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終話:結婚式をして、それから
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馬車で教会へと向かいながら、馬車の中でラクシュ様に指輪をつけたのだけれど、物凄く恥ずかしかったわね。
「仕事上、着けていられないのが悔やまれます」
そう言って、わたくしの左手薬指にある指輪を撫でるから、なんだかうれしくなる。でも、これは仕方ない事だものね。一応、ネックレスにして着ける事も、以前に言ったけれど…それでは駄目なのかしらね。
…ルーヴェリア様が、あー…とか声を漏らしてますが、お妃様達に止められてますわね…ええ、聞こえてませんし見えてませんよ。
それはともかくとして。
この世界での結婚式では、やり方が違う。真っ赤な絨毯もないし。馬車のドアが開けられたけれど、ラクシュ様についているあの人が、ルーヴェリア様達を案内する。そうして、準備が整ったのだろう。ゴーン、ゴーン、と、ベルの音。
ラクシュ様と腕を組んで、一緒に教会内部へと入れば、両親や、領地でお世話になったメイド…もちろん、アンもいるし、修道院の院長先生もいる。子供も、何人か。スゥェン様もだけれど、ケニアもいる。ただ…苦虫を噛んだような顔をしてるわね。そういえば、パーティーはしたけれど、こういう式はしてないから悔しいのかしら。横にいるスウェン様が、なんだかにやりと笑ってますが。隣のラクシュ様からよくやったとか聞こえましたが、何かあるのかしら。
ああ、ルーヴェリア様はもちろんだけれど、王太子様とその婚約者様達も全員いらっしゃるわ。スタンフォード様も。王様とお后様の姿も見えて、冷や汗が…
「大丈夫ですよ」
と、それが分かったのか、ラクシュ様に小声でそう言われました。思わずラクシュ様を見てしまえば、にこりと笑顔で返されました。それだけで落ち着いてしまうのだから、不思議ね。
わたくし、いつからこんなにもラクシュ様の事を…信頼していたのかしら。
思えば…最初はただひたすらに、穏便に修道院生活をしたいと思っていた。
でも…ある意味気障っぽい態度や、その笑顔が可愛く思えて。
周りの状況から逃げられない様にされたわね。
ルーヴェリア様から様々な事を聞いて、懇願されて、ある意味流されるままに結婚してしまったけれど。
なんだか、こんな事、今更考える事ではないわね。ラクシュ様が、誓いの言葉として、わたくしを不幸にさせないと宣誓していますが、それは以前にも言われた事。仕事と私、どちらをとるの、なんて言わないわよ。大丈夫。
「わたくしは、旦那様を支えられる妻になります」
ええ。流石に…仕事内容までは、詳細を聞くのは怖いので聞けませんけれど。ちょいちょい零されてますが…そこから推測するしかないもの。
ただ…わたくしがそう宣誓すると、神父様が頷くけれど…すす…と、横にずれて、ルーヴェリア様が神父様の立っていた場所へと立つ。
「俺の筆頭護衛騎士官、ラクシュ=ノア=ディベル。ルーヴェリア=ディクス=ラ=ルヴージュが今一度問う。お前はその誓いを、この俺に誓えるか」
「はい、我が君。あなたさまに捧げた、名に誓って」
「なら、いい。幸せになれよ」
と、それだけ言って、ルーヴェリア様は下がっていったけれど…えっと…いいのこれ、なにも聞かされてなかったわよ。と、困惑するも、また大きな鐘の音が聞こえて、歓声がする。
この歓声は、参列者のみんなからだけれど…
「おそらく…教会の神に誓ったとしても、うわべだけだと思われたんでしょうね、ルーヴェリア様に」
「え?」
「私が誓うものは、ルーヴェリア様なので」
ああ、神にも等しい、とか言ってたわね。
「ですのでね…不幸には、しませんよ」
歓声の中を、教会の出口へと向かいながらそんな会話をするだなんて、ちょっと締まりがないと思うのだけれど。
「仕事上、着けていられないのが悔やまれます」
そう言って、わたくしの左手薬指にある指輪を撫でるから、なんだかうれしくなる。でも、これは仕方ない事だものね。一応、ネックレスにして着ける事も、以前に言ったけれど…それでは駄目なのかしらね。
…ルーヴェリア様が、あー…とか声を漏らしてますが、お妃様達に止められてますわね…ええ、聞こえてませんし見えてませんよ。
それはともかくとして。
この世界での結婚式では、やり方が違う。真っ赤な絨毯もないし。馬車のドアが開けられたけれど、ラクシュ様についているあの人が、ルーヴェリア様達を案内する。そうして、準備が整ったのだろう。ゴーン、ゴーン、と、ベルの音。
ラクシュ様と腕を組んで、一緒に教会内部へと入れば、両親や、領地でお世話になったメイド…もちろん、アンもいるし、修道院の院長先生もいる。子供も、何人か。スゥェン様もだけれど、ケニアもいる。ただ…苦虫を噛んだような顔をしてるわね。そういえば、パーティーはしたけれど、こういう式はしてないから悔しいのかしら。横にいるスウェン様が、なんだかにやりと笑ってますが。隣のラクシュ様からよくやったとか聞こえましたが、何かあるのかしら。
ああ、ルーヴェリア様はもちろんだけれど、王太子様とその婚約者様達も全員いらっしゃるわ。スタンフォード様も。王様とお后様の姿も見えて、冷や汗が…
「大丈夫ですよ」
と、それが分かったのか、ラクシュ様に小声でそう言われました。思わずラクシュ様を見てしまえば、にこりと笑顔で返されました。それだけで落ち着いてしまうのだから、不思議ね。
わたくし、いつからこんなにもラクシュ様の事を…信頼していたのかしら。
思えば…最初はただひたすらに、穏便に修道院生活をしたいと思っていた。
でも…ある意味気障っぽい態度や、その笑顔が可愛く思えて。
周りの状況から逃げられない様にされたわね。
ルーヴェリア様から様々な事を聞いて、懇願されて、ある意味流されるままに結婚してしまったけれど。
なんだか、こんな事、今更考える事ではないわね。ラクシュ様が、誓いの言葉として、わたくしを不幸にさせないと宣誓していますが、それは以前にも言われた事。仕事と私、どちらをとるの、なんて言わないわよ。大丈夫。
「わたくしは、旦那様を支えられる妻になります」
ええ。流石に…仕事内容までは、詳細を聞くのは怖いので聞けませんけれど。ちょいちょい零されてますが…そこから推測するしかないもの。
ただ…わたくしがそう宣誓すると、神父様が頷くけれど…すす…と、横にずれて、ルーヴェリア様が神父様の立っていた場所へと立つ。
「俺の筆頭護衛騎士官、ラクシュ=ノア=ディベル。ルーヴェリア=ディクス=ラ=ルヴージュが今一度問う。お前はその誓いを、この俺に誓えるか」
「はい、我が君。あなたさまに捧げた、名に誓って」
「なら、いい。幸せになれよ」
と、それだけ言って、ルーヴェリア様は下がっていったけれど…えっと…いいのこれ、なにも聞かされてなかったわよ。と、困惑するも、また大きな鐘の音が聞こえて、歓声がする。
この歓声は、参列者のみんなからだけれど…
「おそらく…教会の神に誓ったとしても、うわべだけだと思われたんでしょうね、ルーヴェリア様に」
「え?」
「私が誓うものは、ルーヴェリア様なので」
ああ、神にも等しい、とか言ってたわね。
「ですのでね…不幸には、しませんよ」
歓声の中を、教会の出口へと向かいながらそんな会話をするだなんて、ちょっと締まりがないと思うのだけれど。
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