16 / 30
16.
しおりを挟む
映画館の席って妙に高いんだよな……。
隣同士に座った俺たちは少し恥ずかしい気持ちになりながら映画が始まるのを待っていた。
すこし頬を染めながら映画が始まるのを待っているとただ、すこし恥ずかしくなってたまに柏木の顔を見てしまう。
すると柏木も俺の方を振り向いていた。
しかし、すぐに顔を赤くして俯いてしまう。
「そ、その……、な、なかなか映画始まらないね……」
体をガチガチにして、まっすぐ前を見ながら柏木が呟いてくる。
やはり柏木も今の状況を緊張しているようだ。
次第に周りの席も埋まっていく。
するとますます俺たちの距離が近くなっているように感じる。
精一杯離れてはいるのだが、すぐ隣に人が座ったのでそちらにもあまりよれずに結果すぐに手が当たりそうな位置に柏木がいることになった。
「そ、そういえばどんな映画を見るんだった? 俺はあまり詳しくないんだけど」
「そ、そうですね……。今日見るのは純愛映画なんですよ。その……やっぱり恋人同士ですから……」
柏木が恥ずかしそうな顔を見せてくる。
それにつられて俺の顔を染め、視線を画面の方へと向ける。
するとちょうど映画が始まる。
◇
映画が終わる。
確かに内容は柏木が言っていたとおり二人の学生がゆっくり恋人になっていく話だった。その途中でさまざまな問題が二人を襲うが最終的に二人は恋仲となる……。
そんな話だった。
そして、柏木はそれを目を輝かせながらジッと見ていた。
目を見つめ合っている時は柏木も少し照れ、告白のタイミングでは息をぐっと飲み込む。
初めて手を繋ぐタイミングでは柏木も照れていた。
そして、最後のキスシーン。
柏木は恥ずかしさのあまり顔を震わせていたが、それでも目を離すことはなかった。
無意識なのか、気がついたら俺とも手を繋いでいる。
あまりに突然だったので、俺はびっくりして柏木の顔を見てしまう。
しかし、彼女は全く気付いた様子はなく、画面から目を離せない。
そして、映画が終わったあと、俺たちは近くのカフェに入っていた。
「さ、さっきはごめんなさい。き、気がついたら手を繋いでて……」
「いや、俺は気にしてないよ。それにしてもよほど好きなんだな」
「うん、好きだよ」
柏木が嬉しそうに答えてくれる。
ただ、それにしては――。
「実際にするのとは違う?」
恋人になってからかなり恥ずかしがっているところを見るとどうしても聞いてみたくなった。
「うん、どうしても自分がしているところを考えられなくて……」
「でも、ずいぶんと色々できたよな。あとは――」
画面の最後に映っていたキスシーンを思い出す。
そして、顔が赤くなる。
「そ、その……、まだそれは恥ずかしいよ……」
柏木も俺が何のことを言っているかわかったようで顔を赤くしていた。
ただ、すぐに言い直していた。
「そ、その……、み、三島くんとしたくないってわけじゃないよ……。そ、その……、は、恥ずかしくて……」
「あぁ、わかってるよ。俺たちの速度でいけばいいよ……」
俺が微笑みかけると柏木は申し訳なさそうに頷く。
「そう……だね。で、でも、進展してるのかな?」
「もちろんだ。今までだとこうやって映画に来ることもできなかったからな。それよりもこの後はどうしようか?」
「どこか行きたいところはある?」
「そうだな……」
カフェから周りを見る。
そこで目にとまったのはゲームセンターだった。
まぁ定番のデートスポットではあるよな。
「ゲーセンはどうだ?」
「えっと、私あまり行ったことなくて……」
申し訳なさそうにする柏木。
「それならせっかくだし一緒に行ってみるか」
「うん……」
不安そうな表情を見せる柏木。
カフェを出た後、俺の手をしっかり握りながら一緒にゲームセンターへと向かっていく。
隣同士に座った俺たちは少し恥ずかしい気持ちになりながら映画が始まるのを待っていた。
すこし頬を染めながら映画が始まるのを待っているとただ、すこし恥ずかしくなってたまに柏木の顔を見てしまう。
すると柏木も俺の方を振り向いていた。
しかし、すぐに顔を赤くして俯いてしまう。
「そ、その……、な、なかなか映画始まらないね……」
体をガチガチにして、まっすぐ前を見ながら柏木が呟いてくる。
やはり柏木も今の状況を緊張しているようだ。
次第に周りの席も埋まっていく。
するとますます俺たちの距離が近くなっているように感じる。
精一杯離れてはいるのだが、すぐ隣に人が座ったのでそちらにもあまりよれずに結果すぐに手が当たりそうな位置に柏木がいることになった。
「そ、そういえばどんな映画を見るんだった? 俺はあまり詳しくないんだけど」
「そ、そうですね……。今日見るのは純愛映画なんですよ。その……やっぱり恋人同士ですから……」
柏木が恥ずかしそうな顔を見せてくる。
それにつられて俺の顔を染め、視線を画面の方へと向ける。
するとちょうど映画が始まる。
◇
映画が終わる。
確かに内容は柏木が言っていたとおり二人の学生がゆっくり恋人になっていく話だった。その途中でさまざまな問題が二人を襲うが最終的に二人は恋仲となる……。
そんな話だった。
そして、柏木はそれを目を輝かせながらジッと見ていた。
目を見つめ合っている時は柏木も少し照れ、告白のタイミングでは息をぐっと飲み込む。
初めて手を繋ぐタイミングでは柏木も照れていた。
そして、最後のキスシーン。
柏木は恥ずかしさのあまり顔を震わせていたが、それでも目を離すことはなかった。
無意識なのか、気がついたら俺とも手を繋いでいる。
あまりに突然だったので、俺はびっくりして柏木の顔を見てしまう。
しかし、彼女は全く気付いた様子はなく、画面から目を離せない。
そして、映画が終わったあと、俺たちは近くのカフェに入っていた。
「さ、さっきはごめんなさい。き、気がついたら手を繋いでて……」
「いや、俺は気にしてないよ。それにしてもよほど好きなんだな」
「うん、好きだよ」
柏木が嬉しそうに答えてくれる。
ただ、それにしては――。
「実際にするのとは違う?」
恋人になってからかなり恥ずかしがっているところを見るとどうしても聞いてみたくなった。
「うん、どうしても自分がしているところを考えられなくて……」
「でも、ずいぶんと色々できたよな。あとは――」
画面の最後に映っていたキスシーンを思い出す。
そして、顔が赤くなる。
「そ、その……、まだそれは恥ずかしいよ……」
柏木も俺が何のことを言っているかわかったようで顔を赤くしていた。
ただ、すぐに言い直していた。
「そ、その……、み、三島くんとしたくないってわけじゃないよ……。そ、その……、は、恥ずかしくて……」
「あぁ、わかってるよ。俺たちの速度でいけばいいよ……」
俺が微笑みかけると柏木は申し訳なさそうに頷く。
「そう……だね。で、でも、進展してるのかな?」
「もちろんだ。今までだとこうやって映画に来ることもできなかったからな。それよりもこの後はどうしようか?」
「どこか行きたいところはある?」
「そうだな……」
カフェから周りを見る。
そこで目にとまったのはゲームセンターだった。
まぁ定番のデートスポットではあるよな。
「ゲーセンはどうだ?」
「えっと、私あまり行ったことなくて……」
申し訳なさそうにする柏木。
「それならせっかくだし一緒に行ってみるか」
「うん……」
不安そうな表情を見せる柏木。
カフェを出た後、俺の手をしっかり握りながら一緒にゲームセンターへと向かっていく。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる