キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

4章：偽装結婚を提案されました

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　という事で、翌日リュリュクスへと行く。なんだかここ最近リュリュクスに入りびたりな気がする…でも、キルギスさんの嬉しそうな顔を見てしまうとしかたないなぁと思ってしまう。

「今日はどうする？久しぶりに屋台へ行くか？最近入れ替わりがあったから違った物が食べられるが」
「入れ替わりとかあるんですね。じゃあ屋台でお願いします」

　入れ替わり…続けられなくなったとか仕入れの関係でとかもあるか。とはいえいろんな食べ物を食べられる屋台は楽しいし、わくわくしていけば。

「…これ、あるから必要なくないですか？」

　屋台の入口で、迷子になると困るからと手を差し出されましたけど…GPS機能のネックレスもあるし騙されませんからね！そう思って断ると、にこーっと営業スマイルっぽい胡散臭い笑顔になるキルギスさん。え、そんな顔も出来たのか。

「私がユカの手とつなぎたいんだ」

　そう言って、手を取られて握られました。しかも恋人つなぎ…！

「こ、このつなぎ方は、はずかしいです…」
「そうかな？でもこの方が外れにくいし安心なんだよ」

　そう、なのかな…うぅ…こんなイケメンと恋人つなぎとか恥ずかしい。キルギスさんは気にならないらしく、さあいくぞと言って歩き始める。とはいえ、きちんと私のペースに合わせてくれるからありがたいんだけども。

「ユカ。ほらあのお店が入れ替わった店だ。前は…確か鶏を焼いていたかな。今はパンに日替わりで肉や野菜を挟んだ物を売っているようだが…」

　キルギスさんが店主に今日の内容を聞いているけど、お肉の焼けるいい香りがする。塩焼きっぽいけど…どうやらお好みでタレやスパイスなんかもつけてくれるらしい。なので、タレ付きと無しとで両方食べたかったので、半分に切って貰ってキルギスさんと半分こにする事にした。

「肉は魔物の肉だな。確かに何日か前に大量に狩られて持ち込まれていたな」
「そういう情報も分かるんですか？」
「最近ハンターギルドにも行くようにしているんだ。依頼の内容もその時々で変化するからね」

　季節性の病がはやる前に薬草の依頼が増えたり、旬の野生動物や害獣の依頼が増えたりはあるらしい。魔物に関しては、増えすぎると脅威だから一定量減らしてほしいとかは季節問わずであるらしいけど。たまたまそれで大量に狩ったからお肉がだぶついてるという事らしい。
　うーん、時間停止のマジックバックとかって希少なのか、保存せずに放出するのが当然なのか、どっちなんだろう。と、考えている間に出来上がったらしい。半分に切って、互い違いに組み合わせて一つにした物が渡された。
　いただきますと言って、まずは…何もタレが付いていない塩焼きの方から口にする。

「ん…おいしいです。少し、変わった匂いと甘さがありますね」
「お、よく気付いたなお嬢さん。甘いのは果肉に少しだけつけてるからだ」
「そうなんですね。ありがとうございます」

　お礼を言って、もう一度食べれば…うん、言われてみればお肉本来の甘さとは違う…ような？

「ユカこっちのタレもおいしいぞ」

　うんうんうなっていると、キルギスさんに勧められてタレの方も口にする。こっちは照り焼きソースっぽくて、おいしい。
　そういえばその肉本来の味をそもそも知らないから、果肉の味なのかわかるはずもないと気が付いたのは、家に帰ってからだったりする。