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11:ヒーロー側【代役立てようそうしよう】と連動

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 両親へ、妹への結婚祝いを食器かカップで用意する事を伝え、またラクシュ様からのお誘いで街に行く事を伝えれば、手放しで喜ばれて行ってこいと送り出された。
 ちょっと納得いかない…

 お待ちいただいている部屋へとノックして入れば、本を読んでいたらしい。膝を組んで、その膝の上に乗せられた本から顔を上げて、にっこりと笑みを向けられるけど…あれ。今日はなんか…顔つきが、違う?以前は自信にあふれていたような…冷たく感じる時もあったのだけれど…なにがどうという断言できない違いではあるけれど。

 馬車留めまで行くと、さも当然の様にある馬車と、御者。昨日同席していたあのメイドもいる。いえ、普通は、こう…御者にも先ぶれというか、用意するように連絡をするはずなんですが、それもなく移動していたから。まさか、ここに訪れた時から待っていたとは思えませんし。
 ともかくとして、スムーズに馬車内へとエスコートされて腰を落ち着ければ静かに馬車が走り出す。すると、ラクシュ様が、

「品物は何にするか、お決まりですか?」

 と、切り出してくる。確かに何を買うか決めていないとお店を選ぶにしても困ってしまう。だから先ほど…メイドと相談していたことを伝えれば、そうですねぇ。と言って、考えているようだ。

「本家に顔を出すこともありますし、騎士学校でも同学年でしたが…流石に食器の趣味までは。ただ…好きな色でしたら」
「色…そうですね、確かに好きな色を選ぶのはいいですわね」

 妹の趣味はキラキラしたものが好きなので…それと上手く合わせるには、色なら苦労しない。とはいえ、余り派手にならない物にしましょう。
 どんなものがいいか考えていると、ふっとラクシュ様が笑う。思考から意識をラクシュ様へとむければ…その瞳が…金色の瞳が、嗤う…

「ではその方向で選ぶとしましょう。ただ…私としてはスウェン様を妬んでしまいそうです」

 ぞくりとするその声色と、瞳に驚いてしまう。昨日は始終穏やかで、楽しそうな雰囲気しかなかったから。ふふ、と、笑う顔は…なんだか…そう、男の、顔。

「貴方が選んだ食器を使えるなんて、ね」

 色気がすごい…というか…日本でもこんな事を言う人なんていなかったし…なんだかはずかしくて、熱くなる。
 と、隣に座られて、手を取られて、内心とても驚いたし、焦ったのだけれど…なぜか手をじっと見られて撫でられて、どうしたのだろうと思う。先ほどの…妖艶な顔とうって変わって、真面目というか…深刻そうな顔をしている。

「あ、あの、どうか、なさいましたの?」
「ん、ああ…綺麗な手だと思いましてね」
「…深刻そうなお顔をなさっていらっしゃいますのに、そんな事を?」
「そんな風にみえましたか?」

 そういって、にっこりと笑う。その表情は、昨日の様に自身に満ち溢れた顔。なんだか、隠されてるような感じがするのだけれど、私もうまい返答が出来ず、笑い返すしかできない。
 すると、ちょうど馬車が止まる。

「着きましたね、行きましょう。色々取り揃えていますので、楽しめるとおもいますよ」

 そう言って、そっと手を引いてエスコートをされれば、やっぱり恥ずかしく顔が熱くなる。日本ではこんな事なかったし…慣れるしかないのかしらね…
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