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結婚式準備

112:パーティーリーダー視点3

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 突っ込みを入れたい気持ちを何とか押しとどめ、運ばれる魔物の素材を荷馬車へ積む。そうはいっても、リーダーである俺は、きちんと安全を確認しなければいけないんだが。

 どうやらやっと、食事を終えたらしい。ただ、今度は第二王子様は残る様で。それらのやり取りをげんなりしながら視界の隅で見ていたが…あの筆頭とかいうやつ、いくらなんでもキスして行くか!?
 と、そんな突っ込みを入れられたのもそこまでで。魔力を感知して、その濃度と、目の前で起きている現象が、あり得なさすぎる…!発動させずに…いや、発動はしているが、それを自分の周りに保持って、どうやってるんだそれ!?
 しかも、剣を抜き放っただけで、気を失いそうな殺気…ちらりとこちらを向いた目に射抜かれて、死んだ。と思った。

「おお…早いなぁ。あいつ俺と居ると俺にスピード合わせるからなぁ」

 のんきなその声は、第二王子様だ。その声を聞いて、自分が震えている事に気が付いた。しかも、どさり、と聞こえた音。おそらくどちらかが倒れたんだろうと思うが、そちらへと目を向けられない。
 ふ、と…第二王子様の顔がこちらを向いて、困ったように笑う。あれは…きっと、あの筆頭がしでかした事に関してだろう。


 後日…直に礼をしたい、という事で、何故か王太子様と接見した。

「流石にあんな事が起きるとは思っていなかったのでね。何か、褒美を追加で。と思ったのだけれど、お前たちは魔物の素材で欲しい物とかあるかい?」

 他にも何かあればできうる限りは叶えよう。とにこにこと笑う柔らかな物腰の王太子様にそう言われて、装備の素材になりそうなものを言ってみれば、すんなり許可されて拍子抜けした。金に換算したら、一生遊んで暮らせるくらいにはなるのに。

「まあ…ちょっとした謝罪も込めてね。ルーヴェリアから、俺の筆頭が悪かったと伝えてくれと言われたよ」
「はっ…」

 悪かった、とは…どの事か。

「大抵初見の相手の場合、あいつ本気で殺気を当てて来るからねぇ。ばったばったと倒れるのを見るのも、まあ慣れた物だけれど」
「………」
「気を悪くしないでもらえるとありがたいね。筆頭というモノは、その主がなによりも大事だから」

 それこそ、自分の命よりね。と言って、くすくすと笑う王太子様。

「ルーヴェリアにさえ害がないのであれば、あれは大人しいから、安心していいよ」

 と、安心出来るのか、それ?と、不安を抱きつつも、褒美としてギルドから受け取る様にと書類を渡され、宮殿を後にした。

「なんかもうこれからは、要請、細かい事聞いてから決めるわ」
「そう、ですね。味方であれば心強いのでしょうが」
「どこでどう琴線に触れるかわからないしね」

 と、三人三様の感想を抱いたのだった。
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