5 / 22
依頼完了(1)
しおりを挟む
「……まさか、こうもあっさり倒せるとは――」
ブライトは驚きの表情を見せていた。
しかし、俺からしたら今のは必然の出来事でもあった。
単調な思考を持った狼型の魔物なのだから、逃げられる道を一つにしたら、そこから逃げてくるのは当然。
そして、そこに力自慢のブライトの全力攻撃。
躱す術のない魔物は一撃の下、倒される。
ここまでは策として準備することは容易だった。
そして、逃げ道を封じるための土魔法が使える巻物。
初めて使う巻物の威力を過信しないためにとどめはブライトに任せ、もし倒しきれなかったときのために次の巻物も準備してはいた。
そこまでの必要はなかったが――。
ただ、初めての魔物……ということもあり、鼓動の音は早くなる。
ちょっとのミスでも命取りになる……。
事前の準備と周辺状況の確認、あと相手の状態を注視して対策を取らないと。
死にたくないがために活動しているのに、命の危機に陥っては本末転倒だ。
ブライトが倒したシャドウウルフの素材を剥いでいるのを遠目で眺める。
その手つきは見事なもので、みるみるうちに毛皮や牙、爪と肉いった部分に別れていった。
「ふぅ……、こんなところだな。それにしてもさっきの魔法、凄かったな。いつの間に詠唱していたんだ?」
「……いや、詠唱はしていない」
「そんなことあるはずないだろう。詠唱しないと魔法は使えない――。ま、まさか!?」
「あぁ、巻物を使った」
「そんな高価な物を――」
ブライトが驚きの声を上げていた。
確かに一般的な人には手の届かないほど高価な物だ。
しかも、一度使ったら燃えてなくなってしまう。
ただ、貴族たちしか持っていないわけではなく、一般的に売っている代物なのでここから俺の正体を探ることは難しいだろう。
「たいしたことない。必要なことだった」
「いや、しかし――」
「お前が怪我せずに魔物を倒すことができた。それで良いだろう?」
口ごもるブライトに対してきっぱりと言い切る。
ただ、ブライトのおおよそ言いたいことはわかった。
無償で引き受けたのに、それだけ高価な巻物を使わせて良かったのだろうか……ということだろう。
むしろ、たかが巻物一本でブライトの信頼を買えるなら安い物だ。
「いや、お前がそれでいいのならいいんだが――。その、なんだ。礼だけ言わせてくれ。ありがとう」
ブライトが申し訳なさそうに頭を下げてくる。
しかし、俺は淡々と答える。
「気にするな。これは城壁の外へ出る道を教えてくれた礼だ。これで依頼は達成か?」
「あ、あぁ……。これで困っていた農家の奴も喜んでくれるだろうな」
「農家……か」
確かに魔物は倒したので、当面は問題がなくなる。
しかし、いずれまた魔物は現れる。
根本の問題が解決していないからな。
それこそギルドなどの組織に頼んだ方が良かったのではないだろうか?
俺が言いよどんでいるとブライトが首をかしげる。
「何か言いたいことでもあるのか?」
「いや、依頼ならギルドに頼む手もあったんじゃないのか?」
「――お前、今のギルドの事を知らないのか?」
ギルドに何か問題があるのか?
ブライトの口調なら知っていて当然といった感じなので、軽くごまかすことにする。
「ギルドはあまり利用することがないのでな――」
「まぁ、お前ほどの人物なら利用することもないよな。ただ、今のギルドは昔のギルドと違い、まともに依頼を受けてくれることはなくなったんだ……。いや、少し違うか。依頼を受け付けるのにかなり高額な金を要求してくるようになったんだ」
ギルドの職員たちにも生活がある。
慈善事業じゃないので、ある程度の金銭を要求してくるのはわかる。
しかし、そういった一面とは別に困っている人物を助けている……というイメージもある。
高額を要求する、ということはあまり金を持っていない国民を切り捨てることに他ならない。
そんなことをしたら逆に仕事が減るのではないだろうか?
いや、その額で依頼してくるお得意様ができたと見るべきか。
おそらく国や貴族たち――。
なるほどな……。国民から嫌われるわけだ……。
この件も国民の不満を溜める要因か……。
「それなら冒険者が反発するのじゃないのか?」
「確かに下位の冒険者は反発しているが、力のある上位冒険者は一切反発していないんだ」
上位冒険者なら元々受ける依頼は高額のものか。
それに高難度の依頼を出すのは元々金を持っているやるだろうから仕事自体もさほど変わっていないのだろう。
影響があるとしたら下位の冒険者。
ただ、下位冒険者は元々薬草摘みや町の清掃等をしている、ちょっとした雑用係だった。
――それでこの町へ出たときに嫌な臭いを感じたんだな。
依頼金が上がり、町の清掃を頼まなくなった……と。
これはちょっと対策を取らないとまずいな。
衛生面が悪いと将来、疫病が流行る可能性が出てきてしまう。
こんな世界なので医療もそれほど発達しているとは考えにくいし、万が一俺がかかったら……と考えるとな。
「……それで冒険者ギルドに依頼を出せないから、ブライトに依頼を出していたのか」
「あぁ、俺も少しでも困っている人の手助けをしたくてな」
「なるほど……。人助けか」
やりたいことはわかるが、それだと一時的には解決するが根本的には何も変わっていない。
「こういった活動で少しでも国が良くなってくれるといいんだけどな」
「それは甘いぞ」
たかが人を一人助けたところで巨大な国が良くなるはずもない。
ざっと調べている限りだと、国民の大半が不満を持っているとわかる。
大元である不満を解消しない限り決して良くなることはないだろう。
今回の場合で言えば、確かに魔物を倒してその依頼人は喜ぶかも知れない。
しかし、また別の魔物が襲ってくるかも知れないし、別の畑が襲われているかも知れない。
根本的に直すなら畑自体に魔物が来られないようにするしかない。
それができていないからこそ、わざわざ金を払って依頼をしないといけない。
解決できたとしても国や貴族への不満は溜まっていくだけだろう。
そして、それがわかるからこそブライトに対して強めの口調を使う。
「……なんだと⁉︎」
「個々で助けてどうする。それで何かが変わるのか?」
「でも、困っている奴がいるんだ。助けるしかないだろう!」
「個々で救うな! やるなら全てを救え!」
不満が残っている奴が一人でもいたらそれは反乱の起こる芽になり得る。
個々で助けていくということは、どうしても助けられなかった人物が出てくることになってしまう。
たった一人で皆を救うことはできないからな。
それに、助けてもらえなかったことに不満を持つ人物が出てくることも考えられるわけだ。
俺が殺されないためにも全てを解消する必要がある。
そのためには……やはり人助けをする集団を作る必要があるな。
一人だけでできないなら多くの人数がいれば――。
まずは仲間になり得る人物を探し出していくことが先決だろう。
ブライトと一緒に話したことでようやく活動の方針が決まる。
仲間を探す必要がある以上、ブライトが仲間になってくれるといいのだが――。
ブライトに視線を向けると彼は俺のその言葉を聞いてハッとなっていた。
しかし、すぐに眉をひそませる。
「そんなこと、簡単にできるはずが――」
「できる。この俺なら――」
俺の場合はやらないと死だ。やるしかない。
ただ、一人でするよりは可能性が上がる。
できれば手を貸して欲しい。
それにブライトなら力を貸してくれるはずだ。
しかし、ブライトがすぐに返事を出すことはなかった。
「……すこし返事を待ってもらっても良いか? 俺も色々と覚悟を決める必要があるからな」
「……わかった。良い返事を期待している」
それからブライトが魔物の素材を担ぐと一緒に町へと戻っていった。
ブライトは驚きの表情を見せていた。
しかし、俺からしたら今のは必然の出来事でもあった。
単調な思考を持った狼型の魔物なのだから、逃げられる道を一つにしたら、そこから逃げてくるのは当然。
そして、そこに力自慢のブライトの全力攻撃。
躱す術のない魔物は一撃の下、倒される。
ここまでは策として準備することは容易だった。
そして、逃げ道を封じるための土魔法が使える巻物。
初めて使う巻物の威力を過信しないためにとどめはブライトに任せ、もし倒しきれなかったときのために次の巻物も準備してはいた。
そこまでの必要はなかったが――。
ただ、初めての魔物……ということもあり、鼓動の音は早くなる。
ちょっとのミスでも命取りになる……。
事前の準備と周辺状況の確認、あと相手の状態を注視して対策を取らないと。
死にたくないがために活動しているのに、命の危機に陥っては本末転倒だ。
ブライトが倒したシャドウウルフの素材を剥いでいるのを遠目で眺める。
その手つきは見事なもので、みるみるうちに毛皮や牙、爪と肉いった部分に別れていった。
「ふぅ……、こんなところだな。それにしてもさっきの魔法、凄かったな。いつの間に詠唱していたんだ?」
「……いや、詠唱はしていない」
「そんなことあるはずないだろう。詠唱しないと魔法は使えない――。ま、まさか!?」
「あぁ、巻物を使った」
「そんな高価な物を――」
ブライトが驚きの声を上げていた。
確かに一般的な人には手の届かないほど高価な物だ。
しかも、一度使ったら燃えてなくなってしまう。
ただ、貴族たちしか持っていないわけではなく、一般的に売っている代物なのでここから俺の正体を探ることは難しいだろう。
「たいしたことない。必要なことだった」
「いや、しかし――」
「お前が怪我せずに魔物を倒すことができた。それで良いだろう?」
口ごもるブライトに対してきっぱりと言い切る。
ただ、ブライトのおおよそ言いたいことはわかった。
無償で引き受けたのに、それだけ高価な巻物を使わせて良かったのだろうか……ということだろう。
むしろ、たかが巻物一本でブライトの信頼を買えるなら安い物だ。
「いや、お前がそれでいいのならいいんだが――。その、なんだ。礼だけ言わせてくれ。ありがとう」
ブライトが申し訳なさそうに頭を下げてくる。
しかし、俺は淡々と答える。
「気にするな。これは城壁の外へ出る道を教えてくれた礼だ。これで依頼は達成か?」
「あ、あぁ……。これで困っていた農家の奴も喜んでくれるだろうな」
「農家……か」
確かに魔物は倒したので、当面は問題がなくなる。
しかし、いずれまた魔物は現れる。
根本の問題が解決していないからな。
それこそギルドなどの組織に頼んだ方が良かったのではないだろうか?
俺が言いよどんでいるとブライトが首をかしげる。
「何か言いたいことでもあるのか?」
「いや、依頼ならギルドに頼む手もあったんじゃないのか?」
「――お前、今のギルドの事を知らないのか?」
ギルドに何か問題があるのか?
ブライトの口調なら知っていて当然といった感じなので、軽くごまかすことにする。
「ギルドはあまり利用することがないのでな――」
「まぁ、お前ほどの人物なら利用することもないよな。ただ、今のギルドは昔のギルドと違い、まともに依頼を受けてくれることはなくなったんだ……。いや、少し違うか。依頼を受け付けるのにかなり高額な金を要求してくるようになったんだ」
ギルドの職員たちにも生活がある。
慈善事業じゃないので、ある程度の金銭を要求してくるのはわかる。
しかし、そういった一面とは別に困っている人物を助けている……というイメージもある。
高額を要求する、ということはあまり金を持っていない国民を切り捨てることに他ならない。
そんなことをしたら逆に仕事が減るのではないだろうか?
いや、その額で依頼してくるお得意様ができたと見るべきか。
おそらく国や貴族たち――。
なるほどな……。国民から嫌われるわけだ……。
この件も国民の不満を溜める要因か……。
「それなら冒険者が反発するのじゃないのか?」
「確かに下位の冒険者は反発しているが、力のある上位冒険者は一切反発していないんだ」
上位冒険者なら元々受ける依頼は高額のものか。
それに高難度の依頼を出すのは元々金を持っているやるだろうから仕事自体もさほど変わっていないのだろう。
影響があるとしたら下位の冒険者。
ただ、下位冒険者は元々薬草摘みや町の清掃等をしている、ちょっとした雑用係だった。
――それでこの町へ出たときに嫌な臭いを感じたんだな。
依頼金が上がり、町の清掃を頼まなくなった……と。
これはちょっと対策を取らないとまずいな。
衛生面が悪いと将来、疫病が流行る可能性が出てきてしまう。
こんな世界なので医療もそれほど発達しているとは考えにくいし、万が一俺がかかったら……と考えるとな。
「……それで冒険者ギルドに依頼を出せないから、ブライトに依頼を出していたのか」
「あぁ、俺も少しでも困っている人の手助けをしたくてな」
「なるほど……。人助けか」
やりたいことはわかるが、それだと一時的には解決するが根本的には何も変わっていない。
「こういった活動で少しでも国が良くなってくれるといいんだけどな」
「それは甘いぞ」
たかが人を一人助けたところで巨大な国が良くなるはずもない。
ざっと調べている限りだと、国民の大半が不満を持っているとわかる。
大元である不満を解消しない限り決して良くなることはないだろう。
今回の場合で言えば、確かに魔物を倒してその依頼人は喜ぶかも知れない。
しかし、また別の魔物が襲ってくるかも知れないし、別の畑が襲われているかも知れない。
根本的に直すなら畑自体に魔物が来られないようにするしかない。
それができていないからこそ、わざわざ金を払って依頼をしないといけない。
解決できたとしても国や貴族への不満は溜まっていくだけだろう。
そして、それがわかるからこそブライトに対して強めの口調を使う。
「……なんだと⁉︎」
「個々で助けてどうする。それで何かが変わるのか?」
「でも、困っている奴がいるんだ。助けるしかないだろう!」
「個々で救うな! やるなら全てを救え!」
不満が残っている奴が一人でもいたらそれは反乱の起こる芽になり得る。
個々で助けていくということは、どうしても助けられなかった人物が出てくることになってしまう。
たった一人で皆を救うことはできないからな。
それに、助けてもらえなかったことに不満を持つ人物が出てくることも考えられるわけだ。
俺が殺されないためにも全てを解消する必要がある。
そのためには……やはり人助けをする集団を作る必要があるな。
一人だけでできないなら多くの人数がいれば――。
まずは仲間になり得る人物を探し出していくことが先決だろう。
ブライトと一緒に話したことでようやく活動の方針が決まる。
仲間を探す必要がある以上、ブライトが仲間になってくれるといいのだが――。
ブライトに視線を向けると彼は俺のその言葉を聞いてハッとなっていた。
しかし、すぐに眉をひそませる。
「そんなこと、簡単にできるはずが――」
「できる。この俺なら――」
俺の場合はやらないと死だ。やるしかない。
ただ、一人でするよりは可能性が上がる。
できれば手を貸して欲しい。
それにブライトなら力を貸してくれるはずだ。
しかし、ブライトがすぐに返事を出すことはなかった。
「……すこし返事を待ってもらっても良いか? 俺も色々と覚悟を決める必要があるからな」
「……わかった。良い返事を期待している」
それからブライトが魔物の素材を担ぐと一緒に町へと戻っていった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる