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終話:結婚式をして、それから
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しばらく会わなかったラクシュ様。おどけたように、顔を忘れたのかと言われて…
「だって、ルーヴェリア様、いつ帰ってくる、とか、おっしゃられない、し」
「ああ、泣かないでください。すみません。私もどれくらいで良くなるのか分からなかったもので」
思わず感情が涙になってしまった。ラクシュ様の唇で、ちゅ、と吸い取られて恥ずかしい。でも、良くなるって、何が?状況、とか?と、そう聞けば、違うと言う。
「では、なにを?」
「ネルアの指輪を…耳にピアスの様につけまして」
「え?」
指輪?ピアス?話の関連が全く分からずに、ラクシュ様を見れば…困ったように笑う。
「多少は良くなりましたが、まだ綺麗に塞がっていないので我慢していたのですがね。ネルアに触れたくて狂いそうだったので、来てしまいました」
そう言えば…なんだか、顔の角度が、こう…左側というか、耳が見えない角度?ソファに座っているわたくしに対しているから違和感がなかったけれど。左耳に、指輪をピアスの様にして付けたという事?でもそんなの…日本でピアスをしていたけれど、この世界でも似たような感じだったはず。確かに消毒とかきちんとしないと膿んだりするけれど、そこまで酷くないはずで。
「ピアスって、そんなに治りが掛かるものでしたかしら」
「ピアスに誂え直した訳ではありませんから」
ん?
「耳に切り込みを入れて、そこに指輪を掛けまして」
ええと?
「見たほうが早いのですが、女性には少々刺激が強いかと思いますので…紙、あります?」
刺激って何。と思いつつも、言われたように紙を用意する。机の引き出しから、手紙用の紙を一枚渡せば、それを指ですこし切る。
「指輪、貸してください」
指輪…左手薬指にしている指輪を渡せば、その切り裂いた所へと指輪を入れて、その切り込みを指で押さえる。
「こういう状態にしまして」
こういう…こういう!?え、穴を開けたのではなく、切って、そこに指輪を入れた!?え、指輪に切り込みを入れて穴に通すとかでもなく!?
「そ、え、それ、大丈夫なんですか!?」
「問題ございませんよ。まぁまだ人前に出るには少々見目が悪いですが」
「う、膿んだり、とか」
「そこら辺は薬もしっかりありますし」
「痛みは…」
「それもまあなんとでも」
けろりとした顔でそう言うラクシュ様だけれど…指輪を返しますと言って、ラクシュ様の手で、指輪を嵌められたけれど…
「どうして、そんなこと…」
職業がら、着けられないというのは分かっている。日本でだって、衛生的な面で、とか…あるもの。だから、少し寂しいけれど…こんな事、望んだ訳ではないのに。
「ネルアが、指輪をこの指にする理由がある様に、私も…着けられたら良かったのですがね。では他に着けられる場所はと考えたら、耳になりました」
「ですが…切ってそこに輪を通さなくても、ピアスに仕立てるとか」
「それは、指輪ではなくピアスになってしまいますでしょう?」
指輪のまま、身につけたかったので。と、本当になんでもない事の様に言う。そのラクシュ様の思い切りの良さというか、覚悟、というか…それを確かめた方が良い様な気がする。知らないまま、というのはちょっと。
「…見せてください」
「駄目です」
「ラクシュ様」
「駄目です」
擦り傷とか切り傷と一緒!と思えば大丈夫だと思ってそうお願いするけれど、駄目だと言われて、ふわり、と抱きしめられて、身動きが取れなくなる。右側の耳は、何もしなかったのね。と、少しほっとしたわ。両耳とか、痛いどころじゃないわよ。
「だって、ルーヴェリア様、いつ帰ってくる、とか、おっしゃられない、し」
「ああ、泣かないでください。すみません。私もどれくらいで良くなるのか分からなかったもので」
思わず感情が涙になってしまった。ラクシュ様の唇で、ちゅ、と吸い取られて恥ずかしい。でも、良くなるって、何が?状況、とか?と、そう聞けば、違うと言う。
「では、なにを?」
「ネルアの指輪を…耳にピアスの様につけまして」
「え?」
指輪?ピアス?話の関連が全く分からずに、ラクシュ様を見れば…困ったように笑う。
「多少は良くなりましたが、まだ綺麗に塞がっていないので我慢していたのですがね。ネルアに触れたくて狂いそうだったので、来てしまいました」
そう言えば…なんだか、顔の角度が、こう…左側というか、耳が見えない角度?ソファに座っているわたくしに対しているから違和感がなかったけれど。左耳に、指輪をピアスの様にして付けたという事?でもそんなの…日本でピアスをしていたけれど、この世界でも似たような感じだったはず。確かに消毒とかきちんとしないと膿んだりするけれど、そこまで酷くないはずで。
「ピアスって、そんなに治りが掛かるものでしたかしら」
「ピアスに誂え直した訳ではありませんから」
ん?
「耳に切り込みを入れて、そこに指輪を掛けまして」
ええと?
「見たほうが早いのですが、女性には少々刺激が強いかと思いますので…紙、あります?」
刺激って何。と思いつつも、言われたように紙を用意する。机の引き出しから、手紙用の紙を一枚渡せば、それを指ですこし切る。
「指輪、貸してください」
指輪…左手薬指にしている指輪を渡せば、その切り裂いた所へと指輪を入れて、その切り込みを指で押さえる。
「こういう状態にしまして」
こういう…こういう!?え、穴を開けたのではなく、切って、そこに指輪を入れた!?え、指輪に切り込みを入れて穴に通すとかでもなく!?
「そ、え、それ、大丈夫なんですか!?」
「問題ございませんよ。まぁまだ人前に出るには少々見目が悪いですが」
「う、膿んだり、とか」
「そこら辺は薬もしっかりありますし」
「痛みは…」
「それもまあなんとでも」
けろりとした顔でそう言うラクシュ様だけれど…指輪を返しますと言って、ラクシュ様の手で、指輪を嵌められたけれど…
「どうして、そんなこと…」
職業がら、着けられないというのは分かっている。日本でだって、衛生的な面で、とか…あるもの。だから、少し寂しいけれど…こんな事、望んだ訳ではないのに。
「ネルアが、指輪をこの指にする理由がある様に、私も…着けられたら良かったのですがね。では他に着けられる場所はと考えたら、耳になりました」
「ですが…切ってそこに輪を通さなくても、ピアスに仕立てるとか」
「それは、指輪ではなくピアスになってしまいますでしょう?」
指輪のまま、身につけたかったので。と、本当になんでもない事の様に言う。そのラクシュ様の思い切りの良さというか、覚悟、というか…それを確かめた方が良い様な気がする。知らないまま、というのはちょっと。
「…見せてください」
「駄目です」
「ラクシュ様」
「駄目です」
擦り傷とか切り傷と一緒!と思えば大丈夫だと思ってそうお願いするけれど、駄目だと言われて、ふわり、と抱きしめられて、身動きが取れなくなる。右側の耳は、何もしなかったのね。と、少しほっとしたわ。両耳とか、痛いどころじゃないわよ。
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