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4章:偽装結婚を提案されました

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 そうして、細かい事は後で決める事にしたものの、忘れそうだからとスマホのタスクアプリに登録してまた後日という事に。旅館の実情は後ほど連絡してもらう事にして、就寝となりましたが…

「ユカ、あっちで松田の家に暮らすとはどういうことなんだ」

 と、リュリュクスへと行ったら、キルギスさんにそう詰め寄られました。え、なんで怒ってるの。

「あの、暮らすっていうのはちょっと違うので…どうして怒ってるんですか」
「っ…すまない、君が松田の家を向こうの拠点にするのだと聞いて…」

 こちらで生活するのであれば、必要ないはずという認識だったらしい。だから、松田さんと…同じ家で暮らすなんてとんでもないという事で…嫉妬したのだと言う。え、なにそれかわいい。
 ともかくとして、一応説明した。同じ家と言っても、旅館だという事。どのくらいの大きさか分からないけれど、まぁまぁの広さはあるしなんなら鍵も付くという事。
 あ。転移できるから鍵の意味ないのか。でもこれは言わない。侵入し放題じゃないかと言われたら困るから。

「向こうで生きてる人間とするには拠点は必要ですし、そこは理解してください」
「ああ。すまなかった」

 しょんぼりしてる顔もイケメンとかどういう事よ。
 ひとまず誤解が解けたので、その後野草などの採集を実践しようという事になった。街の近くにも比較的簡単な野草エリアがあるらしい。松田さんに教えてもらったポイントは結構狂暴な獣や魔獣が出るらしく、キルギスさんに却下されましたけど。そりゃそうか。近くて安全でよくとれる所なら、みんな行くだろうしね。結界とかで気配を消してしまえばできなくもないが。と言われましたけど…そんな所、結界で安全だとしても怖くて嫌よ。
 街から近い森というか林へと来ました。生えている木の間隔は程よく整備されているのかスペースがある。

「ここは街から近い事もあって木材の伐採もあるんだが、それは専門家がいるからユカには余り関係ないかな。ただ…」

 困ったような顔をして言葉を濁すからどうしたのかと思えば、アイテムボックス持ちだと木材の重量も、そもそも伐採の必要がないらしく、冬前になるとアイテムボックス持ちの募集がでるらしい。

「まさか生えている物をそのまま収納するんですか…」
「ああ、そうすると、根まできれいに収納できるらしくてな。土を掃う必要もなくて楽なんだそうだ」

 わぁ…アイテムボックスってすごいな。でも、野草や薬草は根こそぎ採っちゃうと取れなくなるからその手法はとれないみたいだけど。

「種で増やせる物もあるからそれでもいいんだが…成長まで時間が掛かるからな」

 ということらしい。植生によって色々あるからここら辺もおぼえないとね。ありがたいことにあの辞典みたいな本をインベントリに入れてるから、見ながら出来るのは助かるけど…今はおとなしくキルギスさんに従う。

「このリリーフラワーは、花が咲いていないつぼみを食べるんだ。だが、これを取りすぎると種が出来なくて翌年生えてこないのも困るから…これだな。こっちと見比べると背が高いだろう?そしてつぼみが大きい」
「…言われてみればそうですね」

 2つの株を言われたとおりに見比べれば確かに大きさが違う。小さい背丈とつぼみの方は、誰かがとってまた出てきたつぼみなのだとか。

「もう収穫の時期は終わりに近いからな…ここで取りすぎると来年困るから、密集している所のつぼみを取ろう」
「密集、ですか?」
「ああ。余り密集していると種が発芽しても養分の取り合いになるからな。ある程度の間隔があった方がいいんだ。それをつぼみを取ることで調整してやるんだ」
「そこまで考えて収集するんですね…」

 大変だ。と呟けば、時々新人がやらかすこともあるようで笑ってる。教育はもちろんするし注意もするけど、生活の為に目先の利益だけでやってしまうのだとか。
 うん、しっかり気を付けて採集します。
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