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36:ヒーロー側【名前を呼ばれるとエロい顔になるらしい】と連動

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 うっかり、ラクシュ様の名前を呼んでしまった。ケニアが呼んだときに見せた、表情が全くないあの顔で見られたら、立ち直れないと、身体を固くした。でも、振り返ったその顔が---

「ああ、ネルア嬢、私を心配してくださったんですか?」
「っ、ぁ…」

 なにこれなにこれなにこれ…!こ、腰に来る、立って、られな…

「おっと。大丈夫ですか?」
「ぁ…ぅ…」

 男の人なのに、なんか、こう、とろりと溶けた笑顔とか…やばい、破壊力すごい。なにこれ…ていうか至近距離…っ!しぬ、腰だけじゃなくて心臓が死ぬっ!

「筆頭。顔」
「…ああ…。私を見て倒れてしまうなんて、大変心配させてしまったようですね。もう大丈夫ですか?」

 ぼそぼそと聞こえた、会話。そして…顔、と、同じ騎士服を着ていた人からの注意の後は、いつもの笑顔で。いや、この笑顔も十分こう、赤面ものなんだけど…さっきのアレに比べれば…っ!

「だい、じょうぶです。あの、申し訳ございません、わたくし、お名前を…」
「それに関しては問題ありませんから、ご心配なさらなくても大丈夫ですよ」
「え…」
「我が君は…許可してくださっていますから」

 だからその顔!

「筆頭」
「ああ、もう」
「なんならもう一戦してきますか」
「…今なら国もオトせそうです」
「………」
「冗談ですよ」

 なんだか怖い会話があったんだけど…冗談と言った後に、にこりと笑ったその顔が、すごく可愛かったとか、なんなの…

「グランシュネル公爵様、ネルア嬢もいらっしゃいましたし…まだお話を続けるようでしたら、ティールームか何処か場所を移動してもよろしいですか?」

 ティールームに移動するのは、いいけれど…そもそも、今話していた内容って…私が聞いてもいい内容なのかな。多分、その賊?との戦闘の話なのでは。そういった事に、女性は携わらないし関わらないはずなんだけれど。
 そう考えていると、現場処理の兵を派兵する取り決めだけで終わった。現場処理…ああ、そうよね…死体とか、あるわよね…ううん…まあ、やらなきゃやられちゃうから、仕方ないとはいえ…なんて考えていたら。

「では、どこか落ち着ける所か…お部屋に私が運んでもいいんですが…いくらなんでも問題ですよねぇ…お前、運べましたっけ」

 はっ!そう、いまだに足がこう、不安な状態なのよ。だからと言って、レイに向かって運べるかって…

「可能ですが」

 え、可能なの!?

「…筆頭、運べるんですか?」

 いやいや、レイが運べて男性であるラクシュ様が運べるかどうかを心配するって、どうなのよ。

「ん、ああ…ほら、多少落として来たので、その分浮いてます」

 落としたってなにを?浮いてるってどういうこと?

「…理解しました。では、失礼します」
「っ」

 ふわりと…レイにお姫様抱っこされるとか意味がわからないわよ!?いや、ほら、男性にされるのは分かるけれど、同性であるレイにされるなんて思わないじゃない!?

「おとなしく運ばれてください」
「…はい」

 思わず身体を強張らせたからか…廊下に出ると、レイに釘を刺された。逃げようとか、考えた訳ではないのだけれど…大人しく、そう返事をする事しかできなかった。
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