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3章:異世界と日本との二重生活の始まり
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キルギスさんとスーザンさんで、寄り道するかしないかで意見の食い違いが発生してしまうとは…
「あの、寄り道したらどれ位かかりますか?領地に戻って夕方位になるなら私は大丈夫ですよ」
「ほら、タカナシさんもそうおっしゃっているのですから、行きましょう!」
「…問題ないなら、行くことにしよう。もし疲れたらすぐに言うんだぞ」
「はい、ありがとうございます」
馬車に乗ってるだけだし日本でのキャンプだと昼位に家に到着して洗い物とかしないといけないからそれがないことを考えればそこまで疲れるとは思わないから答える。
と、いう事でスーザンさんおすすめの場所へと行くことになりました。滝があって小花が綺麗に咲いているのだとスーザンさんが教えてくれる。
「滝って、そんな山がある様な地形ではないとおもうんですが…」
「緩やかな傾斜なのでそう思うのでしょう。落差はそこまでではないんですけど、2連の滝があって、しかも今はちょうど小花…シバサクラの季節なんです」
「シバサクラ、ですか?日本名ですねそれ…」
「ああ、それは俺のせいかな~」
そう言って、松田さんが笑う。ハンターギルドで色々な場所に行って、景色がいいところに奥さんのルシーさんを連れて行って、魚や草花の名前を聞いて、特に名前がない物は日本の花の名前を勝手につけているのだとか。
「…いいんですかそれ?」
「その土地の者が勝手に名前を付けている場合もあるし、えーと、松田が言う学術名という訳ではないから問題はないよ。ただ、その呼び方が広まることはあるがね」
一応機関にも伝えているらしい。ルシーさんが知らなかっただけという場合もあるので、他に名前が付いていればそこで修正されるらしい。
「なんか似てるからそう呼んでるだけで、世界も違うから品種も違うだろうし、俺も専門家じゃないからねぇ。なんか似てるってだけでそうよんでるだけ。どこの地方の滝の傍の花見に行かない?って誘うよりいいしさ~」
「…確かに言われてみればそうですね」
「花とかそういうものの辞典があればすぐ調べられるだろうけど、無理だしねぇ。日本に戻った時に調べてみて伝えてたりするよ」
ふむ。でも、この世界にも生物学とか研究してる人いるんじゃないのかな?そう思ってキルギスさんに聞けば。
「研究者はいるが…薬になる物であればギルドを通じて広まることもあるが、そうでないものはなかなか広まらないのだよ。趣味というくくりになって、広まらないんだろうな」
「趣味、ですか。同じ趣味の人で集まって書籍を出版するとかないんですか?」
「そうだな…あるかもしれないが、限定的な地域になるのが一般的かな。王都にある物が他の国、なんなら少し離れた領地にはないという事もよくあるのでね」
任務で行った領地で調べものをしようとしても、本がなくて苦労することがあったという。ふーむ。必要最低限なものしか広く流通してない感じかな。この世界の物流方法を聞いてみれば、陸路と船しかなく、空輸がないらしいし。うーん、魔法があるんだから空輸もすぐできそうなんだけどなぁ。
そう思って松田さんに聞けば、空を飛ぶのは難しいという返答だった。
「たぶん、モーターとか論理が分かればできるだろうけどね。でも自分の身体で実験するのは怖くてさ~」
「ほら、鳥人間コンテストとかあるじゃない。あれくらいから試せばいいんじゃないの?」
「そっち系の知識がないからさぁ。一から勉強するのはちょっと」
あー…それはそうか。設計図とかあって一から作ればなんとかなるだろうけど…見て覚えて作るなんて大変だもんね。
ただ、そうか。設計図を持ち込めば作れちゃうって事か。ガソリン部分を魔法でなんとかするとしても、そもそもの知識がないと難しいかなぁ。
あと…ついでに言えば私もあまり好きじゃないからなぁ…
「あっちの知識を持ち込むのって結構大変ね」
「まず情報のすり合わせもしなきゃだからねぇ」
「そんなに気負わなくていいんだぞ。ただこの世界を楽しんでくれればそれでいい。できれば一緒に楽しめるといいがな」
だからそうちょいちょいいい笑顔で言って来るの、心臓に悪いのよ…
「あの、寄り道したらどれ位かかりますか?領地に戻って夕方位になるなら私は大丈夫ですよ」
「ほら、タカナシさんもそうおっしゃっているのですから、行きましょう!」
「…問題ないなら、行くことにしよう。もし疲れたらすぐに言うんだぞ」
「はい、ありがとうございます」
馬車に乗ってるだけだし日本でのキャンプだと昼位に家に到着して洗い物とかしないといけないからそれがないことを考えればそこまで疲れるとは思わないから答える。
と、いう事でスーザンさんおすすめの場所へと行くことになりました。滝があって小花が綺麗に咲いているのだとスーザンさんが教えてくれる。
「滝って、そんな山がある様な地形ではないとおもうんですが…」
「緩やかな傾斜なのでそう思うのでしょう。落差はそこまでではないんですけど、2連の滝があって、しかも今はちょうど小花…シバサクラの季節なんです」
「シバサクラ、ですか?日本名ですねそれ…」
「ああ、それは俺のせいかな~」
そう言って、松田さんが笑う。ハンターギルドで色々な場所に行って、景色がいいところに奥さんのルシーさんを連れて行って、魚や草花の名前を聞いて、特に名前がない物は日本の花の名前を勝手につけているのだとか。
「…いいんですかそれ?」
「その土地の者が勝手に名前を付けている場合もあるし、えーと、松田が言う学術名という訳ではないから問題はないよ。ただ、その呼び方が広まることはあるがね」
一応機関にも伝えているらしい。ルシーさんが知らなかっただけという場合もあるので、他に名前が付いていればそこで修正されるらしい。
「なんか似てるからそう呼んでるだけで、世界も違うから品種も違うだろうし、俺も専門家じゃないからねぇ。なんか似てるってだけでそうよんでるだけ。どこの地方の滝の傍の花見に行かない?って誘うよりいいしさ~」
「…確かに言われてみればそうですね」
「花とかそういうものの辞典があればすぐ調べられるだろうけど、無理だしねぇ。日本に戻った時に調べてみて伝えてたりするよ」
ふむ。でも、この世界にも生物学とか研究してる人いるんじゃないのかな?そう思ってキルギスさんに聞けば。
「研究者はいるが…薬になる物であればギルドを通じて広まることもあるが、そうでないものはなかなか広まらないのだよ。趣味というくくりになって、広まらないんだろうな」
「趣味、ですか。同じ趣味の人で集まって書籍を出版するとかないんですか?」
「そうだな…あるかもしれないが、限定的な地域になるのが一般的かな。王都にある物が他の国、なんなら少し離れた領地にはないという事もよくあるのでね」
任務で行った領地で調べものをしようとしても、本がなくて苦労することがあったという。ふーむ。必要最低限なものしか広く流通してない感じかな。この世界の物流方法を聞いてみれば、陸路と船しかなく、空輸がないらしいし。うーん、魔法があるんだから空輸もすぐできそうなんだけどなぁ。
そう思って松田さんに聞けば、空を飛ぶのは難しいという返答だった。
「たぶん、モーターとか論理が分かればできるだろうけどね。でも自分の身体で実験するのは怖くてさ~」
「ほら、鳥人間コンテストとかあるじゃない。あれくらいから試せばいいんじゃないの?」
「そっち系の知識がないからさぁ。一から勉強するのはちょっと」
あー…それはそうか。設計図とかあって一から作ればなんとかなるだろうけど…見て覚えて作るなんて大変だもんね。
ただ、そうか。設計図を持ち込めば作れちゃうって事か。ガソリン部分を魔法でなんとかするとしても、そもそもの知識がないと難しいかなぁ。
あと…ついでに言えば私もあまり好きじゃないからなぁ…
「あっちの知識を持ち込むのって結構大変ね」
「まず情報のすり合わせもしなきゃだからねぇ」
「そんなに気負わなくていいんだぞ。ただこの世界を楽しんでくれればそれでいい。できれば一緒に楽しめるといいがな」
だからそうちょいちょいいい笑顔で言って来るの、心臓に悪いのよ…
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