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終話:結婚式をして、それから

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 お城へとつくと、そこからはお仕着せ、といってもこういう時の為の少しだけ華やかで高価な物だけれど、それにバタバタと着替える。
 ラクシュ様が警護につく隣に居ていい、らしいのよ。パレードは危険だけれど、城のバルコニーから手を振る皆さまの後ろからにはなるけれど、見られると聞いた時はうれしかったわ。しかも、背後とはいえ間近だもの。
 と、浮かれていたのだけれど、式の時とは違うドレスに着替えた皆さまを、ラクシュ様とわたくしが先導するとは聞いていなかったわよ!?

「先導すると言っても、ある意味露払いなので…何かあったら一番に身を投げだ、」
「すんじゃないぞ、ラクシュ」
「…するしない以前の問題として、ここまで侵入される事があってはなりませんので、問題ございませんよ」

 はい、こんな時だというのに、お決まりのやり取りですわね。変な空気になったけれど、ラクシュ様はこほんと咳をすると、

「では、行きましょうか」

 と言って、歩く。流石に腕を組んでエスコートはされない様ですが。先ほどルーヴェリア様に遮られたけれど、何かあったらお守りするのがわたくしたちの役目、という事よね。
 ここは怖がる所なのだろうけれど…いまいち恐怖感がないわね。いまいちピンとこないというか。

「万が一にもバルコニー下から何かされたとしても、弓やナイフですので問題ございませんから安心してください」

 と、ラクシュ様に言われましたが、それは問題大有りですが!?

「掴みとって投げ返せますのでね」
「お前良くできるよなぁ」
「ルーヴェリア様も、剣で払えるじゃないですか。あれと似たようなものですよ」

 いやいや、剣で払うのは…分からないではないけれど、掴んで投げ返すって、ちょっと想像つかないわよ!?
 そうね。きっと、こういうとんでもない事を軽く言われるから、あまりピンとこないのだわ…これはこれで大丈夫なのかしら。と、変な方向に心配し始めると、王太子様がくすくすと笑う。

「それ以前に、王やスタンフォードがバルコニーに居るし、何かあったとしても先にその二人の筆頭が気が付くはずだし…もっといえば、観衆に一族を紛れ込ませているんだろう?」
「ええ、そうですね」
「それらに気づかれない様な腕利きを用意出来るかっていう問題だよねぇ。お前が、軒並み潰しただろうし」
「潰した、というと語弊が。向こうから来たのを返り討ちにしていただけなので」

 そんな話をのんきにしないで欲しいわね。…場の雰囲気にそぐわないというかなんというか。それと、そろそろバルコニーに到着しますが。

「それに、ネルア嬢が身に着けている、魔石。あれの保護範囲が広くてねぇ。安心していいよ」

 保護範囲…そんな話は聞いてませんよ?と、ラクシュ様を見れば、にこりと笑うだけで。

「ネルアが起点ですし、何かしないと発動しない訳でもないので、知らなくてもいいですよ。それより、ドアは押し開いてくださいね」

 と、目の前に迫る、バルコニーのドア。言われなくても分かっているわよ。散々説明もされたもの。
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