっそりと結衣を手招きして小声で聞く。
「なぁ、もしかしてあの二人って?」
「うん……、なんだか付き合っているみたいに見えるね……」
「だよな……。まぁそれなら遊園地の時はなるべく二人きりになれるようにするか」
「そうだね」
微笑みを浮かべる結衣。
「それよりも私たちも勉強しよう」
「そうだな。それじゃあ早速ここを教えてくれないか?」
俺は問題を指さしながら結衣に聞くと彼女は苦笑を浮かべていた。
「そうですね。卓人くんも赤点にならないように責任を持って私が教えますね」
◇
それから俺たちは毎日夕方になるまで試験勉強を図書室でして、それから二人で帰る……ということを繰り返してきた。その結果――。
「う、嘘だろ!?」
俺は自分の目を疑っていた。
帰ってきたテストは今まで考えられないほどの高得点。
これも結衣達と勉強したおかげなんだろうな。
「お、おい、三島、テストどうだった?」
帰ってきたテストをもって相場がやってくる。
相場も驚いた表情を浮かべているところからかなり高得点を取れたのだろうと予想できる。
「もちろん見ての通りだ」
俺も自信たっぷりに見せると相場も見せ返してきた。
「すごいな……。まぁ今までほとんど勉強してこなかったのもあるが、俺たちがここまで点数を取れるなんてな」
「あぁ、結衣には感謝だな……」
俺たちが話し合っていると噂をしていた結衣達がやってくる。
「何か呼んだかな?」
「いや、今回は結衣のおかげで良い点数が取れたと話し合っていたんだ」
「本当に!?」
結衣が目を輝かせながら俺のテストをのぞき込んでくる。
「本当だね。これなら補習もないね」
「あぁ、結衣のおかげだよ。ありがとう」
「ううん、卓人くんが頑張ったからだよ……」
結衣が恥ずかしそうに照れながら答える。
「はいはい、私も教えたんだからね」
「そうだったな。佐倉もありがとう」
「私はついでみたいね。それよりもみんな大丈夫だったってことは次は遊園地の予定を決めないといけないね」
「あっ、そうだったね。日は……次の日曜日かな?」
「日曜日はちょっと人が多いけど仕方ないね。それじゃあ次の日曜日の朝八時に駅前集合で良いかな?」
「あぁ」
相場が聞き返してくるので、俺は頷く。
「せっかくだからな。テストが終わったあとに疲れを癒やすためにもみんなでどこかに行かないかなと思ってな」
「えっと、結衣ちゃんもそれでいいの?」
佐倉が不安そうに聞いてくる。
「えっと……どうして?」
「だって、結衣ちゃんは三島と一緒に出かけたいんじゃないかなって……」
「そ、それもあるけど……、で、でも、せっかくだからみんなとも一緒に出かけたいなって……」
結衣は恥ずかしそうに頬を染めながらも小さく頷いていた。
「ということだ。それでどこに行くのが良いかなって思ってな」
「もちろん遊園地一択でしょ!」
真っ先に佐倉が声を出してくる。
「まぁ全員で楽しめる場所って言ったらそこだよな……」
佐倉の提案に相場も同意する。
俺も別に反対の意見はなかった。だからこそ俺は結衣の顔を見る。
すると彼女も頷いていた。
どうやら結衣も反対意見はないようだった。
「俺たちも賛成だな」
普通に答えたつもりだったが相場は感心したように言ってくる。
「へーっ、もう二人は視線だけで意思疎通ができるようになったんだな」
「うん、すごい進歩でしょ……」
佐倉が嬉しそうに答えていた。
「まぁこのくらいならな」
「うん、そうだよね」
結衣もどこか恥ずかしそうに答えていた。
「それじゃあ決まりね。でも、みんな補習なしでテストを突破しないとなしになるからね。今は勉強に集中しましょうか」
佐倉が資料集をテーブルに広げると相場は渋い顔をする。
「そうだな……。うん、なんとか頑張るよ……」
「もちろんよ、私が教えるんだから赤点なんて許さないわよ」
その二人のやりとりを見ているとおやっと思うことがあった。
だから、ひっそりと結衣を手招きして小声で聞く。
「なぁ、もしかしてあの二人って?」
「うん……、なんだか付き合っているみたいに見えるね……」
「だよな……。まぁそれなら遊園地の時はなるべく二人きりになれるようにするか」
「そうだね」
微笑みを浮かべる結衣。
「それよりも私たちも勉強しよう」
「そうだな。それじゃあ早速ここを教えてくれないか?」
俺は問題を指さしながら結衣に聞くと彼女は苦笑を浮かべていた。
「そうですね。卓人くんも赤点にならないように責任を持って私が教えますね」
◇
それから俺たちは毎日夕方になるまで試験勉強を図書室でして、それから二人で帰る……ということを繰り返してきた。その結果――。
「う、嘘だろ!?」
俺は自分の目を疑っていた。
帰ってきたテストは今まで考えられないほどの高得点。
これも結衣達と勉強したおかげなんだろうな。
「お、おい、三島、テストどうだった?」
帰ってきたテストをもって相場がやってくる。
相場も驚いた表情を浮かべているところからかなり高得点を取れたのだろうと予想できる。
「もちろん見ての通りだ」
俺も自信たっぷりに見せると相場も見せ返してきた。
「すごいな……。まぁ今までほとんど勉強してこなかったのもあるが、俺たちがここまで点数を取れるなんてな」
「あぁ、結衣には感謝だな……」
俺たちが話し合っていると噂をしていた結衣達がやってくる。
「何か呼んだかな?」
「いや、今回は結衣のおかげで良い点数が取れたと話し合っていたんだ」
「本当に!?」
結衣が目を輝かせながら俺のテストをのぞき込んでくる。
「本当だね。これなら補習もないね」
「あぁ、結衣のおかげだよ。ありがとう」
「ううん、卓人くんが頑張ったからだよ……」
結衣が恥ずかしそうに照れながら答える。
「はいはい、私も教えたんだからね」
「そうだったな。佐倉もありがとう」
「私はついでみたいね。それよりもみんな大丈夫だったってことは次は遊園地の予定を決めないといけないね」
「あっ、そうだったね。日は……次の日曜日かな?」
「日曜日はちょっと人が多いけど仕方ないね。それじゃあ次の日曜日の朝八時に駅前集合で良いかな?」
「あぁ」
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