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60:ヒーロー側【お持ち帰りしたいです】と連動
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「ほんとうに、かわいらしい」
とろりと溶けた顔で、甘い声で、言わないで。もう、この顔だけで死ねる…
「筆頭。いい加減にしてください」
と、天に祈ったのが通じたのか…というか、そういえばレイは基本的に、そういう場合に助けてくれるわね。
「仕方ないでしょう。なんだかこう、中途半端に沈められたのでテンションおかしいままなんですよ」
「デボラが使い物にならなくなりました。私とネルア様はまだいいんですが…あんたの補佐が使えなくなったら困るのはあんたでしょう」
デボラが使い物にならなくなったってどういう事!?と、見てみれば…ぽーっと熱に浮かされたような顔をしていた。私の場合は身体というか…腰に来るからまだいい…いや、よくないわよ!?私もこれは困るわ…と、思っていたら、あの…付き人が返ってきて助かった。お茶と、サンドイッチとキッシュを乗せたカートを持って戻って来たわ。
「…なんですかこの空気は」
「筆頭がまたピンク色に染まりまして。まだ引いてます」
「なるほど。では見ない様にします」
「止めて頂けませんか」
「筆頭ご自身で止めて頂かない限り無理ですので。注意はいたしますけれど」
「ネルア様が瀕死です」
「そうですね。確かに。筆頭、王都からルーヴェリア様、呼びましょうか」
「それはだめです…はぁ…もう…」
だから…その甘い声はなんなの!しかもその吐息とか熱っぽくてもうほんと…!もう、こんな人と結婚なんて無理じゃない!?萌え死ぬわよ!
付き人の人は、私を見てからラクシュ様を注意したわね…というか、その、第二王子様を呼ぶってどういう事…
「こんな事なら、茶葉を別の物にした方がよかったですね。いい加減戻りましたかね」
「ルーヴェリア様を引き合いに出すとかひどくないですか」
「筆頭が狂った時はルーヴェリア様を与えておけばなんとかなりますので」
「麻薬中毒者への対処方法じゃないんですから」
「事実でしょう。守るべき者の傍にいて、狂ってる場合じゃございませんでしょうから」
「…それだと、ネルア嬢もそうなんですが…」
「まだ不十分なのでは。その状態で、お守りできるのですか」
「試してみます?」
「遠慮いたします」
その付き人の人は、ラクシュ様と会話をしながら、てきぱきと軽食とお茶が用意していく。この人昨日の夕食の時にも思ったけど、すっごくきれいな所作よね…
「ネルア様、大丈夫ですか?もし駄目そうでしたら、筆頭の顔、何かで覆いますが」
お茶を出しながら、そんな事を言ってくる付き人って…いや、いくらなんでもそれはどうなの…
「いえ、もう、大丈夫です…」
「そうですか?そもそも、なぜそのような事になったのです?」
「ああ、私がおかしくなったら名前を呼んでくださいとお願いして…昨日呼ばれた時の事を思い出したら、こう…」
「明日には王都に戻りますので、ルーヴェリア様にたくさん名前を呼んでもらう様にお願いします。それまで我慢してください」
「我慢って…と言うかもう本当にこのまま王都にお持ち帰り」
「筆頭。今朝、ご自分で言った事をお忘れですか」
「撤回してもいいですかね」
「………」
…またお持ち帰りっていったわよ、この人…ちらりとレイを見ると…死んだ顔をしていたわ。これは…助けを求められないやつかしら、ね…
とろりと溶けた顔で、甘い声で、言わないで。もう、この顔だけで死ねる…
「筆頭。いい加減にしてください」
と、天に祈ったのが通じたのか…というか、そういえばレイは基本的に、そういう場合に助けてくれるわね。
「仕方ないでしょう。なんだかこう、中途半端に沈められたのでテンションおかしいままなんですよ」
「デボラが使い物にならなくなりました。私とネルア様はまだいいんですが…あんたの補佐が使えなくなったら困るのはあんたでしょう」
デボラが使い物にならなくなったってどういう事!?と、見てみれば…ぽーっと熱に浮かされたような顔をしていた。私の場合は身体というか…腰に来るからまだいい…いや、よくないわよ!?私もこれは困るわ…と、思っていたら、あの…付き人が返ってきて助かった。お茶と、サンドイッチとキッシュを乗せたカートを持って戻って来たわ。
「…なんですかこの空気は」
「筆頭がまたピンク色に染まりまして。まだ引いてます」
「なるほど。では見ない様にします」
「止めて頂けませんか」
「筆頭ご自身で止めて頂かない限り無理ですので。注意はいたしますけれど」
「ネルア様が瀕死です」
「そうですね。確かに。筆頭、王都からルーヴェリア様、呼びましょうか」
「それはだめです…はぁ…もう…」
だから…その甘い声はなんなの!しかもその吐息とか熱っぽくてもうほんと…!もう、こんな人と結婚なんて無理じゃない!?萌え死ぬわよ!
付き人の人は、私を見てからラクシュ様を注意したわね…というか、その、第二王子様を呼ぶってどういう事…
「こんな事なら、茶葉を別の物にした方がよかったですね。いい加減戻りましたかね」
「ルーヴェリア様を引き合いに出すとかひどくないですか」
「筆頭が狂った時はルーヴェリア様を与えておけばなんとかなりますので」
「麻薬中毒者への対処方法じゃないんですから」
「事実でしょう。守るべき者の傍にいて、狂ってる場合じゃございませんでしょうから」
「…それだと、ネルア嬢もそうなんですが…」
「まだ不十分なのでは。その状態で、お守りできるのですか」
「試してみます?」
「遠慮いたします」
その付き人の人は、ラクシュ様と会話をしながら、てきぱきと軽食とお茶が用意していく。この人昨日の夕食の時にも思ったけど、すっごくきれいな所作よね…
「ネルア様、大丈夫ですか?もし駄目そうでしたら、筆頭の顔、何かで覆いますが」
お茶を出しながら、そんな事を言ってくる付き人って…いや、いくらなんでもそれはどうなの…
「いえ、もう、大丈夫です…」
「そうですか?そもそも、なぜそのような事になったのです?」
「ああ、私がおかしくなったら名前を呼んでくださいとお願いして…昨日呼ばれた時の事を思い出したら、こう…」
「明日には王都に戻りますので、ルーヴェリア様にたくさん名前を呼んでもらう様にお願いします。それまで我慢してください」
「我慢って…と言うかもう本当にこのまま王都にお持ち帰り」
「筆頭。今朝、ご自分で言った事をお忘れですか」
「撤回してもいいですかね」
「………」
…またお持ち帰りっていったわよ、この人…ちらりとレイを見ると…死んだ顔をしていたわ。これは…助けを求められないやつかしら、ね…
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